散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

6月24日

2018-06-25 11:12:23 | 思考錯誤
今日のメモ




麦畑の中に群がって咲いているカミツレの花。もう麦の穂は大分色づいて、茎に灰色が買った青緑が残っている。その茎の隙間に見え隠れしている小さな白いカミツレの花たちが可憐で美しい。空気の動くとカミツレの甘い香りが鼻先をかすめた。
そして、麦の穂の美しさ。。。。


友人のアトリエを訪ねた。彼女のスタジオはとても広く、ギャラリーとして十分なスペースがあるので彼女自身の作品とゲストの作品を組み合わせて定期的に展示会を開いている。
今回はオランダ人作家のブックアートと陶板の小品だった。日常の出来事、、さまざまなマテリアル、小さなもの達への、自然に向けられた作家の眼差しが、そこはかとないユーモアの隠し味を展開されていた。


最近CRISPRという遺伝子編集技術の話を聞いた。
これからこの分野は日進月歩で変化してゆくのだろうけれど、私にとっては異質な未来像を勝手に描いてしまう。程遠くない未来に遺伝子編集された食物が知らない間に出回るのかもしれない。医療の世界では歓迎されることもあると思うが、複雑な気持ちが残る。遺伝子編集された人間とそれを拒んだ人間の分断はサイエンスフィクションの中だけの話。。から現実味を帯びてきたらしい。


友人の息子の嫁の父親の話。
彼は地球平面説信者だそうだ。地球がその名のとおり球状であるという説は陰謀説なのだそうだ。どうやらそういう信者は結構いるらしいことに驚く。

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サッカ-・ワールドカップだけはサッカーファンでなくとも見ている人は多いらしい。日本のチームが勝つと「おめでとう」と言って電話がかかってきたり、昨日も試合前に電話がかかってきたりするものだからサッカーに興味のない私もなんとなく気になってしまう。





ビタミン12

2018-06-24 17:01:10 | 思考錯誤


もう長いことメモ以外の文章を書くことがなくなっていて、もともと乏しい文章を組み立てる力がごっそり抜け落ちた感じがある。
本を読むことも怠けていた。
この辺でまた起動修正して軋む頭の錆びを落とし、せめて現状維持に努力を注ごう。
。。。。。と思う。

。。。。と思ったのは数ヶ月前の事。努力は続かない。記憶力の低下目覚しく、悩ましい。
そんな話を88歳の友人に話すと、「ビタミン12よ」と言う。
ビタミン12を多く含む食品と言えば魚介類が多く、私の住むあたりでは断然不利だ。
ということで、ドラッグストアで目に入ったビタミン12銀杏エキス入りを買った。
もともとサプリメントと言うものをあまり信用していない私だったが、おまじないに飲んでみた。
でも、おまじないは信じないことには効き目はない。。。。のかもしれない。

そのうちに飲むのを忘れて、忘れたことも忘れるのか。。。。?
それならそれでも良いような気もしてくる。




黒い羊

2018-06-21 18:08:51 | 思考錯誤






「あなたはいつもの日本の人?」と見えない瞳をこちらに向けて答えを待っている。灰水色の目はとても大きい。
「そうですよ。今日は何の絵を描きたいですか?」と訊ねる。
「今日はアイディアがない」と言いながらもモティーフは何でも良い訳ではない。
「ここにひまわりがあるのだけれど。。。」と言うと「ひまわりは前に描いたから。。。森を描くわ」と決めた。
どんな森ですか?森には何がいる?花は咲いている?と聞くと、しばらくの沈黙の後に「黒い羊」という。
「イエス様と羊の絵を白い羊に描くけれど、あれは間違っているのよ。本当は黒い羊なのよ」というのだ。
私の記憶の中にはイエス様のそばにたむろすのは白い羊だ。
黒い羊と言ったら「厄介者」的存在だと言うことになっている。確かにイエスキリストは厄介者で弾き飛ばされる存在を救い上げるのかもしれないなあ、と思いながら森の絵の中に黒い羊を二匹描き込んだ。




笑顔

2018-06-09 19:27:34 | 散歩絵

「もういい加減にやめて頂戴!そんな悪口や嫌なこと言わないで!」と私たちには見えない相手にB婦人は怒っていた。
彼女は軽度の認知症を患って居り、ほとんど視力が無いので思うように絵を描くことは出来ないのだが、絵の時間を楽しみにしているらしい。いつも無表情で無口なのだけれど、今回は少し違っていて、口調も表情も怒りの感情があふれていた。彼女の頭の中で何が起こっていたのかは見えなかったけれども、何か嫌な気持ちでいっぱいになっていることはあきらかだった。
散々苦情を訴えるので、ここには今楽しい絵を描きたい人ばかりが集まっていて、悪口を言う人はもう居ないのだから一緒に絵を描きましょうと言うと、一息おいて後、強張った表情が溶けていった。
どんなものが描きたいかと問うと「青空と川。川には魚が泳いでるのよ。今朝そんな景色が思い浮かんだのよ」という。彼女は手も不自由なので指で絵を描くのが気に入っている。
彼女の頭の中にある景色を聞き取りながら、画面をなぞって行くのを手伝う。魚は何色?何匹?空にはホイップクリームのように白いおいしそうな雲はどうでしょう?
素敵な景色が現れて来ましたね、と言うとぱあっと笑顔が咲いた。
この笑顔を見るのは私たちにとって贈り物だ。

実は私の頭の中にも五月の蠅のごとくわずらわしい思いがあった。その蠅を彼女の笑顔が追い払ってくれた事に感謝する。