散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

断熱材の威力を確認するの巻

2015-11-30 11:09:43 | 思考錯誤



雨が降っている。
屋根の上に溜まった雨水がちょろちょろと音を立てて流れ落ちる音がひっきりなしに続いているのに耳をそばだてる。
我々の住居は集合住宅の一室だが上の階はなく平屋根で、だいぶ前からかなり傷みが激しく、やっと修繕することになった。ところが古い断熱材を剥がしたまま職人達が来ない。来たと思ったら荷物を置いて三時頃にはもう消えている。
そして寒くなった。。。
普段考えもしなかった事だが断熱材の威力がどれだけ凄いものか確認することになった。暖房の目盛りをいっぱいに上げてもなかなか部屋が温まらず、本気でコタツまがいを作ろうか考えた。数日して少し温まって来たが、台所の煮炊きの水蒸気が冷たい屋根にふれて水滴となる。天井も湿気ている様子だ。工事担当の建築家にそれを訴えると、屋根工事会社と相談の結果数日中に応急処置をするという。
これはまずいと暖房をさらに強め、度々窓を開けて換気をし、なるべく水蒸気の上がらない料理をすることにした。

。。。と書いたところで、日曜日の夜はふけ、風が屋根の上に積まれた断熱材や道具を揺する音を聞きながら寝てしまった。

月曜日、屋根工事屋登場。
足音、屋根に溜まった水を機械で吸い取る音、断熱材や道具を引きずる音、時々荒っぽい音がしてこちらの心臓が跳ねる。
今日も天気は悪いものの、気温はそれほど低く無いしまだ雨も降っていない。
どうか早く仕事が進みます様に。。。と祈りながら買い物に出て帰ると、もうすっかり屋根の上は静かなので、又心配になる。

どうか、あまり沢山雨が降りませんように!














散歩

2015-11-13 17:36:48 | 思考錯誤





早朝、散歩に出た。
小型のミルクコーヒー色のプードルを連れている年配の男性とすれ違いざま、挨拶をすると、つぶれてしゃがれた声でぼそっと挨拶が返ってきた。
彼は無愛想な表情で、彼の道連れの相棒とは面構えがまったく違う。
散歩道を一回りあるいていると、前方から見覚えのあるシルエットが近づいて来た。黒ずんでくぼんだ目元のしかめ面と素っ頓狂な顔をしたミルクコーヒー色のプードルだ。うなずきながら通りすぎようとすると”しかめ面”が解けて少し笑みが浮かんでいる。彼は立ち止まって「一日に三度同じ人とめぐり合ったら、一緒にシュナップスを一杯を飲むというしきたりがあるんですよ、知ってますか?」と話しかけてきた。傍に広がる畑を見ながら「私は生まれも育ちもこの近所だけれど、このあたりはすっかり変わってしまいましたよ、今82歳だが79年間この付近を歩き回っているんだから、よく知っているんだ」と言う。そうか、三歳の頃から歩き回っていると言うことなんだ。 よちよちと歩く小さな子供が畑道を歩くさまを想像して、なんだか愉快になった。
「それでは、もう一度お目にかかったらシュナップスを飲みに行きましょう」と言いながら手を振った。







2015-11-07 22:42:48 | 自然観察














とにかく菌糸類というのは面白い。。。。


展覧会の初日というイベントを終えて草臥れ果て、役立たずになっている今日の私を癒してくれるキノコ達。
呆けた様にいったりきたり写真をぐるぐる眺める。。






胡桃

2015-11-06 21:31:05 | 自然観察


目の前のカラスはくちばしに何か加えている。胡桃らしい。
アスファルトの道の上をすいっと上昇し胡桃らしき物を落とす。そしてそれはパカッと割れた。やはり胡桃だった。カラスは割れた実を再びくちばしに押し込み、脇の畑の真ん中に移動し、車や自転車に邪魔されることなく悠々と胡桃をついばんだ。
賢い奴だ。木から落ちた胡桃がアスファルトにあたって割れるのを見ていたに違いない。彼らは実によく観察をしているし記憶力も良い。
多分私の記憶力より優秀かもしれない。
さて胡桃だ。
この日の目当ては胡桃を拾うことだった。
カラスと胡桃をみて思いついたわけでなく、春先に迷い込んだ道はずれに勝手に大きく育ったらしい胡桃の木が生えていて、秋になったらいただきに行こうと考えていた。
カラスの記憶力より危ういかもしれない私の記憶力は、そういう事に関しては正しく作動して時期になるとちゃんとアラームが鳴る。
少し長い散歩にはなるがニンジンを鼻先にぶるさげられた馬のように、餌に気をとられて脚は進む。
目当ての小道に入ると、鹿がのんびり草を食んでいた。



鹿はしばらくじっとしてこちらをの様子を伺っていたが、やがてすいっと木々の中に溶け込んで見えなくなった。
雨上がりだったので水滴をまとった草の中を歩くうちに運動靴は中まで濡れて重くなった。
そして思ったとおり胡桃は熟していた。小ぶりだがちゃんと中身はつまっている。
落ちている実を拾い、リスの分は充分残して帰路についた。
今年は栗も拾ったし、ポルチーニ茸も見つけた。ハマナスの実や西洋サンザシの実でジャムも作った。
十一月は展覧会が三件続くので気分がわさわさとしているのだけれど、そういう事やら、こういう事やらが私のなかに生まれてくる物の糧になるらしいから、遊んでばかりいる自分を甘やかしている。
明日は展覧会二件が始まる。