三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

よき公共建築選定システムは?

2008年11月10日 07時38分04秒 | Weblog



写真は先日のJIA建築家大会での基調討論の様子。
真ん中にいるのは、いま、公共事業の設計選定に関して
ある地方公共団体と係争している、山本理顕さん。
この事件というのは、一度設計協議が行われて山本さんが採用されたのにかかわらず、
選挙で信任された首長が、それを白紙に戻したというもの。

このような事件はそう珍しいことではなく、
地域の設計者では、長いものに巻かれろ的にならざるを得ないところを
正面切って、係争していると言うことで注目されているのです。
で、この討論会では、そういう問題ではなく、
いったい、よい公共建築選定システムとはそもそもどういうものか、
ということについて、論議されているのですね。
この問題、わたしも以前から興味を持っていました。
選挙によって首長は選ばれるのだけれど、
だからといって、そういう首長に「よい建築」選定眼があるとはいえない。
まして、組織としての末端の自治体建築担当セクションに
そういう判断力があるとは思われない。
ところが、実際には行政組織の恣意的な選定作業によって
さまざまな建築が、野放図に建てられているのがこれまでのシステム。
ある設計者と話していて、自治体側の公共事業担当者の対応ぶりを聞いて
さもありなんという現状を知らされているのですね。

少なくとも、こういう公共建築選定システムは
独立的な、地域の歴史伝統なども理解しているような
受け入れ先が存在すべきだという気がします。
それがいいかどうかは別として、
京都の地域景観の維持システムのような知恵が必要。
その地域が、どのような志向性を持って地域作りが行われていくのか、
という根幹的な部分の透明な議論が行われるべきだと考えられます。
現在の選挙システムが、こういうものまですべて決定力を持っているのだけれど、
言ってみれば、最高裁判所の裁判官国民審査のように、
システムとして破綻していると思う。
そういう結果、なんとも悲惨な公共建築が量産されている。
こういう存在は、維持管理の点も含めて
長く地域社会がその存在について責任を持っていかなければならないものなんだけれど、
そういう意義を持っている建物が、さてどれほどあるか?
20世紀後葉の、公共建築量産時期のものが
ほんとうに歴史のきびしい眼から評価されて存続していけるのか、
はなはだしく疑問だと思えるのですね。

そういう問題意識を、このJIAは少なくとも論議している、
という意味では、まだまだ捨てたものではない、
という思いも、一方でおおいに感じた次第です。
この論議が、今後、方向性を持って育っていって欲しいと思いました。



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セミオーダーPC

2008年11月09日 07時54分09秒 | Weblog



わたしはMacを使っています。
そんなことで息子にも、ずっと前のお下がりiMacを使わせていました。
けっこう改造とか、嫌いではないので
CPUとか、HDとか、
アップグレードできる部分はしていましたが、
やはり本人的にはゲーム使用を考えるとWindowsパソコンを希望。
で、最近になって内部アクセスへの興味が強まってきて
「中古を買っていろいろ変えられるようにしたい」
ということで、お父さんに聞いてくるようになりました。
母親も、そういうメカニックに興味を持つこと自体は大賛成。

というようなことで、テストも終わった土曜日、
親子ふたりで手作り用、PCパーツショップとか
中古PCショップとかを探訪して参りました。
ところが、中古PCというのは、各メーカーで仕様がブラックボックスになっていて、
マザーボードとCPUの適合性やら、グラフィックボードの適合性など
製造年代も含めて、まったく不明の世界。
たしかに3万円前後で、XPモデルが手には入るけれど、
内部アクセスの許容性という部分は、ほぼないのですね。
まぁ、確かにそれはやむを得ないなぁ、とは思うのですが、
そうすると、拡張性の高いPCパーツを組み立てて、自作に挑戦するしかない。
ということで、ときどき部品とか購入するショップ巡り。
Mac使いにとっては、部品だけにしか、興味がなかったのですが、
そういう興味というか動機で見てみると、
拡張性の高いパーツの組み合わせは、それはそれでジャンルが存在するのですね。
電源も800vという大容量も存在する。
CPUにしても、マザーボードとの相性もあるから簡単ではないけれど
インテルに押されているAMDではコストパフォーマンスの高いものもある。
それとなんといっても、グラフィックボードが問題。
最新の高機能ボードは、マザーボードも対応しているかしていないか、
結局、そういう風に考えていくと、
スペック仕様的に、ふたたび完成品のショップオリジナルのほうが有利になる。
メカニックに柔軟に対応できる筐体はゆとりのあるタワータイプ。
中に入れるマザーボードも、拡張性の高いスペックのタイプ。
グラフィックボードも、いろいろに選ぶことが可能。
で、4軒ほどショップを巡って、息子と打合せ。
10何年間かのお年玉を使う買い物なので、かれも珍しく真剣。
商品の適性とか、価格の妥当性とか、仕様についての性能的判断とか、
PC選びについての知識を概略与えて、判断させた次第。
結果、かれが選択したのは、セミオーダー的な写真のようなPC。

なによりPC内部へのアクセスが容易なので、
パーツの変更が自由自在に出来るというのが勉強になる。
これからの男の必須の知識は、クルマもさることながら、
PC系のメカニック知識というのも、不可欠になってくるのではないでしょうか。
これから親子で、PCのケースを開いて、
「だから、マザーボードのそこにあるパーツが問題だから・・・」
みたいなアキバ系オタク会話(?)を交わしていきたいものだと念願しています(笑)。
っていっても、かれが大人になる頃には
PC知識は、常識のものになっているのでしょうね。
昔のひとは、マザーボード改造もできなかったんだ、みたいなことになっているかも知れません。
さいわい理数系と、歴史というのがかれの主要興味。
親子でたのしく会話していく共通基盤が増えていくようです。

PS
ってことだったんですが、あらら、
起動させたら、音が出ない(笑)。
Mac使いには、音源装置も別売りというのは、カルチャーショックです。
安いスピーカ、探さなきゃ・・・。




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白い化粧

2008年11月08日 08時59分33秒 | Weblog



昨日から、札幌は本格的に白いものが舞い始めました。
夏タイヤから冬タイヤに履き替えもちょうど終わらせたところでした。

毎年、冬の向かえかたって、いろいろあるんだけれど、
やっぱり北海道は、白い雪が一気に全部を化粧するっていう
単純に劇的なことがやってくる。
こういう当たり前のことに、歳を取ってくると、思いが深くなる。
ブラックアウト、という言葉があるけれど、
北国の人間の感覚からすると、冬の訪れは
「ホワイトアウト」という感覚に近い。
まぁ、劇的な場面転換が暗転ではなく、白転とでも言えるような感覚でしょうか。
で、来てしまえば、しばしの間、見とれているようなところがある。
小さい頃からの初雪の記憶がフラッシュバックしてくる瞬間。
きれいだ、とかいう感覚とは違うんですね。
確かに綺麗ではあるんだけれど・・・。

雪にも色があるって、
札幌の絵描きさんが言っていましたが、
この初雪は、そういう白色世界のバリエーションの始まり。
視覚領域の中に、ベーシックに白が入り込んできて、
他の色達とのコンビネーションを構成する。
北国の住宅って、外観で言えばこういう白の世界との対話が
けっこう大きな部分なのではないかと思う。
下見板張りの外壁を復権させた建築家・倉本たつひこさんは
こういう雪のなかでの建物の調和を考えていたような気がする。
わたしたち、北海道の人間が、倉本さんの住宅を見て
「そうだよ、こういうのが北海道なんだよ」
って思えたのは、こうした心象意識があったのではないかと思う。

まぁ、雪に似合う色合いとか、質感とか、
やっぱりそういう感覚からわたしたちは無意識ではいられない。
そういう風に考えてくると、
もっと外観について、論議があってもいいと思うのです。
雪の季節に、家を実感させてくれる外観って、
さて、どんなことなのでしょうね。
<写真は雪化粧した庭木を上から見下ろしたところ>



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露出の電気配線工事

2008年11月07日 07時35分53秒 | Weblog



わが社の2階はイベントができるようなスペースを持っています。
6年ほど経過したのですが、やや照明が少なめでした。
電気配線は、「オール電化」の視覚的表現と言うことで、
可能な限り、露出配線をしています。
久しぶりに建物に手を加えなければならないので、
ついでに電気工事での追加照明を考えて打ち合わせした次第。

電気工事って、まず表側に出てくることがない。
だいたいは構造段階での配線工事で、壁の中に隠されるのが一般的。
当社のようなケースは大変少ないのでしょうが、
その分、一生懸命になってやっていただいて、
思い出話なども交えての楽しい打合せでした。
6年前にこうした露出配線の経験のある職人さんは、ほぼリタイア状態。
ということなので、出来る人間をまた捜さなければならないのですが、
「なんとかできるでしょう」ということでアテもありそう。
インテリア的には、構造の素地表しに近い空間なので、
やはり電気配線の仕上がりが決め手になりそうです。
さてどういう具合に仕上がるか、楽しみにしていたいと思います。

トヨタの決算見通しが発表されていました。
対前年比70%減少と言うことですね。
主要なマーケットであるアメリカ市場の景気減速が加速して、
業績を押し下げると言うことだそうです。
さて、どういう方向に向かっていくのか、
当面はアメリカの状況から目が離せないのではないかと思われますね。
但し、経済はひとびとの気持ちの問題も大きい。
ブッシュからオバマに政権が代わって、
前向きな社会になっていくのかどうか、
そういう部分が、結局は経済をも規定していくのではないでしょうか。
まぁ、なんとなく、これ以上は悪くならないのではないか、
というような気分が、いまのところ支配的のような気がします。
オバマには、メッセージを伝える力がある、と言われています。
当面は、様子を見ていくという状況になるのでしょうね。



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ブッシュの退場

2008年11月06日 07時50分57秒 | Weblog



アメリカ大統領選挙がオバマの勝利に帰した。
かれが黒人であり、民主党であるというより前に、
「ブッシュからようやく代わる」という安心感のようなものが広がっている気がする。
ブッシュという人物は、アメリカ社会の中ではどのように見られているのか知らないけれど、
他国の民衆からすると、困った地球最高権力者だった。
9.11の悲劇は、多くの人びとの共有するところではあるけれど、
そこからかれが取った戦争政策は、
あまりにも戦略的とは言えない、愚行だったといわざるを得ない。
仕方なく、あの決定を支持する他はなかった国々の指導者たちも
内心で、どのように思っていたのか、
ある特定の勢力にとって、ああした路線は意義があったのだろうが、
しかし、世界戦略的には、アメリカの孤立だけが強調されたと思う。
ある程度定期的に戦争を行った方が、武器生産軍需産業には
好都合ということはあるのだろうけれど、
それを世界最大の権力を握る国家が振り回していたのでは、
矛盾が拡大する方向にしか向かない。
最後は金融の破綻もあって、
アメリカ国民は、早くかれの治世時代を忘れたい、
なんとか現状を変えていかなければならない、と考えたと思う。
ブッシュという名前からは、野放し、放逸な資本主義、というような言葉しか浮かんでこない。

というような印象の方が強くて、
まだ、形式的には1月まで、かれがアメリカの大統領なので、
最後にも、もうひとつくらい惨禍を引き起こしそうな危惧も強い。
完全にかれから権力が消え去るまで、もう少し。
しかし、アメリカも、パパブッシュからあのブッシュまで、
貴族化した2世が権力を握るという
日本の状況とも似通ったシステムになっていたのかも知れない。
もちろん、2世だからダメだとは言えないけれど、
ここのところ、首相として出てくる人間がすべてと言っていいくらい
2世議員であるという日本の現状を考えると
そういう平和な選択で現代のような時代の国家意志決定システムは
大丈夫なのだろうかと考えてしまう。
あの「改革」大好き小泉さんが、「親バカですが」と
前口上で済ませてしまって自分の「選挙区」の後継に
臆面もなく、若殿様ふうの息子を紹介する様は、首をかしげざるを得ない。

2世の方が、この「民主主義代表選挙」システムでは
環境に適合しやすいのだ、ということだとすれば、
民主主義制度そのものが生み出す弊害なのかも知れない。
確かに人気投票のような個人名投票では、
タレントのようなよく知られた人物か、
前のひとと、よく似た名前と顔かたちの方が受けがいいのだろう。
案外、民主主義システムって、
こういうことの結果、滅びていくものなのかも知れませんね。
<写真は無関係です。隅田川>




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平安期の北海道の住居

2008年11月05日 06時16分41秒 | Weblog
考古学の資料の楽しみにジオラマがあります。
時代の考証を、研究専門家がさまざまに総合して
時代再現を試みるものですね。
時代小説家が特定の時代を描写するのにも似て、
事実の積み重ねと、一定の想像力で作り出す世界ですね。

写真は北海道埋蔵文化財センターに展示されていた
「檫文」時代の住居復元模型です。
檫文って言うのは、ヤマト政権側でいうと平安から鎌倉にかけての時代。
文字表記による資料はないけれど、
末期古墳が造営されたりしているのです。
千歳空港近くで発掘されているものもそうしたひとつのようですが
ヤマト政権国家と、活発な交易活動などで
相当に深い交流があったと考えられます。
交易が生業化もしていたようで、
生活に欠かすことが出来ない刀子~ナイフのようなもの~など
鉄製品を自分たちでは生産せず、交易に頼っていたと考えられている。
自分たちはアザラシの皮や、クマの皮、熊の胆、鷲の羽などの
狩猟結果品を交易の材料として取り続けていた。
そういう交易品が自然的な再生産力を超えてしまうような事態もあっただろうし、
狩猟の場所などの権利関係を巡っての内部争闘もあったに違いない。
後期になってくると、防御集落的な形態が増えてくるし、
交易入手品に刀などの戦闘用品も増えてくる。
緊張が高まっていった社会だったに違いない。

住居形式としては、土を掘り込んだ竪穴住居で、
柱を立てて、梁を渡し、骨組みを作ってその他の構造造作を作っている。
入り口付近など、木を曲げてアーチ状に造作している。
木と木はシナの木などのやわらかい木や、縄などで結び込まれている。
このような構造に、茅などの素材で表面を覆って仕上げたものと思われます。
檫文の住居はその後のアイヌ文化に重層していて、
それとしての実物は残存していない。
土器による食物調理加工だったので、暖房の囲炉裏のほかに
「かまど」がしつらえられていた。

秋になって大量に獲れるサケが主要な食糧源なので、
だいたいが大きな川の河口や、港状になっている地域に集落が営まれた。
交易のための狩猟採集を基本にしながら、
少量のヒエ・アワといった炭水化物を栽培し、
ヤマト政権側との交易のために水利を利用して、
石狩川水系地域から、遠く青森県や秋田県地域、
場合によっては北上川河口の石巻周辺などにも旅した。
こういった交易民との窓口になったのが、古代蝦夷といわれる
東北古代の人びとだったのだろうと。
そういう風景の中に、ヤマト王朝側の「歴史人物」が複雑に重なってくる・・・。

北海道と日本の関係、
かなりさかのぼって、いろいろ想像力を掻き立ててくれる。
住宅の模型から、しばし、思いが膨らんできます。




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「北方世界の古代文化」講演会

2008年11月04日 06時11分13秒 | Weblog



きのうで、北海道開拓記念館で行われていた
「古代北方世界に生きた人びと」展が終了いたしました。
最終日を飾って、福島大学名誉教授・工藤雅樹先生の講演会が開かれました。
先生の著作はだいぶ、読んでいまして、
まさに先生はこの古代北方世界の歴史の第一人者という方です。
あいにく冷たい雨が降りしきる悪天候でしたが、
会場は130人くらいはいたでしょうか、大盛況。
比較的に高齢の方が多かったのですが、なかには子どもさん連れもいたりで、
こうした興味が徐々に膨らみつつある現状を物語っていました。
わたしの興味がすこし多くのみなさんとも共有していると感じられて
ちょっと、うれしくなりますね。
カミさんからは「チョーマイナー」と言われている(笑)次第ですが、
こういう光景を見ると、カミさんに報告したくなります。が、
彼女は別行動で、残念でした。

工藤先生のお話は著作を通して論旨は理解していますので
その詳細な展開部分に、強い興味を抱きました。
とくに古代歴史の世界でも、人間の営みがかいま見えてくるような部分、
たとえば、国衙を襲って犯罪人になっていた不良貴族が
最高権力者・藤原道長に贈り物などで取り入って、
当時最大の利権役職、対蝦夷交易の責任者・鎮守府将軍職をめでたく拝領するくだりなど、
生々しい「悪徳の栄え」を見るようで興味深い。
また、ヤマト朝廷側との交易の進展にともなって、
蝦夷の側の社会構造も変化していって、
次第に部族間・有力者間での争闘が激しくなっていった様子など、
当たり前ですが、欲望と悪徳と、弱肉強食が支配する人間社会の縮図を見せてくれます。

講演後も、先生は展示会場に姿を見せていただけ、
2,3の質問にも答えていただけました。
わたしが一番聞きたかったのは、「奥州の馬」に関することなのですが、
最先端の研究でも、まだまだ、このあたりのことは不明のようです。
いろいろな推論が交わされているのが現状ですよ、というお答えをいただけました。

たいへん興味深く、想像力も刺激される講演で、
しばし、その余韻にひたっている次第です。
また、先日来旧交を温めさせていただいているUさんからは
貴重な資料もいただけました。深く感謝しております。
ありがとうございました。
さてさて、ライフワーク、資料がいよいよ充実してきました。ふむふむ・・・。



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銀鱗荘

2008年11月03日 06時20分09秒 | Weblog



銀鱗荘って、北海道に住んでいる人なら
名前だけしか知らない典型的な高級旅館として有名。
余市の大網元の建てた宏壮なニシン御殿を小樽に移築して
温泉を掘り出して、旅館に改装したものです。
まったく自慢ではありませんが、わたし宿泊したことはありません。
なんといっても、宿泊は大人ひとり40000円で、
オーシャンビューの和室は、50000円なんだそうです。
ちょっと目がくらくらとしてきますです、ハイ。
以前にも一度、見に行ったことがあり、
そのときは、「北海道新聞社さまご一行」という名札を見ました。
すごいなぁ、儲かっている会社は・・・、
って、垂涎の思いで眺めておりました。

きのう、久しぶりに小ドライブで、カミさんと
昼下がり、ケーキとコーヒーを楽しんで参りました。
とはいっても、別棟の「グリル」のほうですが、
こっちも建築的には同様で、余市から移築されたもの。
ただし、何回かの修復が行われてきていることは明白でした。
余市という漁場は、「千石場所」と言われたそうで、
大名というのは1万石以上を大名というのですから、
その10分の1相当の富を、網元という一資本家が独占していたのですね。
それも基本的には収奪型の経営なワケで、
領民の安全を保証したり、家臣を養うのに巨大な保証をしなければならない
大名と比較して、経済的にはたいへん有利だったのでしょう。
江戸期を通じて、服飾というファッション産業を支えた木綿生産の
基本部分を担ったのが、北海道のニシン漁業だったので、
販売の方は、無尽蔵的な需要が見込まれたのですね。
そんなことから、北海道での網元というのは、
当時の日本の資本家層にとって、
ぜひとも入手したい権利だったのだと考えられます。
場所は確かに北海道だったけれど、
経済の動きで言えば、全日本的な規模での「投資」だったのでしょう。
ニシン漁の活況が消え去ったとき、
北海道にはそういう蓄積した富や、文化伝統が残らなかったのも無理はありません。
ただ、建築だけはやむなく当地に残らざるを得なかった。

そういう歴史的経緯で、存在している建築。
グリル館を見るのがやっとなワケですが、
それでも断片的に、その豪壮ぶりは伝わって参りました。
内部にはいると、2階まで吹き抜けがあるのですが、
思わず見上げると、天井が「塗り土」仕上げ、聚楽とおぼしき仕上げなのです。
とまぁ、何とはなしに想像したのですが、
考えたら、天井に土塗りするって、作業的にも大変そうだと思い至りました。
梁や柱の位置関係、際の様子などを観察すると、
やはり塗り仕上げに間違いはなさそう、まさかクロス仕上げではない。
下地の竹の木組みに対して練った土を塗っていくのだろうけれど、
それが重力に反しているのだから、土を押さえるのに
どのようにやったものなのか、左官仕事の詳細知識がないので、
ちょっと、わからなくなってしまいました。
その天井から軒側に向かって傾斜する天井部分には
土壁の上から竹が、ちょうど土を押さえるように羽目込まれていました。
お店の人に聞いたら、それでもときどきポロッと土が落ちてくるそうです(笑)。
っていうことですから、やはり水平天井部分、どうやって土を押さえているのか
いよいよ、興味を深くいたしました。
こういう部分、こっそりどなたか、教えてください(笑)。

まぁ、越後の宮大工の仕事になる豪壮建築、
やはり、一度はしっかり目に叩き込んでおきたいものだと思いました。
でも、一泊40000円って、う~む・・・(汗)。



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現代の戦争世界史

2008年11月02日 09時21分38秒 | Weblog



わたしが歴史が好きなのは、このブログの読者のみなさんにはお分かりでしょうが
直近の時代である、太平洋戦争の時代史は
あまりにも資料がありすぎて、正史として定めにくい部分がある。
また、権力のなまなましさが戦後に連なる部分も多いので、
教科書的にも触れにくい部分。
しかし、考えてみると、明治維新から敗戦までの時間と、
現在時点の戦後との時間が釣り合いが取れてくるほどになってきた。
そんなことで休日、戦争のアメリカ側からの視点でのものを見ていました。
ドキュメンタリー的にアメリカの政治事情も伝わってきて、
国民には知らされていなかった
日本の政治意志決定プロセス内部での葛藤なども伝わってくる。

日本のナマな権力構造って、
やはり恐ろしい構造をしていると実感させられる。
沖縄戦での地上戦での困難ぶりが、
精神文化を異にする国家との陸軍戦での泥沼のような状況が
アメリカ内部で相当に議論されたことは想像に難くない。
そんないろいろな思いを知らしめさせられました。
http://jp.youtube.com/watch?v=gbnNwM6wcVk&feature=related

で、わたしたちは戦争に負け、
その後の社会が形成されてきているのだけれど、
アメリカという国は、戦勝国家として、時間的には続いてきている。
その後、ベトナムでの敗戦があるけれど、
たいして反省のないまま、いま、イラクを占領し続けていて、
しかも、金融経済的には未曾有の恐慌的局面を迎えている。
世界大戦の契機は、NY大恐慌が引き金になって来ている、という見方からすると、
今回の局面をアメリカという国は、どうやっていこうと考えるのか、
大きな危惧を持たなければならないと思う。



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木床の防音対策

2008年11月01日 09時53分52秒 | Weblog



生活騒音の問題って、
日本人の生活意識が変化してくるにつれて問題化してきました。
戦前までの賃貸住宅中心の住環境では、
都市型住宅であれば、あり得ないような問題だと思います。
京都などの町家形式住宅でも、隣家とは場合によっては
薄い壁一枚の隔てしかない環境が当たり前。
むしろそういう環境の中で、他者の心情を推し量る、という
日本的な精神文化が涵養されてきたのではないかと思われるくらいです。
江戸の町民も、庶民はほとんどが権利意識の薄い賃貸住宅・長屋に住んでいて
ひとつの井戸を共有して暮らしているのが生活スタイル。

そういう生活意識が劇的に変化してきたのが、
戦後の社会でしょう。
アメリカの占領を経て、個人主義的な生活文化が導入され、
権利意識というものも高まり、
同時に「持ち家化」政策が経済の高度成長とともにたいへん有効に働いて
マンションなどでも「区分所有」という概念で取引されてきた。
区分所有とは、個人の権利意識を幅広く認める考えに基づく。
極端に言えば、高いお金を払って「所有」した空間内部では
誰からの干渉も受けるのを受忍しない、という態度が広がってきた。
そうした拡大した個人主義って、
ちょっと歴史をさかのぼれば、日本人の生活文化伝統にはなかったことはすぐに気付く。
・・・はずなんですが、なかなかそうは割り切れないのが現代の状況。

っていうようなことで、建築の側で、
さまざまな防音対策の工夫が行われるようになってきている。
写真はあるメーカーが開発した木床と、構造との間に入れるクッション材。
型と強度維持が難しそうなので、高いものだそうです。
効果はある程度出るものでしょうが、
しかし、住宅110番に寄せられる騒音苦情って、
いったん、受忍限界を超えてしまってからなので、
こういう工夫だけでは、納得させられるものとも思えません。
そんなことを考えていたら、
住宅の研究組織・東北フォーラムから以下のような案内が来ました。

住まいと環境 東北フォーラム
第66回研究集会 フォーラム共催行事

橋本典久先生・日本建築学会賞受賞記念講演会
(日本建築学会東北支部60周年記念)
「集合住宅における床衝撃音性能と騒音トラブル」

 橋本典久先生(八戸工業大学工学部建築工学科・教授)が
「拡散度法による床衝撃音遮断性能の予測に関する研究 」にて、
平成20年度日本建築学会賞を受賞されました。これを記念に企画された講演会です。
 ご講演内容は、建築関係者だけでなく一般市民や学生向けに、
身近な集合住宅における騒音問題を取り上げていただいておりますので、
この機会に奮ってご参加いただけますよう、下記のとおりご案内申し上げます。
皆様のご参加を心からお待ちしております。

■日 時:平成20年12月5日 15:00~17:00
■場 所:フォレスト仙台(宮城県教育会館)第1フォレストホール
(仙台市青葉区柏木1-2-45 TEL:022-271-9340)

■共 催:日本建築学会東北支部環境工学部会,
  住まいと環境 東北フォーラム
■定 員:100名(申し込み先着順)
■参加費:無料
■申し込み:「騒音トラブル講演会参加申し込み」と明記の上、
参加者氏名・所属とともに下記宛にE-mailもしくはFaxにてお申し込み下さい。

住まいと環境 東北フォーラム 担当:柴田
FAX 022-221-9243 E-mail htoenv@rio.odn.ne.jp

もし興味を持たれる方は
発表を聞かれたらいかがでしょうか?



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