Tさんは早春の三渓園に取材されました。
「三渓園の臥竜梅」 日本画 F10
地を這いうねる竜のような枝ぶりの臥竜梅がほぼ満開となっています。
その周囲にたくさんのニホンスイセンが配され梅と水仙の芳香が伝わって
くるようです。まだ花の少ない早春にこの光景に出会えた喜びと樹齢を
重ねた古木への思いが重なった、あたたかな情緒あふれる作品です。
近づいてみました。
臥竜梅の背景はまだ芽もかたい木々のやわらかい冬枯れ色。その
梅の白を際立たせる奥深い色が出るまで様々な岩絵の具を重ねました。
立派な枝ぶりは墨の濃淡を使って強めに表現し、水仙の茂みは描き
込んだ後おさえ、気高く風情ある佇まいの梅の花を際立たせました。
Tさんの作品にはどれもやわらかな光があり風が通っているのです。
過去の作品はHP「上郷の森 日本画教室」内の“作品集”の中の
Tさんのページに制作順に掲載されています。ぜひこちらもご覧下さい。
Yさんは最近訪れた山からの眺めを描かれました。
「小至仏山(尾瀬)」 水彩画 F4
この夏も日本百名山を登山する長い旅をされたYさん。その中のひとつ
至仏山を目指し、歩いている途中に見えた小至仏山の霧にけむった
幻想的な様子に心を動かされ制作に挑戦されました。エネルギー
あふれるタッチが厳しい環境に育つ木々の生命力をも表しています。
近づいてみました。
滑らかながら荒々しい黒い蛇紋岩とうねるような木々の強烈な表現が
山の実体を感じさせます。奥の小至仏山はしっかり描いてから大きな
刷毛仕事で霞ませ、さらに絵の具を重ねたりこすったり。実際に山を
感じとったYさんならではの絵肌づくりで真実味のある作品となりました。
新しいモチーフに取り組むたびに表現の幅が広がっておられます。
過去の作品はHP「上郷の森 日本画教室」内の“作品集”の中の
Yさんのページに掲載されています。ぜひこちらもご覧下さい。