今日もまた、気になる新聞記事からです。
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200810140126.html (『大阪市は裕福』は、橋下知事の誤解、議論にならない=朝日新聞10月14日付けネット配信記事)
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200810140125.html?ref=recc (「地方自治の蹂躙だ」非公表の吹田市長、橋下知事を批判=朝日新聞10月14日付けネット配信記事)
http://www.sankei-kansai.com/2008/10/15/20081015-003014.html (吹田市長「学力テスト公開なら抗議」=産経関西10月15日付けネット配信記事)
http://osaka.yomiuri.co.jp/tokusyu/h_osaka/ho81001a.htm (私立101幼稚園値上げ「橋下改革」が直撃=読売新聞(関西発)10月1日付けネット配信記事)
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/081015/lcl0810150016001-n1.htm (府庁舎問題3案で橋下知事“迷走”=MSN産経ニュース10月15日付けネット配信記事)
http://mytown.asahi.com/osaka/news.php?k_id=28000000810030002 (「児童文学館、当面存続」請願 府議会=朝日新聞10月3日付けネット配信記事)
とにかく、ここ最近の新聞各紙のネット配信記事を見ていて、目に付くものを拾い出してみたのですが、だんだん橋下知事の打ち出した施策の「アラ」が見えてきたような印象ですね。あるいは、橋下知事の打ち出した施策に対して、例えば府下自治体からの反論・批判や、府議会での「迷走」状況を前にして、ようやく、マスメディアが冷静に検証しはじめたという印象でしょうか。
例えば、「子どもが笑う大阪」とか「子育て支援の充実」をかかげて当選したわりには、私学助成を削る方向での「財政再建」を橋下知事が打ち出したことで、私立幼稚園が保育料を値上げせざるをえない状況に追い込まれていく。
また、学力テストの結果公開問題に見るとおり、文部科学省などの国の行政に対しては「地方分権」を強調するわりには、吹田市長の抗議にあるように、まるで府下の各自治体には分権を認めないかのように、「しめつけ」を強化する。
おまけに、府庁のWTCへの移転案については、産経新聞がいうように方針が「迷走」しているようですし、府と市の関係については、平松大阪市長からも批判が出る。
そして、「隠し撮り」問題まで引き起こした国際児童文学館の「廃止」方針に対して、府議会からも「当面存続」という声があがる。しかも、「当面存続」を求める請願に対して、府議会は与野党あわせて採択の方針だとか。
こんな風に、橋下知事の打ち出す施策について、府議会や府下自治体からもさまざまな批判や反論、問題点の指摘が出てきています。また、マスメディアからも、まだまだ扱いは小さいものの、こうした府議会や府下自治体の動きを受けて、橋下知事の打ち出す施策に対して、さまざまな形で批判や問題点の指摘が出てきました。
このような状況下では、橋下知事が一時期のような、マスメディアを通じての「強気」発言をくりかえすことは、そう簡単にはできない雰囲気ができつつあります。また、これはとてもいいことだと思います。
というよりも、そもそもタレント弁護士としてマスメディアで発言することと、府知事として発言することは、同じような意味を持つわけではありません。少なくとも府知事としての発言には、マスメディアを通じての市民のチェックや、府議会での追及・批判等が伴います。タレント弁護士時代のような威勢のいい、強気発言を、府知事として繰り返していると、あとあと、府知事としての自分の立場を危うくするかもしれないのです。
と同時に、橋下府知事の政治的「武器」が、このタレント弁護士時代につちかった「パフォーマンス力」だとすると、マスメディアが一時期のブームから冷めて、おちついて府知事としての彼の発言を検証し始めたり、批判的な府下自治体や府議会からのコメントも報道し始めたりすれば、その「武器」もだんだん、使いづらくなるはずです。まさに、その高い「パフォーマンス力」が、府知事としての命取りになるかもしれないからです。
そして、橋下府知事のブレーンとして、この間、大阪市政改革などを推進してきた人々がバックに控えているようですが、彼の高い「パフォーマンス力」を使いながら、「抵抗勢力を言葉で攻撃して封じ込める」という手法で府政改革を推進しようという思惑は、こうして彼の「パフォーマンス」の内実が明らかになればなるほど、使えなくなるはずです。
大阪市政改革に際しても、職員の不祥事など数々の問題点をマスメディアで取り上げ、そこで盛り上げた改革への世論や行政へのバッシングを追い風にして、ブレーン層と市政トップ層が練り上げた改革案を、行政末端に「無理強いする」という形で進んできました。ある意味、マスメディアがうまく、市政トップ層やブレーン層に「乗せられた」あるいは「使われた」という面があるのではないでしょうか。
そこから考えると、逆になぜ、大阪市政改革のときには、関西のマスメディアはあんなに簡単に市政トップ層やブレーン層の思惑に「乗せられた」のか? そこが疑問に思えてきますね。関・前市長期のマスメディア報道の検証というのを、一度、研究者とメディア側の両方が協力して、きちんとやったほうがいいですね。
ただ、いずれにせよ、これから先、大阪府議会や大阪市議会、府下各自治体議会で、きちんとした橋下知事の打ち出した方針に対して、事実の検証、批判的意見の提示を行っていくこと。それを大阪府政にも大阪市政にも、そして、府下各自治体の行政施策にも反映させていくこと。市民レベルも、府知事だけでなく、各自治体首長の「パフォーマンス」にまどわされるのではなく、きちんとした事実の検証と批判的な議論の積み上げの上で、自らの判断を行うこと。そのために、マスメディアが引き続き、冷静に状況を伝えることが今、もとめられていると思います。
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