三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

ちょっと住んでみたくなった、公共住宅

2007年05月31日 08時26分21秒 | 住宅取材&ウラ話

写真は、以前から気になっていた、
仙台市内から空港へ抜ける道すがらにある公共住宅です。
とはいっても、公共住宅とわかったのは今回が初めて。
ちょっと1時間ほど、飛行機の時間まであったので、
車を止めて、じっくり見てみることにしてみました。
こういう発見の立ち寄りって、
ワクワクするような時間を楽しめます。

で、この建物って、表札って言うか、看板を見てはじめて
「仙台市荒井市営住宅」であることを知った次第。
なんとなく車から見ていて、その雰囲気とか、とても気になった建物なんですね。
じっくり見てみて、「いやぁ、内部の取材なんかもしてみたい」と思いました。
ふつう、こういう公共住宅の場合には、
予算効率が最優先で、単純なボックス形態を取ることが多いと思いますが、
この建物は、中央に通路の空間を取り、そこからいくつかのグリッドを
散在させている、というのが配置的な特徴。
こういう配置計画を採用することで、中央通路や分岐する通路などの
空間に、豊かな陰影感を作り出すことに成功しています。
各グリッドが小さいスケールでしかも3階建てと低層なので、
各戸ごとの採光条件なども大変素晴らしいものがあります。
駐車場なども各エリアに分散させている関係から、
建物と建物との空間も、植栽など表情豊かになっている。
ちょうど、こどもたちが遊び回っていましたが、
明るい場所、暗い場所、広い場所、狭い場所、風が通る場所、閉鎖的な場所など、
実にさまざまな外部と半外部の空間が展開しているので、
かくれんぼなどで遊ぶのには、恰好と思われました。

まぁ、わたしは戸建て住宅についてが専門領域なのですが、
こういう空間性を戸建て住宅で実現しようと考えたら、
かなりの土地の余裕が必要なので、たいへん贅沢なプランになると思われます。
こういう豊かな空間性を持った建物が、
公共住宅として提供されている、というのが不思議な感覚。
住宅部分の内部の居住性はわからないのですが、
こうした配置なので、適度に緑地帯も確保されていて、
室内からの視野は比較的に豊かだろうと推測されました。
なので、設備や内部の性能環境は別として、
建築として考えれば、実にすぐれたものではないかと思われました。

ということで、インターネットで、設計者や施工者の情報を探してみましたが、
仙台市からは、インターネット上にはそういう情報は公開されていないようです。
ハッキリ言って、仙台では性能的に優れた建物って、
そうは提供されているとは言い難いので、
どうせ、どんな建物でも自分で性能を向上させるしかない、
そういう風に手を掛けなければならないと思えば、
こういう住宅って、利用価値は高いだろうなと、思います。
まぁ、仙台市民ではないので居住資格はないのが残念です(笑)。
ほとんど、一般の戸建て住宅ばかりを見ているので、
たまにしか、こうした公共住宅を見る機会がないため、
見方は見当外れになっているかも知れません。
さて、みなさんのご感想はいかがでしょうか?
コメント
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