先日の旭川探訪のときに、
今年86歳になる義理の母がよく買い物に行ったというアーケード商店街も見ました。
まだ現存しているのですね、これが。
ほとんど「北海道開拓の村」にでも移築保存されるべきと思えるような建築が
いまも、半分は現役で使われていることに、
むしろそっちの方に驚かされる気がしました。
たぶん、これも築後でいえば、100年近いことは想像に難くない。
建築自体は、町家スタイルの商店が左右に狭い間口で並んで、
採光を上部から取っているという
日本の「市場」建築には普遍的なスタイル。
現在でも、札幌では狸小路とか、小さな商店街で見られるスタイル。
歴史的にも、「市」というのは、このような通りを挟んだ左右に
「境界」的な場所に作られていったという経緯そのままです。
おおむねが徒歩での生活圏の暮らしが一般的だった時代には、
このような商業スタイルが一般的に展開されていて
住民側にもまことに「コンビニエンス」だったと思われます。
こうした建築では、1階は商店として利用され、
その商店の家族従業者が、その2階から上に居住していた。
建築基準法も規制が行き渡らない、いわば自然発生的な木造3階建てです。
たぶん、「現状不適格」建築であることは明らかでしょう。
しかし、こちらでは今でも、この長屋的建築が3分割されて、住宅として
使われているようでした。
優良ではないけれど、「長期住宅」であることは確実。
よく建物が長期に使われない理由は、主に社会的な要因による、と言われますが、
こういった建築が現在もなお、
この寒冷都市・旭川で使われ続けているというのは、
ちょっと驚きであると共に、
むしろ社会的要因によって、使われ続けているのではないかと
逆の感慨を持ちます。
自然的な「もったいないし、住みやすさがあるし・・・」
というようなことから使われ続けているモノか、
かえって、そういう意味での「取材」をしたくなってしまいましたが、
これもまた、日本の住宅の現実ではあるのだと思う次第。
ふむふむふむ・・・。