三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

断熱気密の玄関引き戸

2007年09月07日 06時29分06秒 | 住宅性能・設備




玄関の扉とか、建具って、なかなか性能を向上させるのは難しい。
伝統的な引き戸が日本人の生活習慣には馴染んでいるのだけれど、
このスタイルでは断熱はともかく、気密化を図ることは難しいんです。
そうなので、北米や北欧の断熱ドア、というのが北方圏では一般的に使われます。
また、たぶん、公団住宅の規格としてのLDK思想とともに、
日本人一般に玄関ドアという出入り口の規格が受け入れられたので、
高断熱高気密住宅でも、幸いにそう大きく論議されることなく
玄関は断熱タイプのドア、ということになったのだと思います。
けれど、近年ふたたび、伝統的和風スタイルの良さが見直されてきて、
「引き戸による出入り」の開放性、気楽さなどが注目されていると感じます。
まぁ、一方ではセキュリティ意識の高まりがあって、
そういう意味からも、より高性能なものは求められていると思います。

このお宅では、玄関に引き戸を採用しています。
で、熱損失としては家全体でQ値、1.3。
こういうディテールの部分に、設計者の丹念な姿勢が伺えます。
もちろん、ドアの方が、簡単に断熱気密は計りやすいのは当然なので、
熱損失の観点からは、決して推奨できるとはいいきれないのですが、
そうしたマイナスポイントをいかにクリアするか、
細部にわたって、工夫を凝らして造作しています。
最近はメーカーものでも、かなり研究は進んできてはいるそうですが、
バラエティも少ない商品分野でもあり、
玄関というのは、生活デザイン上のウェートも高いので、
性能に配慮しながら、造作しているのですね。
ガラスはペアガラスで、その内側に目隠しをかねたアルミとおぼしき板を張っています。
で、きのうご紹介したような建具の工夫で、
密閉気密性の高い金物などを採用しながら作っています。

夏の過ごし方の日本的生活習慣デザインに果敢に挑戦する高性能住宅仕様。
この山形の家、いろいろに見どころが満載になっています。
コメント
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