
〈端正な形の姫神山〉

〈山頂から平野部を挟んで岩手山を望む〉
今日は停滞日と決めて、のんびりしていた。ところが、テレビの天気予報で、岩手の方は晴れているとのこと。姫神山なら登れるかも知れない…視界20mくらいの八幡平アスピーテラインを越えて、岩手へ入ると、果たせるかな、姫神山が姿を現していた。岩手山は山頂部が雲で覆われていた。なお、八幡平は上の方はすでに紅葉が終わっていたので、今回の予定からカット。
この端正な山は、石川啄木の故郷・渋民村の山である。日本二百名山で、昨年、田中陽希も登っている。
この山と、岩手山、早池峰山は「岩手3霊山」で、昔から山岳信仰の山だった。岩手山は男神で、その妻がこの姫神山、愛人が早池峰山という、三角関係の伝説もあるという。
この山は、11年前に妻と一緒に登っている。山の姿以外、なぜかまったく印象のない山である。4コースあるらしいが、結局前回と同じ、一番人気の一本杉コースを往復した。登って行っても思い出すところは全くなかった。前回の記録を見ても、全然触れていないし、山容からもっと楽な山かと思っていた。しかし、ずっと厳しい急登が続き、根張りの道や上の方は露岩の道で、予想以上にきつかった。地元の人によると、このコースが一番きついとのこと。
平日にも関わらず、30人以上の登山者に出会った。中でも驚いたのが、完全に腰が曲がり、85歳以上と思われるお爺ちゃんだった。スエットスーツの上下に毛糸のちゃんちゃんこを羽織り、毛糸の帽子を被り、婦人物の短い可愛いゴム長を履いただけで、家から散歩に出たついでに登ってきたという完全空身スタイル。水も持たず、杖もなし。後ろに手をを組んで、前屈みになって黙々と登ってきた。
「元気ですね。おいくつですか?」と訊いたら、ただ「なんも、まだ、わげんだ」とひと言。これまで山でいろいろな人に出会ったが、驚きという点ではピカいちだ。若い頃から、ずっとこうして登り続けて来たのだろう。今回のこの山の一番のネタはこれである。写真を撮らなかったのが悔やまれる。
11:20スタート、登り1時間20分、下り55分、14:00ゴール。

登山口から山頂を見上げる

コースの由来となる一本杉

ざんげ坂の上や7合目付近にも階段の急登が続く。ここもあの爺さんが越えてきた。

頂上に近くなると、このような岩場が続く。足場もこんな感じだ。

8合目を越えると、こんな露岩の道が続く。

姫大明神の祠が祀られた頂上。頂上の下にも薬師神社と若宮神社の祠が祀られていた。
◎下山後に寄った石川啄木記念館

記念館。企画展として、北海道新幹線開業に関わって「啄木と北海道」が開催されていた。1年ほどの短期間だが、函館、札幌、釧路での啄木の活動や暮らしなどが詳しく展示されていた。

代用教員をしていた渋民尋常小学校と当時間借りをしていた斉藤家。どちらも、当時のものを移設したらしい。
◎八幡平アスピーテラインの途中で立ち寄った後生掛温泉の遊歩道

泥火山

大湯沼

啄木記念館のあと、ユートランド姫神の温泉に入り、西根の道の駅に落ち着いた。明日は、目の前に聳え立つ岩手山の予定。