散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

日記1月18日から28日

2021-02-12 00:38:34 | 散歩絵
2021/01/18 22:46

畦道に出来た大きな水溜りに
細かく砕いた陶器を投入し、
水溜りを埋ようと努力をする人がいて、
ある時は茶色い壺らしき陶器の欠片が、
あるときは塩釉をかけた陶器の欠片が、
安っぽい模様の花柄タイルらしき欠片が、
泥水の向こうに見え隠れしている。
水溜りの底はじりじりと陶器破片を飲み込んでいるが
しかしなぜか窪みは小さくなる気配が無い。
飲み込まれた陶器の破片が
地面下に
モザイクの柱になっている

のを想像してみる。


1月19日

昨日のこと
搬出の為、画廊に出かけた。「今日は煙突掃除人が来るからね」とギャラリストが言っていた。建物には煙突があって、多分暖炉のある部屋もあるのだろうけれど、画廊の中には暖炉は無い。しかし古いガス暖房機の点検があるのだ。
時間通りに現れた煙突掃除人は昔ながらのスタイルでは無いものの黒い上下で真っ白なマスクが清々しい若者だった。
年末年始に煙突掃除人に出会うと、良い事があると言われる。幸運の象徴である。年末には煙突掃除人の飾り物が店に並んでいる。
昔なら握手してもらったりする所だけれど、今はそういうわけにはいかない。コロナ禍は色々な行為をタブー化してしまう。

ようやく展覧会を終えた。展示を外してがらんと何も無い真っ白な部屋が眩しい。


2021/01/20 15:32

3度目のロックダウン延長、取り敢えずは2月14日まで継続。
加えて規制が強化されている。
公共交通機関利用時及び日用品調達の買い物時には医療用マスク装着義務となった。つまり電車やバスに乗る際、食料品を買いに行く際の手形の様なものでもある。何しろ医療用マスクでもウィルスを防ぐ効果は僅かで、しっかりした布マスクでも大差無いと想像する。マスクの装着の仕方にもよるわけで、高いマスクを顎にかけている意味のない使用状況も時に見かける。私はコロナ対策を陰謀論とともに論じる考えはないし、少しでも役に立つなら協力したいとは思う。それでも、今回のマスクの件については、色々疑問がある。まあ、あまりにも多様なので指定する方が手っ取り早いのかもしれない。
しかし現在売られているFFP2マスクの中には疑わしい商品も混ざり合っているという噂もあった。インターネットでマスクばかり見ていたら息が詰まって来た。
このウィルスの素早い変異を見ていると、厄介極まりない。ワクチンが行き渡って後もマスクとフィジカル・ディスタンスや指先消毒は当分必要らしい。
わたしたち人間の体内には色々な細菌や真菌、ウィルスも棲息しているらしいから、いつかは弱毒化したコロナウィルスも体内に取り込んで平和的共生ができる日が来ないものか?
などと妄想しつつ「マスク手形」の注文票をクリックする。

1月23日 夜中に何度か目が覚めた。2時、3時半、4時半。。。6時半に起床。
朝窓の外は相変わらずまだ暗闇で、ひょっとしてまだ夢を見ているのか?
雨だれの音がするので外を見るとどうやら夜中に降っていたらしい雪が景色を変えていた。   
雨が雪化粧を崩している。

1月24日 味噌を作ろうと思う。麹と豆は用意があるので後は、始めるばかりなのだが、容器が決まらない。

1月25日 作業をしながらミヒャエルエンデのオーディオブックを聴く。
きっかっけがあって思い出し、昔買ったCDを掘り出して久し振りに聴いた。自分の持っている時間をどう使うかと言う事は、コロナ禍において大きなテーマだ。
此の地に来る事など考えてもみなかった頃、その後間も無く渡独したのだけれど、エンデの「はてしない物語」は気に入りの本だった。勿論今でも気に入っている。想像の花開く「種」の様で読み返すと前回とは別の形に枝葉を伸ばす素敵な物語だ。ドイツで始めて買った本の一冊目は「Die unendliche Geschichte =はてしない物語 」だった。今でも本棚に並んでいる。

1月26日 久しぶりに友人に会って、暫く雑談をした。もともとひっそり生活している方だけれど、流石にメールコンタクトだけでは気分の低迷を感じる。日用品の店しか開いていない今、急に運動靴を買いたいとか、絵の具を買いたいとか、カフェで朝ごはん食べたいとか、今かなわない希望がふつふつと湧いてくる。インターネットで買い物をすれば良いという話ではないのだ。今まで滅多に買い物にも出ないし、外食も少ないし、旅に出る事も少なかったくせに、出来ないとなるとその全てをしたくなる。 勝手なものだ。

1月27日 今日友人のBから電話があった。彼女は去年第一ロックダウン 時に醤油を作る決心をした。
中国人である彼女が作るので中国の醤油を作るのかと思えば、日本の醤油なのだと言う。材料はネット注文で入手し、度々現況報告が届いた。初めてのことだから、これなった、ああなったと大騒ぎしながらも、何事も丁寧な仕事を遂行する彼女の醤油は無事熟成していった。晩夏ロックダウンが緩くなっていたある日、久しぶりに尋ねると、醤油を絞ろうということになった。二つある器のうち一つを絞ることになった。インターネットで確認したり、試行錯誤の末、初めての醤油第一号が出来上がった。そして美味しい。
その後も醤油談義が止まらない。

1月28日 朝方雨の音で目が覚めた。
ここ数日雪というより雨がちな空模様、今日は一日雨の予報だ。
こんな日は部屋を明るくして本を読む事。美味しいものを食べる事。
朝目が覚めてから台所でお茶を飲みながら、白花豆を煮ている。半分は甘くしてお茶受けに、半分は豆と野菜とパスタのスープを作る。
鍋の番をしながら本を読むと言うのは、良い時間だと思う。
お供の本はボルヘスの「砂の本」


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