「フロッピーの読み込みができないの」と、Tさんが持ってきた商品は懐かしいワープロなのです。
一緒に来たフロッピーディスクの情報が読み込めません。Tさんは、「とても大事なデータなの、データだけでも取り出してパソコンで読めるようにして」と云われるのです。
息子は、「パソコンなら分かるが、ワープロはどうも」と、親父の代の商品だと珍しいものを見るような振りで、「難しいぞ~」と困っています。
本体のフロッピーディスクドライブにトラブルが生じて、フロッピーの表面に傷が大きくついています。
外付けの正常なディスクドライブとパソコンを使って、読み取ろうとしても無理なのです。
Tさんに、『傷ついたディスクからのデータの読み取りは難儀ですね、無理かも知れませんが預かりますよ』と説明します。
持ち込まれたNECのワープロは「文豪」、シャープは「書院」、サンヨーは「サンワード」と云いましたね。
ワープロを初めて見たのが、確か電器店を始めてちょっとした昭和55年の頃かな、東芝のワードプロセッサ「ルポ」と云った筈、略してワープロと呼びました。
珍しい商品でしたね、私はタイプライターなんて使えませんが、文章を手書きすることなくきれいに活字で作成し、すぐに印刷が出来る、そんなワープロは凄いものだと感心したものです。
サンヨーからも5インチくらいのブラウン管に映し出す、重たいワープロが発売され、たくさん売りましたね。
自家用としても活用し、手書きのチラシ作りから、きれいな活字を織り交ぜたものが出来るようになり、作った文章もフロッピーに記録できる、驚きの連続でしたよ。
ブラウン管表示が液晶に進化し、商品も薄くなりました。でも最初の頃は、一行表示の小さなモニターに分かりずらい作成作業、印刷してみないと全体が分かりにくい、大変なものでした。
それから写真のような大型画面に、さらにカラーモニター、カラー印刷へと次から次へと進化を続け、随分売りました懐かしいワープロ、今にして思えば最後に売った商品も15年近くで、Tさんが持ち込まれたようなトラブルを抱えて、息絶え絶えになっていることだろう、そんな感慨を呼び起こす、ワープロの修理依頼の持ち込みでした。
《大昔 売った商品 懐かしい》