ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

オンブレ

2018-11-14 18:57:07 | 読書
エルモア・レナード『オンブレ』




 最初に読んだレナードの本は『グリッツ』で、何十年も前のことだ。

 その当時は、まだレナードの文庫本が何冊も書店に並んでいたから、次の1冊を手にするのが楽しみだった。

 いつの間にかレナードの本を見かけなくなり、古書店で探しても、持っている本ばかり。

 人生の楽しみがひとつ消えていくのを感じていた。

 昨年末『ラブラバ』の新訳が出たけれど、すでに旧訳の方を読んでいたので、気持ちの高ぶりはなかった。

 ところが、このたび。

 本当の新刊だ。村上春樹訳、なんと西部小説。

 期待していたものと少し違ったが、先の見えない面白さ。

 どちらかというと、併録された『三時十分発ユマ行き』の方が、ぼくはレナードらしさを感じた。

 「本人も知らなかったが、実はすごい男」という人物と、それを間近で見て驚く悪党との微妙な関係の変化が、わくわくする物語の始まりを予感させるのだが、とっても短い話で、渇望感が増してしまった。

 エルモア・レナードの本が、これからも訳され続けることを、星に願う。(2018)
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