ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

ハリー・オーガスト、15回目の人生

2018-09-30 18:36:04 | 読書
クレア・ノース『ハリー・オーガスト、15回目の人生』





 振り返ってみると、ずっとカバーに描かれたイラストの世界観に支配されたまま、この本を読んできたような気がする。
 それほど、小説の世界とイラストは、ぼくの中でぴったり重なっていた。

 理由もわからず繰り返される人生。
 どんな最期を迎えようとも、決まって同じ赤ん坊として生まれてくる。
 前世の記憶をしっかり持ったまま。
 そうやって800年も生き続けることの疲労感、絶望感。
 世界の終わりが早まっているというメッセージを受け取り、その元凶を探し、対決する長い物語。

 カバーの、遠くを見つめる男の表情が、いつまでも忘れられない。
 彼の人生は、本を閉じた後もまだまだ続くのだと。

 装丁は國枝達也氏、イラストは高橋将貴氏。(2017)


 現在は違う装丁になっている。(2018)