昨日の茸観察
針葉樹の落ち葉や水蘚がふかふかの絨毯となって気持ちがよい。風が吹くと散り舞う葉が地上に落ちる音は思いのほか大きい音がする。
足の下に踏んでしまうかれた細枝が度々パキッボキッと音を立てる。
アカゲラが2羽威嚇しあっているのを見かけた。
うつむいて写真を撮っていると前方からやはりバキッボキッという音が近づいてきて、見ればビニール袋を片手に小さなナイフを反対の手に持った男がうつむきながら歩いてくる。
「こんにちは。何を採っているのですか?」と聞いてみると、肩をすくめながら
「茸」と言葉少ない。東欧人だった。
さらに質問を続けると
「ナラタケ」という。やっぱりねと思いながらどうやって食べるのかと問うと
「炒めたり。。。」と返事は短い。袋の中から茸を出して見せてくれる。
「ふうん、なかなかおいしそうですね。お邪魔しました、ありがとう」
と切り上げて私もうつむきながら彼とは逆方向に向かった。(私の探していたのはナラタケではなくムラサキシメジだった)
一人でうつむいて歩いていると方向感覚を失い、ふと自分がどの辺にいるものだか不安になる。
とはいえ街外れの小さな森であるから、たまたま森の妖気に惑いぐるぐる回りに歩き回ることさえ無ければ迷ったってたいしたことは無い。
迷っている自分を想像して楽しむ余裕はある。
2008
2008