生活

とりとめもなく

復讐するは我にあり

2010年05月28日 21時19分51秒 | Weblog
お休みだったので渋谷へ。
11時からの上映だったのでがんばって早めに行こうと思ってたのにそういうことがなぜかできない、結局ギリギリに映画館に飛び込んだ。いまシネマヴェーラというところで「実録!犯罪列島」という特集上映をやってて、今日は「復讐するは我にあり」と「実録三億円事件 時効成立」の二本立てを観ました。
券を買って場内に入るともう真っ暗になっててちょうど画面は富士山バックの「松 竹 映 画」ドドーン というところだった。なんとか間に合った目が慣れてくるまでじっとしてようと思いしばらく後ろの方で立ってみてたのだがいっこうに目が慣れないのでしかたなくへっぴり腰&すり足(←段差を警戒している)+手探りでなんとか席に着いた。知らない人の膝に座らなくて良かった。
まず1本目は「復讐するは我にあり」という今村昌平監督、緒形拳主演の1979年の映画です。これ観たかったんだよね~、昭和38年にあった西口彰事件を題材にしています(実際の事件についてはこちら→西口彰事件
映画では主人公は榎津厳という名になってるのだがこいつが詐欺と殺人を繰り返してなお飄々と逃げる男で、とくにこれといった怒りとか恨みとか衝動があっての殺人ではなく、なんとなく殺してるというかその場しのぎの犯罪なのが逆に怖いのだ。だって殺して盗む金だってたいしたことない額なんだもの。この性格とか才能がもっと陽性のほうに使えていたなら後世に名を残す大人物になってたのではと思うのだが。すでに後世に名を残してはいるが。別の意味で。
キャストがなかなかのものですよ、父役が三國連太郎さん、母役がミヤコ蝶々さん、嫁が倍賞美津子さん等々。倍賞さんが若いし美しいし(いまでも美しいが)今村監督の映画によくあるあっけらかんとしたエロくて強い女って感じだった。脱いでますよ。脱いでますよ。
榎津が身を隠す旅館の女将の役を小川真由美さんという人がやってるんですが、これがなんか白痴的な美しさというか(そしてエロス)バカっぽくて可愛いというか、良いなあと思ったんです。小川真由美さんてよく知らないけど、もともとこういう感じの人なのかなと思うくらい。
あと加藤嘉さんが出てきたので「おおかとうよし」と心でガッツポーズしたのだがすぐ殺されちゃった。もっと観たかったのだが・・・
緒形拳さんははまりすぎてて怖かったです。人をだましたり殺したり、自殺を偽装して逃げのびてさらにまた人を殺したり、そうしてわずかな金を手に入れていったいどうすんだろ?と思うのだが、そういう人生なのだからしかたないのです・・・理屈じゃないんだろね。

そんで二本目は波濤バックに「東 映」ザッパーン・・・のあとに「実録三億円事件 時効成立」上映。こちらは三億円事件の刑事時効の1975年に公開された石井輝男監督作品です。ひと組の男女が三億円を奪い、しかしばれないようにつつましやかに生活してたがベテラン刑事に目をつけられ時効直前に猛烈に攻め立てられるが結局時効が成立するとゆー話だった。この犯人の女のほうがまた小川真由美さんなのだが、1本目とはうって変わって賢い女の役だった。もし知らずに観てたならばさっきの白痴的な旅館の女将と同一人物とは気付かなかっただろう。ギャンブル好きで「俺だっていつかはでかいことやって一発あててやる」というのが口癖のだらしない男に振り回されているという点では男を見る目がないのか男運が悪いのかよくわからんが、それ以外では頭のきれる聡明な女性の役でした。女優ってすごいなーとポカーンと思った。
犯人の男のほうは岡田裕介さんという私の知らない俳優さんで川崎麻世みたいなコッテリ風味のやさおとこって感じなのだが全然知らない人だなあ、人気出なかったのかな?と思ったら、いまや東映の社長さんだそうです。
話はまあ可もなく不可もなく、その当時の文化とか生活なんかがちょっと分かって面白いかなという程度だったが、犯人を追う葛木刑事役の金子信雄さんが、これがまー良いんですわ。
 ピカッ
このキャラクターを見るだけでもこの映画を観る価値があるんではないかと。しゃべり方とかなんかすごく面白いしやたらと下ネタ言うしもうあのたたずまいを思い出すだけで笑える。酔っ払いながら料理する番組やってたおじいちゃんというイメージしかなかったけど良い役者さんだったんだね~(今さらですが)。
しかし4時間も見続けたので目がショボショボしちゃって体もきついし、これが老いというものか・・・昔は昭和館で3本観ても無問題だったのになあ。サンテ40のコマーシャル(かすみ目、疲れ目)の意味さえわからぬ幸せな時代もあった。
コメント
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