ということなのですが、実はそれほど高い金額は払っておりません。
たしか、6000円とか7000円くらいの普通のビジネスホテルの料金です。
そろそろ時効なので、
ホテルから追加料金の請求はもう来ないだろうと言うことで、
ようやく書く気になったことなのです。
東北各地をあちこちと飛び回っていることは
このブログの読者のみなさんはご存知の通り。
そういう出張が頻繁になり始めた、5年前くらいのこと。
取材がいろいろたて込んでいて、
秋田県の能代市でいったん出張が終わる予定だったのが、
急遽、青森市内で仕事が入って、
道すがらの能代駅のみどりの窓口で
青森市内のホテルの予約を頼んだのです。
移動は、札幌からフェリーで来ていた乗用車を使用していました。
ところが、駅ではそういう注文が入ることはきわめて珍しいらしく、
職員の方が、たいそう機械端末をたくさん操作した末に、
ようやく、青森市内の「一流シティホテル」を予約できたのです。
こちらはその当時、青森市内のホテルのランキングなど知るよしもなく、
「ま、なんでもいいよ、どうせ寝るだけだし・・・」ということなので、
料金が一般的なビジネスの値段だったのを確認して、
「ハイハイ、それで結構です」ということで、ホテルへ向かったのですね。
で、くだんの立派なホテルに到着。
「あれ、けっこう、立派なんだね、これ」とは思いました。
大した荷物もないのですが、ボーイさんが運んでくれる、あたりで、
「なんか、すこし雰囲気が違うかなぁ」という風向き。
まぁ、でも思ったよりも高級ホテルなんだなぁ、くらいの気持ちでしたが、
さらに案内された部屋に導かれて、仰天!
ふつう、ドアを開けたら、すぐに窓が目に飛び込んできて、ベッドが置いてある、
と、思いきや、ドアを開けても、長い廊下がある・・・。
その先に明るい照明が輝いている。
歩いていって見ると、明るい照明はシャンデリアなんですよね(絶句)。
で、ボーイさんが去ってみると、案内された部屋にはなんと、暖炉まであるんです。
「え、なに、これ?」とキツネに化かされた気分が襲ってくる。
隣接したコーナーと思った場所には、なんと立派なキッチンまで。
広々とした暖炉の部屋(これ30畳くらいはある)のとなりには、なんと、2間続きの和室。
片方だけでも、16畳くらいの広大さ。
床の間には立派な床柱に、床の間には高級そうな書が。
その和室の障子を開け放つと、窓一面に青森市内の景色が広がっている・・・。
驚きを押さえるために、我慢していたトイレに行くと
総御影石張りの豪華内装水回り空間。
お風呂も、けっこうな檜風呂。
それらがまた、半端でない広さの中に悠然と配置されている。
正気を取り戻しつつ、フロントに婉曲に料金再確認の電話をする。
すこし、声は震えていたかも知れませんね。(笑)
「ハイ、◎◎号室の◎◎さんですね、ハイ、料金は◎◎で間違いありません」との言葉。
なんかの間違いではあることは、明白。
しかし、ま、こうなれば、開き直って豪華設備を満喫してしまうしかない。
のですが、とはいっても、出張中のただの骨休めですから、
特段、広い部屋とは言っても、なにに使えるものでもない。
なにやら、おいしそうなお酒も棚に並んでおりましたが、
間違いに気づいたホテルから、
高額な請求が来るなど、庶民としては心配で、
手持ちぶさたに、ふかふかのソファに居心地悪くころがって、
所在なげに大理石のテーブルにペットボトルのお茶を置いて飲んで、
ため息をついておりました。その後、眠気も襲ってきて、
ただただ、呆然と、広い16畳間の真ん中に敷いたふとんにくるまって朝を迎えました。
まぁ、ふとんがふかふかであったのは、当然でした。(笑)
翌朝の食事は、レストランで、まぁ、普通の食事。
「こういうことなら、もっとゆっくりしたスケジュールにして・・・」とは思いましたが、
あいにく約束は朝早く。
キツネにつままれたような一夜は、こうして終わったのでした。
おととい、知人と話していて、ホテル談義になって
このことを久しぶりに思い出して、爆笑してしまいました。
いまに至るも、あれは一体なんだったのか、腑に落ちない思いを抱き続けております。
でももう、時効ですからね。高級ホテルさん(笑)。