三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【難波和彦氏「箱の家」講演 in アース21総会】

2017年04月12日 06時24分52秒 | Weblog
昨年来、いろいろな経緯で東大名誉教授・難波和彦氏とのコミットがあります。
で、きのうは北海道内工務店グループ・アース21の札幌での年度総会にて
難波和彦氏による講演会が実現してそのアテンド役を仰せつかっていました。
ちょうど氏の「箱の家」シリーズの北海道での住宅計画があり、
その流れ的にもタイミングが合致したものです。

難波氏はながく東大工学部で教授を務められていましたが、
北海道の立場からするとこれまではやや縁遠い印象。
住宅関係者には「箱の家」は高名な存在ではあっても、
その機微に接する機会は少なく、また講演を聞く機会はなかった。
わたし自身も、講演というのは今回はじめて聞くことが出来ました。
また、講演までの時間でいろいろ「取材」することもできて
たいへん有意義にお話を伺うことができました。
北海道の住宅技術は、北大・荒谷先生が寒地住宅研究の端緒を開かれ、
その後、東大工学部出身者として鎌田紀彦先生が室蘭工大に
赴任されて、一気に実践的な工法研究が進んだわけですが、
難波氏はその東大工学部で鎌田紀彦先生とほぼ同時代を過ごされ、
同じように日本の住宅工法の合理化に取り組んでこられたということ。
東大では難波氏が池辺陽氏に師事されたのに対して、
鎌田氏は内田祥哉氏に師事されていた。
このふたりとも、プロトタイプとしての住宅をテーマとして
取り組まれてきたということが、取材ヒアリングで了解出来ました。
ただ不思議と接点はなかったようです。
鎌田氏はその後、北海道の工務店と工法の実践的革新に取り組まれ、
一方で難波氏は、「箱の家」シリーズという実作に取り組まれてきた。
どちらも当時の東大闘争によって影響も受けていたようです。
そのあたりの消息もたいへん興味深い部分がありました。
Replan誌面では現在、鎌田先生に「Q1.0住宅デザイン論」を
連載していただいていますが、そのモチーフとしても難波氏の
「箱の家」シリーズの仕事は有為なものと認識できました。

難波氏はこの2月に仙台で開催された北海道の住宅技術資格
BIS講習を受講され、幸い資格を取得されました。
東大名誉教授という肩書きを持たれながら、
なお一受講者として高断熱高気密の寒冷地技術を受け入れる姿勢には
地域としての北海道として、非常にリスペクトを感じさせられます。
今後とも、北海道と中央との関係づくりに於いて
大いに力をお貸しいただきたいと念願しております。
ということで、本日は数軒の住宅をみていただきたくご案内する予定。
あ、氏の「箱の家」の現在の北限 in秋田については、5月初旬発行の弊社
「東北のデザイン住宅2017」にて巻頭で紹介しています。
追ってご案内しますので、ぜひお買い求めくださいますように(笑)。
WEBでも販売させていただきます。
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