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ナチュラルな暮らし

穏やかな日常の一コマ

松本の建物とアート~そのⅡ~

2022-02-22 | ミュージアム

「マツモト建築芸術祭」の続きです。午後一番に訪ねたのは「割烹 松本館」です。明治23年創業の老舗料亭です。建物は目黒雅叙園に感銘を受けた2代目当主が松本にも…と考えて昭和10年に建てたもので、国登録有形文化財に指定されています。まずはその豪華絢爛な大広間から…ですが、その正面入り口はこんなすっきりした佇まいでした。屋内の豪華絢爛とはちょっと雰囲気が違いました、

 

 

天井・障子腰他の絵画は、金子嶺挙の作品で約3年8ヶ月松本館に滞在して描かれたそうです。天井蛇腹に鶴、障子腰には亀、そして天井中央には百花百鳥を配して、祝いの席にふさわしい雰囲気となっていました。

 

この「鳳凰の間」は「太田南海」が設計、監修、彫刻等を手掛けています。太田南海は松本出身の彫刻家…ここにも作品がありました。

 

太田南海は絵画も手掛け、この松本館新築の際は総合的にプロデュースしたそうです。

 

この照明も素敵でした。

 

この大広間の床柱もみごとです。向かって左は「西王母伝説」で延命長寿の柱、右は「鯉の滝登り」で立身出世の柱だそうです。右の柱は  諏訪の宮大工 立川流の彫物のようです。

  

 

ここに展示されていたのは「小畑多丘」さんの木彫…大きな作品が大広間で存在感ある立ち姿を見せていました。

 

この大広間の障子の外の窓…飾り格子にレトロなガラスが注目でした。

  

 

太田南海作の「葡萄の間」も案内していただきました。小さな部屋ながら、あちこちに葡萄の彫り物があって豪華な部屋でした。

 

  

 

テーブルにも彫り物があり、天井にも装飾がされていました。

 

 

煙草盆や電話もレトロです…

  

 

寒い日で、待合には火鉢が用意されていました。庭の池の鯉も寒くて(?)石の下に隠れているような…

 

 

登録有形文化財になっているこのトイレもおしゃれでした。丸いガラスの窓は金魚鉢になっているそうです。

 

廊下には大きな花入れがあって、ロウバイが香っていました。松本館では料亭をお休みにして見学者を案内してくださっていて、そのおもてなしぶりはさすが!とっても丁寧な対応をして下さって、心温まる見学ができました。

 

「珈琲茶房かめのや」は明治44年創業の老舗菓子店が喫茶を構えていた場所をリニューアルオープンした珈琲店…外見の蔦の絡まるレトロな建物が印象的でした。

 

この近くにも木の根(?)や蔦のからまる、こんな姿の外壁の建物がありました。

 

「かわかみ建築設計室」は大正14年に建築された建物で、国の登録有形文化財に指定されています。洋風に仕上げた看板建築です。縦のラインの窓や正面のステンドグラスにも注目でした。

 

 

この建物にはオーストリア出身の彫刻家「ロッテ・ライオン」さんの作品が展示されていました。レトロな空間に現代的な作品がいい雰囲気でした。

 

この建物は医院兼住宅として建てられ、今もその時のまま使われています。診察室や治療室と書かれた部屋もありました。

 

レトロな窓にも注目でした。取り壊しの危機にあった建物を引き受けて事務所として大事に使っている…この会社の姿勢に感動しつつ見学させていただきました。床だけ取り換えて床暖房も入れたそうですが、他は当時のまま使っていると伺いました。「使うこと」で生かし続ける…このように「かわかみ建築設計室」代表は話されています。

  

 

床の間に無造作に置かれた照明器具が何やらレトロな雰囲気でした。

 

最後に訪れたのは「旧念来寺鐘楼」…1705年築の総檜の鐘楼ですが明治の廃仏毀釈で伽藍が壊され、鐘楼だけ時を告げるために残されたそうです。その鐘も戦時中に供出され、その後復元されたそうです。

 

 

この鐘楼の中に「山内祥太」さんの作品が展示されていました。暗い空間に浮かび上がる映像作品は幻想的な雰囲気でした。

 

 

たくさんの建物とアートに出会ったこの日…あと2~3日かけてじっくり見たいと思うくらいの、とっても素敵な「マツモト建築芸術祭」でした。良く歩いたこの日、歩数は12498歩でした…

 

コメント (9)
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