Rosenkohl=メキャベツを買ってきたので料理することにした。
といっても塩水で湯がいて少量の七面鳥肉とハーブと共に炒めてちょっと生クリームをたらすというような簡単な料理だ。あ、レモンの皮をほんの少し細切りにして散らすのが気に入りだ。そこにご飯を添えるともう晩御飯。
袋から出して転がり出る小さな緑の球ころ達は可愛らしいといつも思う。
昔は嫌いな野菜の一つだった。苦くて美味しくないといった印象だった。
ドイツに来て間もなくのころ知り合いのドイツ人に連れられてチェコの店だというビストロに入ったことがあった。
今が時期だからきっと食べられるわよ。。。と,何か特別に美味しいものがあるかのように私の手を引いたのだ。
小さなビストロは感じの良く、ビールも美味しいのだ。
お待ちかねの”美味しいもの”とは「メキャベツとチーズのグラタン」なのであった。もう二昔も前のことなのに良く覚えている。(メキャベツの衝撃?)
私はその当事メキャベツなど大嫌いだというくらいに思っていたから、彼女に強く勧められでもしなければそれを食べようとは思わなかっただろうと思う。しかし躊躇しつつも強い勧めにおされて注文してしまったのだ。料理が届くまでの間彼女は如何にそのグラタンが美味しいものかを熱弁した。
熱々のグラタンは表面がほんのり狐色に焼けて薄緑の丸ごとメキャベツたちが皿の中に山盛りひしめきながらグツグツと動いていた。
注文してしまったからには食べるしかない。私は猫舌なので、しばらく疑わしそうにメキャベツを眺めながら、しかし、おいしそうには見える。。。と思い始めたりもしていたのだった。適当にさめてからおもむろにフォークでメキャベツを刺して口に放り込んだ。
噛んで見るとほくほくしてやわらかくとろけるごときだ。
知人もうれしそうに頬張っている。
彼女の美味しそうな表情は更に料理の味を引き上げた。
むむむ。。。?こいつはあの苦い不味いと思っていたメキャベツか?
美味しいではないか。
甘みがあっておいしいのだ。もちろん一口後にいっぺんに私の懸念は消え去り、あっという間にメキャベツグラタンの皿は空になった。
後日、私はメキャベツ嫌いの知人の手を引いてその店に向かった。
「美味しいもの、食べに行こうよ」と。
好きな物が増えるということは何れにせよ素敵なことだ。