散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

B級

2012-12-17 07:29:20 | 映画の話










昨晩、私たちは友人宅で晩御飯をご馳走になった。友人は恐ろしいほど沢山の映画を見ていて、私の説明数行辺りで「あ、それはXXXだね」と判ってしまうくらい知識を持っている。
私はかなりいろいろなジャンルの映画を見ているほうだと思う。文芸作品と言われる作品からサイエンスフィクションも好きだし、全くひどい題名のB級映画も好んで観た時代もある。(もちろん選び抜かれたB級ムービーだ)
彼もさまざまなジャンルを鑑賞しつつ、ゴミ屑B級映画愛好者の一人でもある。アジア発信の映画も驚くほどよく観ている。
そんなわけで会話は自然、映画の話に流れてゆき、日本の映画の話になり、昔のテレビシリーズの話になった。彼が子どもの頃にドイツで放映された日本の怪奇物らしかった。「このシリーズのおかげで暗闇の窓の向こうが怖くなったりトラウマになったものだよ」と、彼はなぜかとてもうれしそうだった。
心当たりが無かったので家に戻ってから早速インターネットで調べてみると、それは円谷プロダクションの「怪奇大作戦」というシリーズ物だということが判明した。ドイツでは1クール放映されたらしい。
けれん味たっぷりで奇抜な内容に裏に反核戦争や、資本主義への疑問が潜むつくりになっていたり、なかなか絵作りが面白かったりいろいろな発見があって興味深い。
実は、時差ぼけで朦朧とした頭で一生懸命B級ムービーの怪しげな話を聞いていたのだったが、とうとう目蓋を支える筋肉さえコントロール不能になった私たちは、降参し暇を告げてよろよろと玄関を出た。
垣根の暗闇に気配が感じられたけれど、あれは猫かなにかだったのだろう。。。ね? 多分。




気になるリンク

戦争のつくり方 




映画三昧

2011-12-29 22:58:32 | 映画の話


  


クリスマスイブと第一クリスマスは友人のBを訪ねた。
彼女は中国人で私たちは日本人で、私たちにとってクリスマスに義務は無い。
近所の森を散歩したり、彼女の相方の眠るチャペルに行き蝋燭を灯したり、
家に戻って料理をして食べたり飲んだり、とりわけ彼女が最近イタリアから持ち帰った
今年の10月搾りのオリーブオイルの美味しさといったら無かった。
ぺリドットを溶かしたような美しい緑の液体はバゲットに塗るだけでとても美味しい。
2日間を美味しく過ごした。

その翌日、小雨の中を森に散歩に出掛けた。雨にぬれた美しい森を撮ろうと
傘をかぶりながら撮影する。
思うように写真は撮れないのだけれど矢鱈めったらに撮った。









ところで年末は休息がてら映画を観ることに決めた。
手始めに。。。

● mission impossible phantom protokoll 

派手なアクションでスカッと出来るかもしれないという期待だけで見に行った。
この映画は兎に角アクションを眺めて楽しむだけの映画だと思っていたので、それ以外は期待しないでいた。
見終わって映画館を出ると世界一高いビルの窓を登る場面だの、色々出てくるスパイ小道具だのしか思い出さない。
後にはなんにも残らない潔さだ。これもまた良し。



● The Company Men(DVD)

大企業のエリート達は意気揚々に走りながらも日毎の競争に内心神経をすり減らし、
組織から突き放されてしまうと、一体自分の価値を見失い、方向感覚を見失う。
仕事を失って、その後の自分にどう解決をつけて行くか?
映画の中で主人公の義兄は大工職人で自分の手と汗と力で稼いでいるのだけれど、
この義兄の存在がなかなか重いポイントにもなっているのではないかと思う。



● Melancholia

トリーア監督の作品が好きかと聞かれたら嫌いと答えるかもしれない。
冒頭から陰鬱で耽美的な映像がとても魅力的だ。
タルコフスキーが透けて見える感じが無きにしも非ずだが、残念ながらタルコフスキーは超えられない。
物語の始まりに花嫁である主人公の一人が未来の夫と共にあきれるほど長いリムジンに乗って披露宴会場に向かっている。
蛇の通り道のようにくねる道をリムジンは上手く曲がりきれず立ち往生してしまう。彼らの寸分先の困難を暗示しているようだ。
晴れの舞台であるはずなのに心を病む主人公と、そこに集まった人々の持っている暗闇で、その場は少しずつ空気は重く沈み、
"期待”の上に築き上げようとした努力は見る見るうちに崩れてしまうのだ。
同時に物語の背景には飛んでも無いことがおきている。
大きな惑星が地球に接近中で、衝突すれば地球はひとたまりも無い。
惑星メランコリアは人の不安を翻弄するように近づいたり遠ざかったりしていたが、間違いなく地球に向かっていると確認した時に
或る人は自殺し、ある人はパニックに陥り、不確かな恐怖には混乱していた主人公は、むしろ状況を受け入れる。。。
最後の場面は気に入らなかったものの、全体にはなかなか面白かった。
もう一度見てもいいなと思っている。


さて次は何を見ようか。







原発事故後の政府の無能さと責任逃れの態度に改めてあきれ果てた。  ・・・・・> ★★★

















ノスタルジア

2011-05-12 19:31:31 | 映画の話


アンドレイ タルコフスキーの「ノスタルジア」
この9分間ほどの
緊張感あるシーンは
主人公のアンドレイが
炎を消さずに
広場を横切れば
世界は
救われると
言われて
やり遂げる
所だ。
炎を
守ろうとする
アンドレイの
手が
印象的で
好きだ。

帰宅途中
この映画が
何故か
思い起こされて 
ずっと
木の枝に
絡んだ
風船みたいで
気になって
仕方なく
映像を
探した。




しかし 今 この映画を通して見る元気は無い。

























2月23日

2011-02-23 16:58:26 | 映画の話









Moonを観た。
観ていて色々なSF映画のシーンを思い出した。
何かを問うというドラマではないけれどもどこか心にひっかかる。
似た様な話がさまざまな形で起こりうる気がしてしまうからかもしれない。
サム・ロックウェルの一人芝居熱演で、ケビン・スペーシーがコンピューターとして声だけの出演。
97分低予算制作。監督のダンカン・ジョーンズはデヴィッド・ボウイーの息子。


ISSに人型ロボットが導入される。
そのうちにあちこちでロボットが人間の仕事を代行するようになるのだろうね。



Requiem for a dream(2000年)を観てしまった。
今この映画を観る時じゃなかったのに観てしまった。
アマゾンの注文リストからはずしたつもりで外し忘れていたのだった。
英国の映画誌が2009年に「気の滅入る映画トップ30」で1位に選んだというこの映画は、私をすっかり陰鬱な泥沼に引きずり込んでくれた。
(何事でもNo.1にあげられるのはたいしたものだね)
ドラッグのわなに引っかかってしまった4人の登場人物の這い出すことの出来ないような底なしの沼への転落に一緒に落ちる勢いがあった。
見終わってののしり、そのうち気分が悪くなったので、あわてて気分転換に外に出た。
(外に雨が降っていなかったのは幸いだったというものだった)
ダーレン・アロノフスキー監督はデビュー作「Π」でかなり注目していて、その後「The Fountain」でがっかりしたものの、なかなか面白い作家だと思う。
(今彼のBlack Swanがかかっているけれど。。。力の余っている日に観よう)
この人独特の世界は陰鬱であろうと何であろうと魅力的ではある。嫌だと放り投げても観てしまう。
かなりインパクトが強い。元気のあるときにのみ鑑賞をお勧め。。。
見終わってすぐ封筒に入れ封をし棚の奥に放り投げた。

見たい人、居ますか?



"郷愁、故郷”をテーマとして形にすること。(9月、二人展)
昨日はBarbaraとブレインストーミング。


中近東に続いて中国も民主化運動家たちが勢いを得たものの扇動容疑で拘束されたという。
すぐにはどうなるものでもないだろうけれど、変化は確実に起こり始めているのだろうね?
しかしリビアも滅茶苦茶。カダフィ大佐の暗殺未遂事件も起こった様子。
国がゆれているのがこちらまで伝わる感じがする。











Schneechaos

2010-12-19 23:00:36 | 映画の話












今年は大雪に始まり大雪に終わるらしい。
飛行機の飛ばない飛行場には人が溢れるばかりで、できることなら鉄道に乗り換えることを薦め、ドイチェバーンは出来るなら旅行を取りやめた方が無難であると呼びかけていた。
幸い私は遠くに出かける必要も計画もなし、高みの見物で雪景色を楽しんでいることが出来るわけだけれど、年末休暇の旅行に出かける人は少なくないわけで、実に気の毒なことだ。
アウトバーンも事故は多発するし、いたるところで渋滞がおきてしまうのでよろしくない。
とはいえ、見慣れた景色が雪衣を纏うと美しくて得をした気分になる。







映画メモ

Die Eleganz der Madame Michel(Le herisson)というフランス映画を見た。原作は「L'Élégance du hérisson」という小説の映画化。
スノッブな家族の中で日常に辟易している自殺願望の少女、高級アパルトマンの管理人の中年女が主人公達だ。
管理人のルネは一見鈍重なおばさんの振りをしながらトルストイや谷崎潤一郎を読んでいる。読書家の彼女の部屋には本がうずたかく積まれている。
自殺願望の少女パロマは賢すぎる子供であり、大人の嘘を見抜き失望している。家族たちはそんな彼女の姿が"見えない”のだ。
たびたび母親が「何処にいるの?なぜいつも隠れているの?」とパロマを探している声が聞こえる。
パロマは部屋の隅に息を潜めているわけだけれど見つからない筈が無い。母親には彼女が”見えていない”のではないか?そんな風に思えてくる。
見えない存在としてまたルネがいる。高級アパルトマンの住人達は彼女に毎日出会っているはずなのに見ていない。住人達には彼女は「役目」であって「個人」ではないのだ。
階級の違うみすぼらしい中年女なぞには顔は無い。ある意味パロマもルネも状況も立場も違うが似た物同士だ。
そして彼らはお互いを仲間として発見し引き合う。パロマはルネの外見と無愛想さの裏に隠れた彼女の優雅さと美への感性を嗅ぎつけている。
話の内容を書くつもりは無いけれど、この映画はなかなか面白く、不思議な余韻を残した。
原作も読んでみたい。

「幸福な家庭はどれもよく似たものだが、不幸な家庭はみなそれぞれに不幸である」(アンナ・カレーニナ)







Inception

2010-08-01 19:01:14 | 映画の話




映画の気分になったのでインセプションを観にいった。
実は見るまではそれほど期待していなかったのだが、なかなか面白かったので満足。
”Matrix”“Dreamscape”“Dark City”や”The Cell"にMission Impossibleで味付けしたと言ってしまったら、あちこちから素材を頂いて良い所盛り合わせお子様ランチ。。。と聞こえるかもしれないけれどそうでもない。奇想天外目から鱗が飛び落ちる程ではないにしても独創的だしこれだけ良くまとめたものだと感心する。
好みは千差万別、退屈してしまう人も多い事だろう。
後半でのアクションシーン(誰が誰とも見分けのつかぬ雪景色のなかでの銃撃戦)は少し長すぎるようにも思えたり、いくつか気になる点は出てくるものの、あんまり重箱の中ばかりつついていても仕方のないこと。
エンターテインメントな映画ではあるけれど、設定状況が高速テンポで移行するのとわかり難さで、このタイプの映画を好まない人には苦痛になるかもしれない。
簡単に言えば他人の夢に入り込み或るアイディアを植え付ける話で、予想外のファクターがミッションを難航させる。
夢は幾つかの階層に分かれて、それぞれの夢の段階でタイムラグがあると言う設定で、4つの夢の中で起こっている事が同時に上手くかかわりあいながら進行する。(夢が深くなるほど体感時間は長い。。浦島太郎現象の逆)
夢か現実かの区別を確認する為にそれぞれのメンバーは『トーテム』を携えているという設定も魅力的。(主人公のトーテムは美しい形の金属の独楽で、夢の中で回したら決して倒れない)-ここで私がトーテムを選ぶとしたら何かなあ。。。などとのんびり考えていると置き去りになるので注意-
このミッションを遂行するチームは目的達成はできたのだけれど、その点は物語が進行する内に二次的な物になって途中から彼らの戦いは違う方向に向かっている。
夢から覚める為に『キック』が必要と言う設定で、それは『落ちる』ことだったり『死』であったりする。その時の合図にEdith Piafの"Non, je ne regrette rien"が使われていて、この曲の選択も意味深に思う。
最近CG特殊効果をこれでもかと見せられて食傷気味だったのでそれが少ないのも悪くないなと思った次第。
ラストシーンでは『一体真実はどちらに?』と言う場面で観者達にその選択をゆだねて終わる。
結末放り投げ型には時々がっかりしたりするものだけどこれに関しては悪くないな、と思う。



以前私は夢の中で『これは夢の中だから、この窓から飛び降りても死なない』と考えながら飛び降りた事がある。
普通は地面に叩きつけられるところあたりで恐怖の針が飛び跳ねて目が覚めると言うところなのだけれど、その時は確実に夢だと信じていた所為か、地面に落ちた。
落ちる事は『キック』にはなっていなかった。落ちても痛くはないし、アスファルトは暖かく乾いた感じでむしろ気分が良かった。
確かその後は気まぐれに場面が変わっていったように記憶しているのだけれど、『これは夢だ』と勘違いしているのだとしたら?とこの夢をたまに思い出す。
私も『トーテム』を作っておくことにしましょうか。。。。何が良いかな?



追記:

音楽担当はHans Zimmerでなかなか良かったが、こんな分析をした人があった。
実際Zimmer氏がどう作曲したか真相はわからないけれど、このテーマが『キック』の合図であるフレーズを極端にスローダウンしたものだったとしたら、夢の階層ごとにのびて行く時間を象徴しているようにも思える。
どうなのだろう? 
面白い事を思いつく(気が付く?)人もいるものだ。







メモ

2010-06-24 11:49:32 | 映画の話





中古のDVDを4本
-Everzthing is illuminated
-District 9
-The Box
-The Bird People in China
を購入。
どれも知らない映画だし、面白かったといった人が居たようないなかったような。。。
という曖昧な記憶で購入。
(「The Box」は「Donnie darko」を作った監督で、期待はずれだったそうだが「District 9」はちょっと期待)

本は一冊、井上靖Das Jagdgewehr(猟銃)
96セントで送料が3ユーロじゃ高すぎる気もするけど、これは仕事用に読まねばならないのでよしとする。
フェルナンド・ペソアの不穏の書の朗読CD。これは仕事場へ行くときに聴く楽しみ。
亀の餌。我が家の亀、次郎ちゃんの飯。
さくらんぼの種入り小さなクッション。これは寒い時にオーブンで温めて疲れたところに当てておくもので気持ちが良い。懐炉のようなものだ。
冬に買うつもりだったが今頃になった。

今日も昨日に引き続き天気良好。
今朝(6時半)起きて寒暖計を見ると14度だったが今(9時半)はすでに22度。今日は27度まで上がるらしい。
洗濯物が良く乾くのでそれだけでも嬉しい。
今朝は掃除洗濯、昨日漬しておいた豆の料理(ヒヨコマメで豆腐とオカラの煮付けとクッキーだ!)、写真撮影、メイルチェック、返信を9時までに終了。
いつもこんな風にてきぱきとできたら、さぞ沢山の事が片付いて気持ちよいに違いない。
天気の良い明るい日は気分が良いから色々捗るのだ。
また顔写真を送らなければいけないというので今朝セルフタイマーで自画像を撮影。
この間撮ったのだから、何処かにデーターが残っているはずだと思うのだが見つからない。何処をほじってもデーターが見つからない。捨ててしまったのかもしれない。
ぼやぼや探しているよりもう一度撮ったほうが早いので撮る事にしたのだった。
若い頃から髪や肌の手入れなどにはさほど頓着しない私だ。だから"ぼさぼさのボバサバサ”で写真に撮るとその結果をはっきり突きつけられてしまいうんざりするが、仕方ない。
ほぼ後ろを向いた瞬間の写真を提出してみたが駄目だった。充分だと思うのだけれど。

外気温温度急上昇中。植物に水をやらねばいけないか? 





少しおしゃれについて考えていたら、今日のDie Zeit オンラインの中で紹介されていたブログがあった。

ベルリンのファッションブログStil in Berlin

私には参考にならなそうだけれど写真を眺めて楽しい。









ストレス解消

2009-09-25 07:32:04 | 映画の話



随分前の事になるがあんまり疲れていたので指圧マッサージを受けたことがある。
疲れたときラヴェンダーオイルなどを一寸こめかみの辺りにつけてみたらよいですよと言われたが、そんなものかなと忘れていた。
一昨日の夜中アマゾンの買い物籠の中に、以前見つけて放り込んでおいたエッセンシャルオイルがあって、もう興味はすでに失せかけていたのだが発注してしまった。
それが今日早々に届いた。
ラベンダー、薔薇、チャンパカのエッセンシャルオイルの三種類。このところモニターとにらめっこで頭が重かったので早速ビンを開けてこめかみ辺にほんの一滴塗って見る。一寸良い気分になってきたのは暗示かもしれない。



チャンパカ:
もくれんの仲間で芳香性高し。リラックス効果、頭痛緩和、鎮静作用あり。金木犀とすずらんの芳香が混ざり合ったような甘い香り。かなり甘いわりにはどこかすっきりしたところもある。悪くない。

ラベンダー:
チャンパカと同じくリラックス、鎮静効果,頭痛緩和、抗痙攣作用あり。ラベンダーの香りに甘さが増幅されているような気がする。何だか予想外。

薔薇:
更年期障害の諸症状に有効作用、鬱症状緩和、ストレス解消効果あり。






ストレス解消にはエッセンシャルオイルより映画を観ることもよし。(体を動かすのが一番だろうけれど)と言うことで再び映画の話。

アニエス・ジャウィ(Agnès Jaoui)の”Comme une image” 2004年を観た。(この頃フランス映画をよく観ている。)
これもなかなか良い映画だった。ジャウィは声楽も学んだ人で歌唱力もある。多方面に才能のある才色兼備だ。
物語は取り立ててこれと言うドラマチックな内容はなくて良くある話しだ。他人の欠点は鮮明に見えるが、自分自身が同じ事をしていても気づかないことは良くあるものだ。自分だけが傷ついたと勘違いしていたり、他人を知らぬ間に傷つけている。日常度々遭遇する場面だ。そんなわけで苦笑いしながら引き込まれる映画。
第57回カンヌ国際映画祭脚本賞受賞を貰っている。
ジャウィの新作"Parlez-moi de la pluie"をやはり観そびれていたのだけれどそれもDVDが出たらのお楽しみと言うことで待っている。


落下の王国

2009-09-23 16:59:21 | 映画の話



先日「The Fall」2006年を観た。プリンターのインクが切れて買いに行った店にDVDが並んでいたのを気が向いて買った。すっかり忘れていたのだが数年前ロードショーで見損ねた映画の一つだった。
このターセム監督が長年暖め続けていた構想だったそうで、CM映像撮りで出かけた先々で気に入ったロケーションを探し貯めたという。結局自分のイメージどおりに自力で作った力作である。CD業界では第一線を走る人だからこれだけの映画を自費で作ることができるのだ。
映像が豪華で美しく目を奪われるものの物語が地味なためかそれほど話題に上らなかったように思う。しかしどうしてなかなか良いお話だ。
事故でベットに釘付けになっている青年は失敗続きで生きる気力をなくしている。暗闇の中の採れたてのオレンジみたいに明るく屈託無い少女。オレンジ農園で働くルーマニア出稼ぎ労働者の両親を手伝って木から落ち腕を折って入院中という設定だ。
ひょっとしたことで出会う二人。青年は慕ってくる少女に物語を聞かせる代わりに自殺を遂げるためのモルヒネ錠剤一瓶を薬棚から盗み出すようにとそそのかす。
彼の語る冒険物語が彼女のフィルターを通して展開してゆき、終いに崩れ行く物語と彼自身の心はあどけない少女の思いによって救済される。
簡単に言えばそれだけの話なのだけれどしみじみ良い感じが残るのだ。練り上げられ完成された感動の物語と言うほどの印象はないけれども、そこここにちりばめられた小さな切れ端が光っている。私はそれぞれの切れ端がそれぞれに発展していきそうな予感を残しつつ一つの流れになっているように観た。
話題になったのは映像の中に多くの13の世界遺産が出てくることなのだけれど、ターセム監督流の作りこむ映像はCGを使わずとも美しい。こだわりの人だ。
もっとも映画監督などこだわり強くなければよいものは生まれない。



更に言えば、何をするにもこだわりは必要だ。






落下の王国
The Fall


モニター

2009-05-16 09:21:48 | 映画の話
10年ほど愛用していたモニターがとうとう青息吐息で見ていて辛いのでとうとう新しいモニターを買った。17インチから24インチだからその差は大きい。画像を処理するときなどとても楽だ。目が楽だ。
我が家はTVは14インチのポータブルしかないのでこれでDVDなど見たらよいだろうな。。。とおもいDVDを物色していたらDVDどれでも5ユーロという山積みがあって、人だかりがしていた。
最近ブルーレイが浸透してきた所為でDVDが安くなることがある。値段に惹かれて探してみた結果、ギリシャ映画「Spice of Life」とデンマーク映画「Adam's Apples 」を購入。











映画といえば先日『Star Trek』を観た。期待してはいなかったのだけれども結構楽しんだ。
やはり『Strar Trek』シリーズは一応抑えておかなければね。。。。



暗闇に浮かぶ

2009-03-02 17:23:21 | 映画の話
暗闇に浮かぶいろかたちを集めてみる。
(ひょっとして、今私の頭の中も灯がともっていないのかもしれない)






昨日は11時から夕方17時までエスプレッソ4杯、クッキー4個、チョコレート2欠けのエネルギーで立ちっぱなし、喋りっぱなし。
オープニングだけのことなのでありがたい。疲れてくると何だか余計なことを言い出して、話が飛んでも無いところに流れそうになってくるのを方向修正するの更にエネルギー要だ。帰る頃には頭が痛くなった。
夜はソファに転がってちょうどナイト・シャマランが最悪助演男優賞と最悪監督賞を受賞することになった『レディ・イン・ザ・ウォーター』がテレビで流れていたのでぼんやりとしかし一生懸命観た。
一体これは。。。とと思いながら付いていって、最後にがっくり。。。気が抜けたのだけれど、この監督は緊張感を持たせるのは上手と思う。それって結構大変なことだ。この監督どうなって行くのだろう?
シャマランの最新作も評判はよくないが近いうちにDVDを借りてこようかな。
映画に集中することで重い頭がすっきりした。

映画は薬になることもある。アスピリン知らず。




走る林

2009-02-24 05:42:11 | 映画の話
走れ"林の中”を
"走る林”の中を



昨日の夜。
友人達と映画を見てきた。
「Der Vorleser(The Reader)」。。まだオフィシャルには公開されていないのだが(2月24日から)、昨夜は特別公開でしかも申し込み者先着何十人か無料という話を耳聡い友人が見つけて手配してくれた。
持つべきものは友。
ドイツ人作家Bernhard Schlink 原作の小説映画化である。
なかなか質の良い映画だった。原作もヒット作だ。
まだ公開前でもあることだしここに詳しいことは書かずにおこう。
物語前半はロマンス、中盤から物語りは複雑な影を含み始める。
正義とモラルについて、そして人間の心の襞の複雑さについて、兎に角色々なことを考えさせてくれる話だった。

役者もそれぞれとてもよい演技で納得の作品。お勧め。





The Machinist

2008-12-22 17:08:15 | 映画の話

火力(石炭)発電所







The Machinistという映画を観た。
先日観たThe Prestigeで主役をとっていたクリスチャン・ベール主演の映画だったのは偶然で、私が特別この役者をひいきにしているというわけではない。
彼はこの役の為に30キロほども体重を減らしたというが、かなり危ない。
体重をいきなり減らしたり増やしたりして役作りをするのはすごいけれども、大丈夫なのだろうか?他人事ながら心配になってしまう。
それほど騒がれなかった映画で、私の気づかず仕舞いだった。
彼のすざましい減量による骸骨のような肢体を見せ付けられるのは結構な衝撃だ。

話の中の謎はすぐに見通せるとは言え、それでも緊張感はピンと張っていたし、映像の作りこみはとてもよかった。

多分好き嫌いが分かれる映画だなあ。









第三アドヴェント

2008-12-14 23:14:04 | 映画の話
毎日が転がりすぎてゆく。



第三アドヴェントがもう過ぎようとしている。

 

 



昨日のこと。
友人の携帯電話に電話をかけた。
長いこと呼び出しをしてやっと声が聞こえた。
何処にいるのかと問えば、森にいるという。
ああ、散歩中なのかと一人合点をしていると、さにあらず樅の木を買って今それを担いで車に向かっているところだといって息を切らしていた。
こちらでは良く、森の中や森の入り口でクリスマスの木を売っていたり、または木を自分で選んで自ら伐採し運ぶということもある。
(別の友人宅では彼が木を切ってもって帰る慣わしだが、度々木の形で喧嘩になるらしい。天辺が曲っているとか、斜めだとか、枝が不ぞろいとか、まあそんなことだ。実際天辺に星なんかつけようと思ったら、曲っているのは大変に不便だ。枝に癖があって曲っていたら、蝋燭なぞつけるわけには行かないかもしれない。何をこんな事でと思っていたら、統計的にもクリスマスに木の形からはじまる喧嘩が多いのだそうだ。)
友人家族は3mの樅の木を買ったというから、家の中に入れたらかなりの大物だ。どうやって立てるのか?飾り物も沢山必要だろう。家内の安息のためにも、まっすぐに育った立派な木だったことを祈る。
樅の木ね。
おととし買った蝋燭を中に入れて飾るクリスマスツリー型の陶器を引っ張り出してきて飾ってみると、それらしい雰囲気が少しずつ立ち上がってくるから面白いものだ。



今日はまた映画の日。
今日の目当ては「地球が静止する日」だった。
それほど期待していなかったとは言え、もう少し何とかならなかったのかなあ。。。とがっかりした。
1951年ロバート・ワイズ監督が「地球が静止する日」を作っている。今回はそのリメイク。オリジナル版はまだ観ていないのでわからないのだが、これは当事1951年の冷戦中の"不安”だったのかもしれない。(トレーラーを観たけれど、ううん。。。なかなか。。。今の撮影技術と比較しては申し訳ないが、どうしても笑ってしまう)
兎に角冷戦の核への恐怖というはっきりとした対象がない現在(平和になったという意味では決して無い。。。)話が弱くなっているということか。。。配役が今ひとつ。
一瞬でもなるほどね、と思わせてくれる驚かせてくれる場面が無かったのが残念。

隣でやけに食べたり飲んだりうるさい中年カップルが座っていて、度々気になった。実に良く食べる人たちで、映画の間3度もポップコーンやタコスやコーヒーやコーラなどを買いに立ち上がるのだ。いっそのこともう映画を観るのはやめて外で食べたらいいのに。。。

音の静かな場面になると四方からパリパリと食べる音が聞こえてくるのだった。






イリュージョン

2008-12-09 09:33:36 | 映画の話


先だって"The Illusionist”という映画を見たので、この映画と一緒に名が浮かんでくる”The Prestige"も観たくなった。
この二つの映画は比較されるようだけれども、似ているのは主人公がマジシャンであること、時代背景の設定がほぼ同じで、最後にどんでん返しつきの話であること、ヨーロッパが舞台という事位で、簡単にカテゴリー化すれば前者は恋愛のからむロマンス、後者は宿敵間の戦いを描くSF風サスペンスだ。別物なのでどちらが良いと判定しがたい。双方それぞれに面白かった。
この映画も賛否両論。現実的合理的理解範囲を超える”物”が出てくるあたりでこけてしまう鑑賞者もいるはずだけれど、ありえない事はそれで柔軟に受け止めて、ちょっと戸惑いつつも楽しんだほうが良い。デヴィッド・ボウイが扮する二コラ・テスラはかなり胡散臭くて、彼自身が奇術師のようだったかな。テスラは実際エキセントリックな人物だったらしい。
からくりがすぐにわかってしまってがっかり。。。という感想が多いのは、マジシャンの物語だからなのだろうか。話の展開がわかってしまったから駄目、という鑑賞体勢だけではつまらなかろうけれど、私はその辺はそれほど気にならない。主人公二人のぬかるみにはまって行く悲劇的対決は熱演だったとおもうしね。
クリストファー・ノーラン監督は「メメント」という映画もそうだったが、入り組んだ話運びを好むらしい。