図は、北海道がまとめている住宅のマーケット状況。
平成15年のものですから、いまから10年ほど前の状況を表しているのですが、
まぁ、傾向としては現在もこの状況が進行中です。
現在は寒冷地住宅の工法が、基本的には周知されていて、
エネルギー使用の状況から見ても、そこそこの段階には来ているのだろうと推測できます。
熱損失係数で北海道全体が1.6のレベルに決められてからでも
すでに15年近く経過していますので、
そうしたレベルの住宅では、さらに省エネを進めるように
根本的な改善、建て替えというように全体が向かう理由は、
希薄になることが容易に推定され、
ある程度のストックで、住宅性能の改善が前進した段階になったので、
そうすると「住」というマーケットの構造は変化せざるを得ないでしょう。
社会が安定して、この地域での暮らしをもっと楽しみたい、
というように社会欲求が進化するとすれば、
その変化は、どういった住のあり方を志向するか?
そういう段階になると、
現状で形成されている「街」の機能性とか、求心性とか、
総体としての「文化性」というような部分が重要になってくるのかも知れません。
個別の住宅というよりも、
そこでの暮らしのクオリティというものが大きな要素になる可能性が高い。
日曜日に参加してきた仙台での震災復興フォーラムでも
仮設住宅での暮らしが長くなってきて、
その「街」のなかでの暮らしから、結婚するカップルが出るなど、
時間の経過は、大きな変化を作りだしてくる。
「もう戻れない」という意識も芽生えてくる中で、
たとえば、既存の社会インフラのなかでうち捨てられている
多くの街のシャッター商店街に、
そうした人々の暮らしの誘導を考えたりもする必要性が語られていました。
エネルギーの社会全体での節約ということで考えても
ひたすら住宅の個別性能の向上だけではなく、
既存ストックをどう再活用するか、と考えれば、
既存の集住形態の効果的な再活性化、高性能化というような追求があってもいい。
より大きく、「人々の幸せな暮らし方とはなんなのか」
というように考えていけば、そこに面白い可能性があるように思っています。