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熊本 電気館ーDENKIKANー
最終日は朝から
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前から気になっていた「電気館」という小さな映画館で、
これも気になっていた映画を、ちょうど上映していた!
このチャンスを逃すテはない…ということで、行ってみました。
電気館ことDENKIKANは、なんと明治44年創業だそうです。
活動写真時代!?
単館上映系の、「オーナーが選び抜いた秀作
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大阪でいうところの、「テアトル梅田」「シネ・リーブル」系ですか。
1階にフレッシュネス・バーガーが入っていて、アメリカ~ンなノリです。
映画前・映画後に、しみじみとコーヒーを飲んで腹ごしらえして、
「さー頑張るか!」って気分になるのもいい。
2階に上がると(階段もあるけどエレベーターがあるので高齢者にも親切)、
小さなロビーもいい感じ。これまた小さなテラスにテーブルがあり。
テラスから商店街を行き交う人が見えるので、開放感があります。
そして映画館入口に、しゃれたバーが
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食事も出来そうです。夜なら映画の後にカクテルとか飲んでみたいな
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100席ほど?(もっとあるか)の小さな館内で、でも最新設備です。
「ご自由にお使いください」と、小さな(手作り?)座布団とひざ掛けがあるのが、
なんともニクイ!
ひざ掛けがあるのはわかるとして、座布団は初めてです(笑)。
小さいので、座布団ならぬ「小布団=こふとん」(フィギュアファンならウケて下さい)。
私も腰にあてがいました。ややラクです。
今日の映画は短いからいいけど、「地獄の黙示録」なんかだったら、小布団必須。
予告編の時間が超短い
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「おみおくりの作法」→公式HP
朝日新聞で取り上げられていて、実際に見て、
「この邦題だけが残念」という意味がわかりました。
う~ん。「おくりびと」を連想するかなー。
でもこれ以外になんと翻訳すればいいのか
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テーマが難しいので、日本語でどう表現すればいいのか。難しい。
主人公は、独身公務員のおじさんです(おじさんだけど私より年下…)。
ドイツ人画家、ミヒャエル・ゾーバの絵に出てくるサラリーマンっぽい。
まず第一印象はそれです。
虚無感をまとっています。「生き生き感」ゼロ。
恋人も友達も家族も財産も(?)特に趣味もなし。
でも、仕事は真面目にこなします。
彼は、アパートなどで孤独死した人の、身元調査をして遺族を探し、
葬儀・埋葬まで面倒をみる、そんな公務員です。
部下も同僚もなく(上司は別の部屋にいるけど意地悪ー)、
ただ一人でその部署の仕事をしています。
出勤しても一人。昼食も一人。アフター5も一人。
会話を交わすのは、「遺体管理室」の番をする、だるそーな青年だけ。
孤独でかわいそうに見えます
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でも、一人で死んでいったアカの他人に対し、彼は誠実に行動します。
その人その人の宗教に合わせて、葬儀を行うシーンが冒頭に出てきますが、
カトリックもあればイスラムもある。
故人が好んだ(と思われる)音楽CDまで用意して流してあげる。
参列者は、牧師と彼しかいないのに。
孤独な人だけど、根は優しいのだと思います。
というか、それが彼の「唯一の生きがい」だったのかも。
物語は淡々とすすんでいきますが、終盤近くになって大ドンデン返しが
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私、映画館で思わず「A
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ノドの奥からヘンな声出してしまいました(笑)。
そんな~~~~~~~~~。。。
でも、「これが人生」とも思うのでした。人生の皮肉というか。
いろんな思いが渦巻くのですが、若い人にはちょっと退屈でつまらんかも。
ある程度トシをとった、いわば「死期が見えてきた」人が見ると、
深い感情が湧きあがると思います。
宣伝チラシにあるような「息をのむ展開!」とか、「感動した!号泣!」とか、
そんな派手な思いは、私にはなく、
「人間、生きてるうちが華(はな)」。これでした。
そして、「死によって生が浮かび上がる」。
生きてる意味は、単調な日々では、わからなくなるけれど、
死ぬことによって、初めて意味を持つのかな。
そういうことでした。
でも、死んでからでは遅い!
林先生みたいに、「今でしょ!」と言いたくなる(笑)。
もっとも、仏教的・輪廻転生的にとらえると、
主人公の彼は「超幸福
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イギリス映画だけど、監督はイタリア人なので、日本との死生観の違い、
個人個人の価値観などでも、大きく印象が変わるなと思います。
熊本で、DENKIKANという素敵な映画館で、
これを見ることができて、本当に良かったです★