散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

散歩絵:みずたまり

2016-10-25 16:29:03 | 散歩絵





たびたび通りかかる畑の脇に大きな水溜りがある。それは脇にあるものの通り抜けるのに少しばかり邪魔でつい気になって立ち止まる。
陶器の細かいかけらを投入し、その水溜りを埋める努力をする人がいる形跡が見えるが、なぜか窪みは小さくなるような様子が無い。
ある日は茶色い壺らしき陶器の欠片が、あるときは塩釉をかけた陶器の欠片が、そして昨日は安っぽい模様のタイルらしき欠片が見えた。
水溜りの底は少しずつ陶器を飲み込んでいるらしく大きな変化はない。
水溜りを埋めようと陶器を砕いている誰かの努力が実る日は来るのだろうか?




失敗

2016-10-24 15:31:32 | 思考錯誤
先日オランダへの小旅行について割合長めの文章を書いた。
それがどういう風に手元が狂ったのか、一瞬で消えてしまい同じ事をもう一度書き起こす気分にはならなかった。

オランダの砂丘地帯の事、頭の中が空になるほど沢山歩いた事、ついでに安倍公房の砂の女を思い出していたこと、などなど頭の中に絡まっていた印象を解し書き出したのだったけれど、それから幾日も過ぎてしまうと、また頭の中には別の糸が絡み始めていて、解く糸口が今のところ見つからない。

























海辺

2016-10-03 22:11:18 | 移動記録



今、カーンカーンと10回教会の鐘の音が鳴った。

久しぶりに海を見たくて北オランダのzandvoortにやって来た。
何故この街かと言う理由は特に無い。

浜辺歩きをしても、この辺りは綺麗すぎる程の砂浜で打ち寄せられる拾い物が期待できないのが残念ではある。
すると靴の下で脆い貝殻がカシャと音を立てて崩れるのを聴く。沢山のマテ貝の殻だった。鳥に食べられたのだろうか。一つとして同じ色柄は無く、よく見るとなかなか美しい。中にとりわけ白くて美しいと見えた貝殻を拾い上げて歩き始めたとき、走り寄ってきた犬(パグだった)が私の白い貝殻をスッと咥えて持って行ってしまった。はてな?数週間前の事、私は朝の散歩のついでに野草を摘んだ。2、3本の花を手に歩いていた時、前方ではしゃぎ回っていた犬が不意に私の方に走って来たかと思うと、携えた花の茎をそっと噛み、抜きとって走り去ったのだ。
私が持っている物は彼らに美味しそうに見えるのだろうか?それとも私の動作が原因でついふざけたくなるのか?
仕方ない。白いマテ貝の殻は残念ながら見送った。

今では廃れてしまったかつての漁村は観光地として蘇って、旅行客が溢れている。
しかし、時期外れという事もあるが、華やかな海岸というわけでも無くのんびりしている。
近所のスーパーマーケットで食料を買い込んで軽い夕飯を済ませた。浜辺を行ったり来たり歩き、それだけで充分満足だった。
アパートメント式の宿もなかなか具合良く感じもよく、小さな台所もあって、よくまとまって使い易く、部屋幅いっぱいに取った窓が気持ち良い。(窓は街側と海側にあるが、海は猫の額ほどしか見えない)
部屋の中でのんびり読書と決め込むのも悪くない。
夕方にはコクマルガラスの群れ、カモメや鳩の群れが飛び回る様や、面白い余興になった。

読みかけの本を沢山持ってきた。