こういう空間にたたずむと、なじむ・・・。
写真はきのう取材してきた長野県岡谷市の住宅。
和風住宅の楽しさをたっぷりと味わえる家です。
そのなかでも、北海道に暮らすわたしとしては、こういう広縁に強い憧れを抱く。
床板のヒノキはどこまでも清浄感をたたえています。
庭に面して開放されたこういう場所は、
日本的な自然観や、感覚の大きい部分に色濃く影響を及ぼしていると感じるのです。
こういう空間から、庭を眺めるわけですが、
場合によっては、こういう空間から庭の白砂上で腹を切るシーンを
「見届け」たりすることすらあったでしょう。
死生を分ける結界的な空間でもあったのだと思うのです。
こういう広縁に込められた民族的な感覚って
たぶん、完全には説明できない、さまざまな精神文化につながる部分がある。
正面には円窓が開けられています。
ここからは、梅が眺められる、というか一幅の絵として
梅の花の咲く様が、室内に円窓を額縁として切り取られている。
右側の横長の大開口は、日本人が感覚してきた寸法の原点的なもののような気がする。
よく、左右の黄金比率というようなことを聞きますが、
こういう日本建築の寸法は、さてどうなのでしょうね。
日本の屏風絵という絵画形式がありますが
あれも、こういう寸法が基準になっているものだと思う。
こういう伝統的な空間にペアガラスの樹脂窓が嵌め込まれ、
しかも重厚な気密断熱性が施工で確保され、
冬の厳しさの中でも、むしろ古人達が楽しむことが出来なかった
雪の降りしきるようなさまも、楽しく感受することが出来る。
わたしたちは、伝統に育まれながら、
こういう進化した住宅性能で、まったく新たな体験も感覚できるようになってきている。
利休さんが、いま生きていたら、
こういう性能を獲得した住宅建築から、
いったいどのような「わびさび」精神文化を紡ぎ出すのだろうか?
北海道から長野に来て、
そんな思いがふとしてくるような空間を体験しました。
楽しい取材でした。ありがとうございました。
<来年早々に出版予定の「エコ住宅Q1.0」第2号掲載の予定です。>
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