IMさんは初めて箔に挑戦されました。
「武相荘の黒侘助・金」 日本画 F4
控えめにうつむいて咲く椿“侘助”の黒花は艶やかな深紅色です。
その渋い花色が引き立つように葉や枝は無彩色でまとめました。
全面に純金箔をおした背景は時間をかけた丁寧な仕事で優美な
空間となり、華やかさと心地よい明快さを持つ作品となりました。
近づいてみました。
箔をおしたツルツルの画面に岩絵の具をのせるのは難しいものですが
丹念に塗り重ね、ビロードのような花びらの厚みを表現されました。
初めての垂らし込みで刻々と変化する墨の様子を楽しみながら表情
豊かな葉を描かれました。篆刻も初挑戦し素敵な印に仕上がりました。
二点目の作品です。
「武相荘の黒侘助・銀」 日本画 F4
対比させて楽しむ組作品と考えて、同じ黒侘助を銀箔の背景で
描かれました。金箔に比べれば銀は清清しくあっさりした味わい。
葉の表現も控えめにしました。やはり色数は抑え、バランスを
見ながら表情の違う葉を配置し、粋で落ち着いた作品となりました。
角度によって眩しいほどに白く、時にはグレーに見える銀箔が
黒侘助の風情ある佇まいにぴったりで、緩やかに硫化していく
としてもその変化は違和感なく楽しめることでしょう。わずかに
入れられた鶯色や山吹色が花の深紅と心地よく響きあっています。
次も箔を使った新しい表現に挑戦する予定のIさん。楽しみですね。
過去の作品はHP「上郷の森 日本画教室」内の“作品集”の中の
Iさんのページに制作順に掲載されています。
ぜひこちらもご覧下さい。