オテッサ・モシュフェグ『アイリーンはもういない』
愛される人がいる。泣いても怒っても、失敗しても許されてしまう人。
一方で、誰からも気にされない人もいる。たぶん、こっちの方が多い。
アイリーンは気にされない。いてもいなくてもわからない。
本人はそう思っている。
そんな彼女の前に、愛される同僚が現れる。奇妙なことに、アイリーンを気にかける。
悪意に満ちた世界。
アイリーンはそう感じている。だから、読んでいて気が抜けない。同僚の真意はなんだろう。
老齢になったアイリーンが、若いときのことを語る形になっている。
その年まで、彼女は無事なのだ。
さまざな経験を重ね、冷静に若い自分を見つめている。
でも、どうやって嫌悪している自分から抜け出したのだろう。
肝心なところは語られない。
いまいる場所から逃げ出せば、すべてが一新されると言っているようにも読める。
どこにいても、自分自身が変わらなければ、周りも変わらない。
年を重ねるなかで、アイリーンはそのことに気づいたのだろうか。
装画は牛島孝氏、装丁は早川書房デザイン室。(2018)
愛される人がいる。泣いても怒っても、失敗しても許されてしまう人。
一方で、誰からも気にされない人もいる。たぶん、こっちの方が多い。
アイリーンは気にされない。いてもいなくてもわからない。
本人はそう思っている。
そんな彼女の前に、愛される同僚が現れる。奇妙なことに、アイリーンを気にかける。
悪意に満ちた世界。
アイリーンはそう感じている。だから、読んでいて気が抜けない。同僚の真意はなんだろう。
老齢になったアイリーンが、若いときのことを語る形になっている。
その年まで、彼女は無事なのだ。
さまざな経験を重ね、冷静に若い自分を見つめている。
でも、どうやって嫌悪している自分から抜け出したのだろう。
肝心なところは語られない。
いまいる場所から逃げ出せば、すべてが一新されると言っているようにも読める。
どこにいても、自分自身が変わらなければ、周りも変わらない。
年を重ねるなかで、アイリーンはそのことに気づいたのだろうか。
装画は牛島孝氏、装丁は早川書房デザイン室。(2018)