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らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

下流老人

2016-03-10 | 時事

「下流老人」という年寄りを馬鹿にしたような言葉がありますが、お聞きになった事がありますか?
金持ちの人が貧しい老人を蔑称(べっしょう)した言葉かと思ったら、そうではないようです。

下流老人とは、NPO法人ほっとプラス代表理事で、聖学院大学客員准教授(公的扶助論・相談援助技術論など)の藤田孝典氏が作った造語だそうです。
先生によれば、「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」と定義しているもので、日本には下流老人が大量に生まれ続けている、と警鐘を鳴らしているのだそうです。
下流老人とは文字通り、普通に暮らすことができない下流の生活を強いられている老人を意味しているが、そのような老人をバカにしたり、見下すつもりはなく、むしろ、そのような老人の生活から多くの示唆をいただき、日本社会の実情を伝える言葉として、創造したものなので、ご理解願いたいとのことです。

先生は続けて、高齢者世帯に貧困状態にある人々が多いのは、年金の受給金額が低いことや、働いて得られる賃金が少ないこと、家族からの仕送りも期待できないなど、理由は多岐にわたるようですが、深刻なのは、下流老人の問題は現役で働く世代も将来陥る問題であるということだそうです。

例えば、現在65歳の人で20歳から60歳まで厚生年金に加入していて、40年間(480か月)保険料を払い、年収が400万円を超えて、平均月給与が38万円としても、「老後にもらえる年金額は月20万円を下回ります。
国民年金のみの場合では、年間の支給額は約78万円だけであり、月額は約6万5千円、そして、これから年金支給額は下がることが予想されていることから、この支給水準を保つことも難しくなります。
そして、非正規雇用や不安定雇用が拡大し続けているなかで、それ以下の年収であれば、生活保護基準を割り込んだ年金支給額しか受け取ることができない場合も多く想定されるということです。

内閣府が発表している「平成22年版男女共同参画白書」によれば、65歳以上の相対的貧困率は22,0%、さらに、単身高齢男性のみの世帯では38,3%、単身高齢女性のみの世帯では52,3%となっており、単身高齢者の相対的貧困は極めて高く、高齢者の単身女性に至っては半分以上が貧困下で暮らしているのが現状のようです。

高齢期は病気や介護など予期せぬ出費が増える時期でもあることから、それまでに、個人的にも政策的にも、相当な準備をしておかなければ、下流になってしまいます。
「あなたの老後は下流ですか?」と聞けば、残念ながら多くの人が「YES」と答えざるを得ない時代が間もなくやってくるだろう。と警鐘を鳴らしているということです。
高齢者の貧困は、とても自己責任などといって本人を責めていられるような悠長な状況にない。と結んでいました。