

11月25日
朝散歩の帰り道で、前方にぎこちない歩き方の婦人が見えた。道路脇の共同ゴミ箱にゴミを捨て帰る所だったらしい、彼女の足が僅かな段差を踏み身体のバランスを崩した。いきなり糸が切れた操り人形のように道路に倒れてしまったので、慌てて駆けつけ、無事を確認しながらゆっくりと助け起こした。細身ながらもなかなか大柄な婦人だったので、元の姿勢に戻るまで暫し時間がかかった。本当に大丈夫かと聞くと、大丈夫。。。。だと思うわ、膝が痛いけど。。。という。住居の入り口まで同行して別れた。
「ありがとう。まったく、良い瞬間にそこにいてくださって。天使ね」と言ってドアの向こうに消えた。
必要な時に誰かが側に来てくれることは、確かに天使の差配かもしれない。
11月26日
小さなサプライズ。
小さな作品を届けにある家を訪ねた。家の前に立った時、そこに見覚えがあった。
数年前に日本から遊びに来ていた友人の宿泊先を訪ねた事があって、その家だったのではないかという気がした。
お茶をいただきながら、その事を尋ねると、貸す事があると言う。部屋を見せるわ!と言うので、ついていくとまさに記憶通りの部屋で、この「偶然」にお互い驚いたのだった。
その家から電停まで歩いて行く途中、遠くに見覚えのある姿があった。大きなゴミ袋を抱えていて、コンテナーに取り付いている小柄な女性の姿だった。
「ハロー」と声をかけると、目を丸くして「あら、さっきまで彼とね、散歩していたのよ。そうしたら二人の知り合いに会ったの。だから、今度は貴女と会うかもねと彼と話していたのよ!」と言う。
思えば彼女はそこからそれほど遠くない所に住んでいるが、その道は私が通ったことは今までないので意外だった。
「会う時」と言うものがある。
11月27日
交差点で止まった車の中から声をかけてきた女性があった。道を聞かれるかと思って立ち止まると、
「貴女の髪の色、なんて言うの?」であった。
私の髪の色は無茶をして色々混ざっているけれど、言って見れば灰色がかった焦げ茶という感じか。。。
答えようがないので肩をすくめるとその時信号が青になった。
「素敵な色ね!」と笑顔で彼女は立ち去った。
コンタクトに滅茶苦茶規制がかかっている現在、こんな瞬間的なコンタクトもなんだかちょっと楽しい。
11月28日
昨夜は胃の不調もあってよく眠れず、夜中に目を覚まして眠れないのは不愉快だ。
そう言う時は思考がネガティブ軸に傾く。白湯をカップに一杯作ってお腹を温めベットに横たわる。
いっそ起きてしまえばいいのかもしれないがその元気も無かった。
うとうとすると何かの物音で目が覚める。その繰り返しで朝が来た。
人間の体は様々なそして膨大な量の腸内細菌によって操られているらしい。例えば、抗生物質などで腸内細菌を減らすと睡眠障害が起こると言う話を聞いた。
私の体は私の意思で動いているわけではないのかと思いを巡らせると、わけがわからなくなってくる。
また土曜日がやってきた。一週間の終わるのがなんと早いことか。