中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

児童虐待

2010-08-06 11:12:56 | 身辺雑記
 わが子を虐待するニュースは後を絶たない。児童虐待は増えているようだ。厚生労働省の調べでは、全都道府県、政令市、中核市の児童相談所が対応した児童虐待の相談件数は、09年度に4万4210件で、前年より1546件増え、過去最多を更新した。90年度の統計開始から19年で40倍超になったということだ。厚労省は「社会的な関心が高まって、軽微な事案が掘り起こされている一方、深刻な虐待も増えている」と見ているようで、実際にはもっと多いのではないか。刑事事件として立件された今年上半期の児童虐待の件数が前年同期比15%の181件となり、統計を取り始めた2000年以降で最多になっていると言う。児童虐待事件は年々増加しているそうだ。


 児童虐待にもさまざまあるが、やはりもっとも多いのは暴力を加えるものだが、育児放棄(ネグレクト)もあり、どちらも子どもを死に至らしめていることが少なくない。08年4月~09年3月に発生した児童虐待死107件128人(うち心中が43件61人)で、心中以外の子どものうちの39人(約59%)が0歳児だった。最近も夜泣きがうるさいと言って、21歳の母親と37歳の同居の男が1歳の女の子を木箱に閉じ込めて窒息死させたという事件があった。

 最近のニュースでもっとも衝撃的だったのは、23歳の母親が、3歳と1歳の幼児を自宅に置き去りにして死亡させた事件だ。逮捕された警察では「育児が嫌になり、子どもを残して部屋を出た。ご飯や水を与えなければ、子どもが死んでしまうのは分かっていた」と供述したようだが、まったく信じられないようなことだ。幼い幼児たちは寄り添うようにして死んでいたようだが、死ぬ前の頃には「ママー、ママー」と泣き叫ぶ声がしていたらしい。新聞で生前の2人の写真を見たが、その愛らしい笑顔に涙を抑えることができなかった。この幼い子達はどのような思いで死んでいったのだろう。おそらくは意識が薄れる直前まで母親の面影を浮かべていたのではないだろうか。母性というものはこれほどに墜ちるものか。

 近くのJRの駅舎にあるエキナカスーパーの一隅にある喫茶室で休んだ時、前の席に2人の幼児を連れた30歳前くらいの母親がいて、母親と3歳くらいの女の子はパンと飲み物を前にしていた。女の子は可愛い仕草でパンを食べながら母親と話をし、母親は優しく応対しながら、時々そばに置いたベビーカーの1歳に満たないらしい男の子に小さくちぎったパンを与えていた。女の子も時々男の子の側に来てなにやらおどけた仕草で、自分のパンを男の子の唇にちょっとつけたりする。その様子が何とも愛らしかった。男の子は母親が、隅に置いてある冷水を取りに行こうとして立って行くと「ママー」と呼ぶ。その様子も可愛かった。親子の様子は見ていて心が穏やかになるようなものだったが、ふと母親に遺棄されて死んだ幼い姉弟を思い出し、ちょうど同じくらいの年齢だ、あの2人もきっとこのように可愛い盛りだったのだろうと、何かたまらないような気持ちになった。

 やがて親子は席を立ち、母親が女の子が落としたパン屑を始末している間に女の子は弟のベビーカーを押しながら出て行き、やがて追いついた母親と話をしながら去って行った。優しい良い母親に育てられてこの子達は、およそ虐待などとは無縁に、きっと心豊かに幸せに育つのだろうと、ほのぼのとさせられたひと時だった。