羽の無い風車は既に引退して長く、改修され現在は市の展覧会場になっている。そこで3人展を11月にすることになっているので、部屋の様子を確認する為に揃って出かけた。用事を済ませて後、皆で散歩でもしようかという話になり、来ていた役所の人に聞いてみると、近くに湖があるといって、わざわざ親切に先導案内してくれた。

ハリック湖は細長くてなかなか大きい湖で湖畔には
濃緑色に塗られた可愛らしいコテージが10件ほど並
んでいたり、ボートやカヌーを借りて遊ぶ事も出る。
こんなコテージを 2,3日借りて、読みたい本数冊
ノート数冊パンと野菜とワインを買い込んでぼんやり
と過ごすのも悪くないかもしれない。
一緒に歩いていたロシア人の知人は「こんなところに
ダーチャだ!」と懐かしそうに眺めている。確かに
そんな風情がある。彼は子供の頃住んでいた家は水辺に
あったらしい。にわかに当時の思い出が湧き上がった
らしくそれまで寡黙だった彼はいきなり饒舌になった。

しばらく歩いたので湖畔の軽食堂で休憩を取る。外のテラスに座って手が届くほどに近い水面をジッと眺めていたら眠くなってしまい、周りで話す声もゆらゆらゆらゆらとゆれ始めて消えそうになった。あわててコーヒーを 2,3 口飲んで目を覚まそうと一人ひっそり睡魔と戦っていて、体勢を変えて空を見上げれば鈍い真珠色がやはり催眠効果を持っている。コーヒー一杯では全く抵抗できない。 指で無理やりに瞼を引き上げながら、最近気候に左右されてすぐ疲れる。頭の中がスポンジになってしまったように感じる。。。。 というようなことを話したら 四方から同時に「何時までも若くは無いんだよ!!」とコーラスで攻められてしまった。
それにしても水面を眺めていると気持ちよく眠くなると思う。
帰り際、知人の一人がふざけて
大きな枯れ枝が水面に見え隠れ
しているのを指差し「あそこに鰐がいるぞ」
と言ったので、どれどれどこにと騒いでいたら、
通りかかりの人たちまでも集まって来てしまったので、
笑って誤魔化しながら、こそこそとそこを立ち去った。
ドイツに鰐なんか冗談にもなら無いと思うだろうけど
それが案外そうでもなかったりする。
飼いきれずに 困って湖に放り出してしまうケースが
あって意外な物が潜んでいたりするらしい。ライン河
で 1メートル程の鰐を目撃! なんていう話もあり、
生暖かい工場排水のおかげで ドイツでも鰐が越冬
可能だとかの実しやかな話がある。
たまたま昨日のTVニュースで見たのだが、何処かの湖には仔犬を食べてしまった体長2メートルの鯰が棲んでいる。市民の安全の為にそれを釣り上げようと燃えている釣り士の話しによると、化け物のような鯰らしい。又、網で魚をすくっていら
”すっぽん”が揚がり、咬まれて大騒ぎになった話もあった。すっぽんは今動物園に拾われて平和な生活を送っているが(平和。。だと思うんだけど湖で人を脅かしながら野性的に暮らしている方が良かったのかもしれない。)巨大鯰の方はまだ湖底を徘徊しているらしい。2メートルとはなかなかすごい。奴は口も大きいから、ガバッと来たらかなり怖い。
”ハリック湖で鰐出現 ”というニュースが明日あたり出るかもしれない。
ひょっとして 色々な 変なものが棲んでいるらしいと想像するのは楽しいけどね。