ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

地下鉄道

2018-11-10 11:51:18 | 読書
コルソン・ホワイトヘッド『地下鉄道』





 最初に見たのは、雑誌の記事。

 著者のインタビューとともに、本の写真が掲載されていた。

 まだ翻訳本が出る前だったと思う。

 オリジナルの英語の本は、鮮やかで、とても印象的な表紙だった。

 それから間もなく、書店でほぼ同じデザインの翻訳本を見つけた。

 布に印刷したようなムラのある朱色。

 白で縁取りされたトンネルの中に線路が描かれている。

 タイトルから地下鉄だとわかるが、どこにも車両はない。

 迷路のように見える線路の途中に、逃げる黒人女性のイラスト。

 離れた場所にマスケット銃を抱えた男。

 トンネルの先端にスコップ。

 これだけで物語のアウトラインが見える。


 奴隷制という残酷な史実に、大胆な空想を織り交ぜた、ハラハラする娯楽小説。

 人種問題がからんでくると、単純に楽しんでいいのかと踏みとどまる気持ちがよぎるが、深く考えずに小説の世界に浸った方がいいのだろう。

 表紙を眺めていると、ボードゲームに見えてくるし、ストーリーには「ふりだしに戻る」ような展開もあるのだから。


 オリジナルのデザインはOliver Munday。(2018)


帯に刷られた受賞歴がすごい







コメント
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