散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

映画三昧

2011-12-29 22:58:32 | 映画の話


  


クリスマスイブと第一クリスマスは友人のBを訪ねた。
彼女は中国人で私たちは日本人で、私たちにとってクリスマスに義務は無い。
近所の森を散歩したり、彼女の相方の眠るチャペルに行き蝋燭を灯したり、
家に戻って料理をして食べたり飲んだり、とりわけ彼女が最近イタリアから持ち帰った
今年の10月搾りのオリーブオイルの美味しさといったら無かった。
ぺリドットを溶かしたような美しい緑の液体はバゲットに塗るだけでとても美味しい。
2日間を美味しく過ごした。

その翌日、小雨の中を森に散歩に出掛けた。雨にぬれた美しい森を撮ろうと
傘をかぶりながら撮影する。
思うように写真は撮れないのだけれど矢鱈めったらに撮った。









ところで年末は休息がてら映画を観ることに決めた。
手始めに。。。

● mission impossible phantom protokoll 

派手なアクションでスカッと出来るかもしれないという期待だけで見に行った。
この映画は兎に角アクションを眺めて楽しむだけの映画だと思っていたので、それ以外は期待しないでいた。
見終わって映画館を出ると世界一高いビルの窓を登る場面だの、色々出てくるスパイ小道具だのしか思い出さない。
後にはなんにも残らない潔さだ。これもまた良し。



● The Company Men(DVD)

大企業のエリート達は意気揚々に走りながらも日毎の競争に内心神経をすり減らし、
組織から突き放されてしまうと、一体自分の価値を見失い、方向感覚を見失う。
仕事を失って、その後の自分にどう解決をつけて行くか?
映画の中で主人公の義兄は大工職人で自分の手と汗と力で稼いでいるのだけれど、
この義兄の存在がなかなか重いポイントにもなっているのではないかと思う。



● Melancholia

トリーア監督の作品が好きかと聞かれたら嫌いと答えるかもしれない。
冒頭から陰鬱で耽美的な映像がとても魅力的だ。
タルコフスキーが透けて見える感じが無きにしも非ずだが、残念ながらタルコフスキーは超えられない。
物語の始まりに花嫁である主人公の一人が未来の夫と共にあきれるほど長いリムジンに乗って披露宴会場に向かっている。
蛇の通り道のようにくねる道をリムジンは上手く曲がりきれず立ち往生してしまう。彼らの寸分先の困難を暗示しているようだ。
晴れの舞台であるはずなのに心を病む主人公と、そこに集まった人々の持っている暗闇で、その場は少しずつ空気は重く沈み、
"期待”の上に築き上げようとした努力は見る見るうちに崩れてしまうのだ。
同時に物語の背景には飛んでも無いことがおきている。
大きな惑星が地球に接近中で、衝突すれば地球はひとたまりも無い。
惑星メランコリアは人の不安を翻弄するように近づいたり遠ざかったりしていたが、間違いなく地球に向かっていると確認した時に
或る人は自殺し、ある人はパニックに陥り、不確かな恐怖には混乱していた主人公は、むしろ状況を受け入れる。。。
最後の場面は気に入らなかったものの、全体にはなかなか面白かった。
もう一度見てもいいなと思っている。


さて次は何を見ようか。







原発事故後の政府の無能さと責任逃れの態度に改めてあきれ果てた。  ・・・・・> ★★★

















アナグラム

2011-12-21 09:44:01 | 思考錯誤
最近アナグラムに凝っている。
もっとも以前からよく数字や文字をとっかえひっかえくるくる回して遊ぶのは好きだ。
今回は Kein Wunder = No Wonder で言葉遊びを作ってみた。
青い文字部分はアナグラム。組み替えればKein Wunderになる。
赤い文字を拾ってゆけばKein Wunderとなる。







一昨日は朝起きると外は雪だった。
その上に雨が降って7割溶けたカキ氷上になってしまった。
去年の今頃は毎日雪が降っていたが、今年は比較的ぬるい冬の始まりだ。
今現在6度。

日本政府の冷温停止状態宣言というのは一体誰のために宣言をしているのだろうか? 



垢落しの散歩。。。

2011-12-18 23:12:37 | 思考錯誤
ようやく、提出しなければいけないものを殆んど終了してやれやれと深呼吸。
静岡の展覧会も東京の展覧会も終了。
残念ながら私自身は日本に行くことが出来なかったのだけれど、どちらも良い反響をいただいたようで嬉しい限りです。

今日は久しぶりに森へ散歩に行った。
しばらく散歩をしないでいると頭の中に垢がたまって重くなる。
重くなると思考能力も低下するらしい。
美しい森の中をあるくと、垢がぽろぽろとはがれて行くらしく、とても気持ちが良い。
ぬかるみに足を取られながらも歩いてゆくと水粒の花が草原一面に満開に咲いていて、雲の切れ目からすっと差し込む光にきらきらと、また冷たい風にさらされて透明感を増す。枯れた羊歯の葉の海の色は鮮やかな褐色で、陽光を受ければ金色に輝きもする。
とても豪華な景色だった。

さてこれでまた、しゃきっとするかな?










iphonやスマートフォンを私が購入することはまずなさそうだが、WiFi使用可能な環境ならばSkypが出来る事、地図をダウンロードして使えること、簡単なメモ的写真または動画を撮ることが出来ることなどを理由にipod Touch 5Gを購入。

















静止

2011-12-13 10:36:32 | 思考錯誤
あ。。。。。。それが。。。



。。。。と、言い終わらぬ間に
数時間経ってしまう。
そんな気がしている。

たぶん自分の動きが遅くなっているのかもしれない。
その上、最近人や場所の名前を思い出すのに以前より時間がかかる。
そういう細かな事柄が積もってひまがかかるのだけど、もっとも、それがなんだというのだ。

今朝郵便局に向かう途中、散歩中の幼稚園の子供達に出くわした。
小さな人達は高速度で飛び交う活発な中性子みたいで、それを指揮する先生は大童だ。
彼らの持っている時間と私の持っている時間は多分違う風に流れているだろうなあ、と思いながら横を通り過ぎる。

殆んど裸になってしまった木に数枚の葉がカラカラと揺れている。
立ち止まって見ていると、一枚が木を離れ、ユラユラ舞いながら地に向かって降り始めた。

私の目の前でそれはほぼ静止した。
子供達のにぎやかな声も消えた。


右から左から流れる私の時間がぶつかった。





今日の 
父へ 父として~福島の父たち














待合室

2011-12-08 20:51:11 | 思考錯誤










朝一番で医者に行った。予約を取ろうとしたが既にずっと先まで一杯だった。飛込みしかない。飛び込みだと、1時間以上待たされる覚悟で行かねばならない。この時期は特に一般医の待合室で長時間待たされるのは辛いものがある。意を決して行ってみると、果たして私の回りはすっかり風邪を引き込んだ患者たちで一杯だった。
げほっごほっ、ごほごほ、こんこん、ゼーゼーと咳の合間に鼻をかむ音が入る。
この待合室の中の風邪菌が目に見えたらすごい様になっているのかもしれないなどと想像しないでもいいことを想像して一人でうんざりしていた。予約患者優先であり、その隙に風邪引き飛び込み患者がねじり込まれて、結局2時間以上も待たされた。
途中で帰るのも悔しいし、日を改めても状況に変わりは無いだろうから、本を読みながらひたすら待っていたのだが、本の内容が今ひとつ上手く頭の中に入ってこない。

『"いづれにせよ、皆自分の涙をどこかに保存しなけりゃならないわ”と母は言った。』
     -- ハ~、ハァ~、ハクション

『玄関から延びる廊下の匂いが私を麻痺させる、それは林檎や、そこに置かれているケーテ曾祖母の嫁入り道具だった石彫りチェストの匂いだ』
     --マイン ゴット!いつまでまってりゃいいんだい。。。げほげほ

『特に私の仕事の中で好きなのは忘れ去られた本、つまりそこに百年以上も置かれたまま、多分一度も読まれることが無く、埃がぶ厚く積もって、百万以上の非読者の中を生き抜いてきた本、を探し出すこと』  
     -- ビー ビー、ごほげほ。ふぅ~。こほ。。。

受付では「ドクターニビョウキトドケヲ カイテモライタインデス。。。コエガモウデナイ。。。」と辛そうな声。

私は本の字面を追っているだけで何がなんだかすっかりわからなくなっていた。
物語の筋を掴むことをあきらめた私は、四方から飛んでくる風邪菌を堰き止めるつもりで、開いた本を目の前にかざしているばかりだった。



おっと、なんだか喉がむずがゆいような気もする。
どのみち、このところ周りに酷い風邪引きが多い。
いつもらい風邪をしてもおかしくない。

帰り際、ドクターの問診室のドアに
「今日! インフルエンザの予防注射を!」と張り紙が貼られていた。



皆様も風邪を召しませぬよう。







追記

東電が汚染水を海に廃棄しようとしているようだ。
東電の動きには誠意が見えない。  → 


追追記

抗議をうけ汚染水の海洋放出は先送りになったようだ。  → 




師走

2011-12-07 17:40:42 | 思考錯誤








12月は『春待月』
まだ始まったばかりの冬とは言え、例年に無く暖かい冬の始まりだとは言え
冬になれば春に焦がれる。

体内時計が"冬眠"を指しているのか、眠い。
眠い眠いと思いながらもそろそろ送らねばならない小さな絵を仕上げた。
ふと、目が覚めてそれをよくよく見ればなんとなく春の芽吹きのようでもあり
やっぱり春に焦がれているようだ。

仕上がった絵を梱包して郵便局へ向かった。
道の途中、小さなクリスマス市がたっているが、毎年相も変らぬ顔ぶれで魔法が少しもかかっていない。
気の抜けたビールみたいに退屈だ。
昼間は”市"も眠っているのだ。
クリスマス市は
日が暮れて、落ちてきた星のような電飾がピカピカ揺れる下で
熱々のグリューワイン(ハーブ入りの甘い赤ワイン)で手を温め
体を温めながら足踏みするような凍るような空気が似合う。

"眠る市"をあっという間に通り過ぎて公園を歩く。
郵便局の山盛りの郵送物と一緒に箱の中で待っている絵は
あめ色の背景に白い線が散らばっていた。

ふらふらと木の並ぶ公園の中を歩いていると、『あれれ!』と私は思わずつぶやいた。
なぜなら葉を落とした細枝が交差する景色は、"白線の散らばり"のリズムと同じだったから。。。

『そうなんだ。。。そうなんだ。。。よね』と
一人ごち、落ち葉を踏みしだきながら歩いた。

『。。。よね、だね、よし、よし。。。』と落ち葉が答えた。