今回も向田邦子の記事を読みました。今まで何回かありました。
これらを読むと嬉しくなります。抜粋です。
没後40年 今も愛される向田文学
共立女子大学 向田邦子研究会代表 半沢幹一
「あ・うん」や「阿修羅のごとく」などの名作ドラマを
リアルタイムで見て感動を覚えた世代は、もう60代以上でしかあるまい。
それ以下の、とくに若い世代にとっては、中学の国語の教科書に載る
「字のない葉書」というエッセイの作者としてしか
記憶されていないのではないだろうか。
それでもなお、「今も愛される」と言える理由は何か。
それはひとえに、向田が残した作品の魅力に他ならない。
エッセイ、小説、シナリオなどが書籍化され、中で文庫本は版を
重ね続けている。昨年、出版された「向田邦子ベスト・エッセイ」も
売れ行き好調のようである。
演出家の鴨下信一は、テレビドラマ制作において、向田と名コンビであった。
そういう人が書いた「名文探偵、向田邦子の謎を解く」で、
向田が心血を注いだ作品にも、もっと目を向けるべきであることを訴え、
名作品に秘められた謎の数々を解き明かしている。
人とのつながりを求める時代に
東日本大震災の時も、コロナウィルスの流行の今も、つまり
生き死にが切羽詰まった事態で改めて見直されたのが、
家族のありようである。それが気付かないうちに崩壊しつつあることを
いち早くテレビドラマに描いたのが向田邦子であり、そのいっぽうで
家族であることの幸せをエッセイに綴ったのも向田邦子である。
向田の作品世界は、ほぼすべて家族の世界と言ってよい。
彼女は、「神は細部に宿り給う」という言葉を好んだ。大上段に、
人間とは何かとか世の中とは何かとかを問うのではなく、
夫と妻、親と子、兄弟という、家族内における人間関係の個々の
細部を丁寧に、かつ鋭く描いた。家族とは最小の共同体であり、
そこには血縁も性別も関係なく、一人一人のつながりがあるばかりである。
そして、時代はますます、それを求めるようになりつつある。
以上のことは、すでに向田作品になじんでいる方には言わずもがなで
あろう。未読の、若い方々にこそ、いたずらに孤独を嘆くのではなく、
思わずハッとさせられる彼女の作品に、まずは接してみてほしい。
忘れていた大切なことをきっと思い出すはずである。
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「字のない葉書」は、戦時中、邦子さんのお父さんが、学童疎開に
行った邦子さんの妹さんに、元気でいるなら葉書に丸を書いて返信する
ように自宅の住所を書いた葉書を何枚も持たせた。
まだ字が上手に書けない妹さん。
昔、読んだのですが、これだと思う・・・
エッセイが好きですが、やはり向田邦子さんが一番だと思った。
「名文探偵~」面白そう。