写真は先週行ってきた、新潟県上越市でのショット。
屋根の上に、あきらかに換気用と思われる小屋が乗っています。
これは地方によって、言い方が異なっていますが、
上越で呼び名を聞いたら「越屋根」と言われました。
その後、上州高崎でも同じ言い方でしたので、
まぁ、これが一般的な言い方なのでしょうね。
ただ、信州などでは「うだつ」と呼ぶのではないかと思われます。
よく、「うだつが上がる」という言い方をする場合の「うだつ」で、
家が繁栄してくると、そうやって言うのですね。
古民家などでは、屋根からいろりの煙を外に廃棄する用途だと思われます。
昔は、最初からこれを装置するのが経済的に難しくて
お金が貯まってきてから初めて開けたのでしょうか?
というものなのだそうですが、
北海道ではまず、こういうの、見たことがない。
っていうよりも、屋根自体、フラットルーフという無落雪タイプが
主流になってきているので、このように
屋根にデコレーションを加えるというような発想にいかない。
まぁ、そもそも、暖房の方式が、いきなりストーブから始まった
北海道と、その他の日本の地域、という違いなのでしょうか。
いろりによる暖房、というような考え方があった東北以南では
こういうデザインが見慣れた光景としてあったということでしょうね。
しかし、こうした地域でも一般的に建てられる住宅デザインでは
こういうタイプの屋根は採用されないケースが多いと思います。
一般的には板金屋根で、寄せ棟というスタイルが多いのではないでしょうか?
こうした「越屋根」って、むしろ北海道発祥の
高断熱高気密住宅がその南方バージョンとして、
伝統的住宅建築のひとつの手法に着目して再生させた、という面が大きい。
こうした地方では、夏期の室内にこもる熱気をどう抜いていくか、
という換気対策が、冬場の高気密住宅としての配慮以上の要素になる。
そういう問題の合理的解決策を探ったら、
伝統的なデザインにたどりついた、というところ。
単純に、どうやって開けるんだろうと疑問に思ったら、
スタッフの方が、やってくれました(右写真)。
それ用の長い棒状扱い器で、開ける。閉めるのは勢いよく閉められる。
で、網戸は外側についているので
夏場になると、ほぼ1日中開けっ放しというのが一般的使い方。
太陽光日射で床や壁、室内にこもった熱気が、
上昇気流に乗って、ここから室外に廃棄されるわけですね。
換気の問題を考えるときに、平面的に考えても実際には
それほど換気はうまくいかない、むしろ上下の関係で
空気の通り道を考える必要がある、ということのようです。
温暖化の進行という問題もありますが、
まぁ北海道では、現実的な選択肢に入ってくるとは思えませんね。
なるほど合理的、と思わせられた光景でした。
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