ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

マクソーリーの素敵な酒場

2018-11-17 22:31:37 | 読書
ジョゼフ・ミッチェル『マクソーリーの素敵な酒場』





 濃い緑色の表紙に、白抜きで英語のタイトルが入っている。

 帯を取ると、酒場の入口、扉が開いていて店内が見える構図だとわかる。

 手描きのタイトルは看板なのだ。

 白と黒と緑の単純な線が、古い雰囲気を作り、1940年頃の酒場へ誘ってくれる。


 てっきり、この表紙は、元の英語版を流用していると思っていた。

 では、日本語タイトルが入っている、中央の白い部分には何が描かれていたのだろう。

 酒場のカウンターの奥にあたるところだ。

 アマゾンで調べると、英語版の表紙にはセピア調の写真が使われ、まったく違う雰囲気。

 ノンフィクションらしさが漂う。

 ということは、日本語版は、あらたに描いたものなのだろう。


 書店で最初に手にしたとき、酒場を舞台にした小説だと思った。

 しかしそれは、最初の一文を読んだ瞬間に誤解だったと気づく。

 それでも、読めば読むほど、これは本当の話なのだろうかと疑いたくなる。

 それほど、変わった人たちが登場する。


 古きよきニューヨーク。

 失われた街の、失われた場所。

 そんな郷愁にひたりながら、ネットで検索してみると、「マクソーリーズ・オールド・エール・ハウス」は、現在も営業しているのだった。


 装丁は重実生哉氏。(2017)











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