エルモア・レナード『オンブレ』
最初に読んだレナードの本は『グリッツ』で、何十年も前のことだ。
その当時は、まだレナードの文庫本が何冊も書店に並んでいたから、次の1冊を手にするのが楽しみだった。
いつの間にかレナードの本を見かけなくなり、古書店で探しても、持っている本ばかり。
人生の楽しみがひとつ消えていくのを感じていた。
昨年末『ラブラバ』の新訳が出たけれど、すでに旧訳の方を読んでいたので、気持ちの高ぶりはなかった。
ところが、このたび。
本当の新刊だ。村上春樹訳、なんと西部小説。
期待していたものと少し違ったが、先の見えない面白さ。
どちらかというと、併録された『三時十分発ユマ行き』の方が、ぼくはレナードらしさを感じた。
「本人も知らなかったが、実はすごい男」という人物と、それを間近で見て驚く悪党との微妙な関係の変化が、わくわくする物語の始まりを予感させるのだが、とっても短い話で、渇望感が増してしまった。
エルモア・レナードの本が、これからも訳され続けることを、星に願う。(2018)
最初に読んだレナードの本は『グリッツ』で、何十年も前のことだ。
その当時は、まだレナードの文庫本が何冊も書店に並んでいたから、次の1冊を手にするのが楽しみだった。
いつの間にかレナードの本を見かけなくなり、古書店で探しても、持っている本ばかり。
人生の楽しみがひとつ消えていくのを感じていた。
昨年末『ラブラバ』の新訳が出たけれど、すでに旧訳の方を読んでいたので、気持ちの高ぶりはなかった。
ところが、このたび。
本当の新刊だ。村上春樹訳、なんと西部小説。
期待していたものと少し違ったが、先の見えない面白さ。
どちらかというと、併録された『三時十分発ユマ行き』の方が、ぼくはレナードらしさを感じた。
「本人も知らなかったが、実はすごい男」という人物と、それを間近で見て驚く悪党との微妙な関係の変化が、わくわくする物語の始まりを予感させるのだが、とっても短い話で、渇望感が増してしまった。
エルモア・レナードの本が、これからも訳され続けることを、星に願う。(2018)