癌春(がんばる)日記 by 花sakag

2008年と2011年の2回の大腸癌手術
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函館レトロ建築探訪(その7)~港が丘通りの「伝統的建造物」

2020年05月13日 | レトロ建築・古民家カフェ

 今回は、いつもは観光客で賑わうハリストス正教会から公会堂までの「港が丘通り」に面した「伝統的建造物」を紹介したい。

◎函館ハリストス正教会復活聖堂(元町3-13)<大正5年(1916年)築>

 函館では有名な建物のひとつ。いかにもロシア正教会らしい外観。2~3枚積の煉瓦壁の表面に、白漆喰仕上げとした美しいビザンチン様式で、屋根は木造小屋組の銅板貼りである。鐘楼の尖塔を含めて、6個のキューポラと十字架の付く形式は、日本で唯一のものである。煉瓦造平家建て。(国指定重要文化財)

 

◎遺愛幼稚園(元町4-1)<大正5年(1916年)築>

 ハリストス正教会の隣にある大正初期築の遺愛幼稚園。雰囲気はアメリカンコロニアル風。当初はここに遺愛女学校があり、その後この幼稚園が併設され今も残っている。

 赤い屋根にピンクの下見板張りの外壁と柱や窓枠は白。玄関ポーチは破風の形が和風だが、正面をガラス張りとして、両側が吹き放しで、左右から階段を通って出入りするようになっている。シンプルながら軽快ですっきりしたデザイン。設計者は不明だが、杉並町にある遺愛本館との意匠が似ているので、本館と同じJ.M.ガーディナーの可能性があるといわれている。

 

◎山田家住宅(元町7-11)<昭和9年(1934年)築>

 1階は、南京下見板張りで横長開口部、2階に縦長窓と白小壁を持った昭和初期のシンプルな和洋折衷様式の建物である。

 

◎茶房 菊泉(元町14-5)<大正10年(1917年)築>

 和風平屋建の妻入り建物としては、当該地区では唯一のもので、平成12年から住宅を店舗として再利用している。かつての酒問屋別邸で、当時独占販売していた大分県の酒蔵の清酒「菊泉」に由来する。

★過去記事~古民家カフェ「茶房 菊泉」(内部の画像もどうぞ!)

 

◎甘味茶房 花かんろ(元町14-5)<大正10年(1921年)築>

 昭和の始めごろから駄菓子屋を営んでいた実家の商店兼住宅を、1995(平成7)年に一部改装(2階部分はその時の増築)して始められた店である。
 和洋折衷の粋な外観は当時の姿そのままの外風情のある外観が魅力である。竣工時の平屋の部分と増築の2階部分は何の違和感もなく見事に融合している。今でも実家時代から続けて、たばこや切手・はがきなどの販売もしている。

★過去記事~古民家カフェ「花かんろ」(内部の画像もどうぞ!)

 

◎元町日和館(元町10-13)<大正10年(1921年)築>

 1階2階とも、上げ下げ縦長窓、南京下見板張り、胴蛇腹、持ち送りなどシンプルではあるが特徴を持った建物である。右側の外装修理中の建物もセットで「元町日和館」となっている。

 函館の作家の作品や授産施設で作られた雑貨などを扱うみやげ店。函館みやげとして人気の北うさぎグッズやポストカードの品揃えが豊富。

 ここから北側に並ぶ6棟の民家がすべて大正11年の建築で、伝統的建造物に指定されている。

 

◎旧門前家住宅(元町10-11)<大正11年(1922年)築>

 1階は簓子下見板張りに格子付引違玄関戸、2階は戸袋付横長開口部、庇に化粧垂木を配した和風の建物である。

 

◎川村家住宅(元町10-10)<大正11年(1922年)築>

1階は簓子下見板張りに漆喰塗りの小壁の和風、2階は縦長の上げ下げ窓、持ち送りを持った和洋折衷住宅の町家である。

 

◎小林家所有建物(元町10-10)<大正11年(1922年)築>

 簓子下見板張り、軒裏化粧垂木、漆喰塗りの小壁など、純和風の建物である。

 

◎小林家住宅・旧三浦家住宅(元町10-9)<大正11年(1922年>

★小林家住宅(左)~南京下見板張りで縦長窓、胴蛇腹や持ち送りなど、この付近では珍しい洋風建物の原型をそのまま保持している建物である。

★旧三浦家住宅(右)~1階2階とも簓子下見板張りとなっており、格子付き横長窓、和風の特徴を持つ玄関屋根、化粧垂木などを持った、当時の町家住宅である。

 

◎黒田家住宅(元町13-7)<昭和2年(1927年)築>

 元町公園に向いて北向きに建つ建物。屋根は桟瓦葺、外壁は小壁に漆喰塗りを持った簓子下見板張りと、和風の建物であるが、左側に洋風部分を持ったモダンな建物である。

 

◎旧函館市公会堂(元町12-1)<明治43年(1910年)築>

 函館港を見下ろす高台に建つ旧函館区公会堂。正面にバルコニーを見せるコロニアル様式の木造洋風建築の典型的な建物で、両袖妻の唐草模様の装飾と正面玄関にあるコリント式オーダーの柱頭飾りの彫刻意匠も良く、ドーマーウインドーを設置している北海道独自の洋風スタイルである。(国指定重要文化財) 

 ブルーグレーとイエローの組み合わせがとても美しく、見る人を惹き付ける。外観に劣らず華やかな館内には貴賓室や130坪の大広間があり、とくに2階のバルコニーから眺める港の景色はすばらしい。3月から12月にはクラシックなドレスを着て、豪華なシャンデリアなどを背景に写真を撮ることができる「ハイカラ衣装館」も営業。

※保存修理工事に伴い、2018年10月〜2020年4月頃(予定)まで休館中。(2020年5月5日現在も休館中)

★過去記事~旧函館区公会堂保存修理工事・現場見学会(2019年月22日)

「旧函館公会堂」公式ホームページ(内部の様子が分かります)
 
 
◎旧開拓使函館支庁書籍庫(元町公園内)<明治13年(1880年)築>
 
 外壁は、フランス積み煉瓦壁で、外部の四隅には、隅石が組まれている。屋根は桟瓦葺で、小屋組は杵束式木造トラスである。開拓使直営の茂辺地煉瓦石製造所の煉瓦が使用されている貴重な明治期の遺構である。(北海道指定有形文化財)
 
 
◎旧北海道庁函館支庁庁舎(元町公園内)<明治42年(1909年)築>
 正面玄関はポルティコでエタンシス風の4本のコリント式柱が支えている。ルネッサンス様式を基調とするその意匠は本格的で品格がある。(北海道指定有形文化財) 
 函館区が函館市となった大正11年から昭和25年まで渡島支庁庁舎として、その後は北海道関係施設として昭和32年まで使用された。以後は、函館市の所有となり、准看護婦養成所や失業対策事業の作業所を経て、現在は函館市写真歴史館・函館市元町観光案内所として活用されている。


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