
さてきのう訪問してきた北海道幕別札内での岡本建設さんの住宅。
1カ月ほど前に、新住協北海道地区大会で工事中を見学していた建物です。
補助金申請はしていませんが、この住宅はNearlyZEHということで、
申請基準自体は満たしている性能要件の建物です。
全国的にZEHが脚光を浴びる中、それらがひたすら屋根に
有利にPV太陽光発電を載せることに目的が集中して、
長期的な社会的視認の住宅外観デザインとして疑問を持っていた次第です。
で、わたしがこの住宅に注目したのは、北海道幕別の寒冷地住宅において、
PV搭載6.4kで外皮基準を達成した性能要件に踏まえ、下屋部分の屋根への搭載だけで
ZEH基準を達成しながら、同時にノスタルジックな外観デザインを実現していたこと。


ただ、見学当時は外部足場が掛かっていて、
鎌田紀彦先生からも「よくわからなかった」という声が出ていました。
わたしは古民家外観デザインの長期的耐久力にリスペクトを抱いている人間ですが、
この岡本さんの建物を見て、昨年見学して来た飛騨高山の町家群を
おもわず脳裏に鮮明に再生させられる気分になったのであります。
写真は似たような角度からの対比です。
屋根の傾斜角度にはどうも似た雰囲気を感じさせるものがあり、
外壁に選んだ材の色合いにも共通性はあります。
しかし、いちばん感じたのは2階の階高が一見、1階にくらべて逓減していること。
これはたぶん、下屋部分へのPV搭載の必要要件から割り出された
「用からの決定」だったことが見て取れますが、
期せずして、飛騨高山の町家群の2階の外観的階高に近似している。
このことは鎌田先生からは、2階の日射取得、利用用途の減衰原因になるのではという
まことに正鵠を得たご意見もあった次第です。
しかしこのあたりは、PV搭載との見合いでのトレードオフのことのように思えます。
さらに寒冷地ではPVを2階窓から除雪メンテできる下屋集中設置は合理的。
下の写真は2階の内観の比較。


飛騨高山の町家では押さえた低い位置からの外光取得であるのに対して
北海道幕別の現代ZEHではハイサイドライト的な外光取得。
家族数減少の現代住宅で、2階居室に大きな日射取得の必要性が高いかどうか、
それよりも、1階の掃き出し窓とのコントラストの効いた2階での外光取得も
生活デザインの可変性を高めてくれるのではないかと考える次第。
きょうは外観デザイン的なポイントでこの住宅をご紹介しました。
みなさんのご意見もぜひ聞きたいと思っています。いかがでしょうか?