今から書くことは、かなりまだ漠然としたことではありますが、研究面及び社会的活動面で「そろそろ、はじめてみたい」と思っていたことです。
まだ今後、これをどのように具体的にすすめるかについては、このブログで思っていることをいろいろと書き綴ってみたり、個人的にいろんな方と話をして考えていきたいと思います。また、自分の体調や本業との兼ね合いを考えると、どこまでできるか自信が持てないところもかなりあります。
ですが、今の関西圏での子どもや若者を取り巻く社会情勢を私なりに見ていると、「このままでいいのか?」と思うことがいくつかあるので、こんなことを考えたような次第です。
で、「何をはじめてみたいと考えたのか?」ということですが、今までの子どもの人権論や人権教育、解放教育、同和教育などに関する議論の「整理」です。なお、ここでいう「整理」の対象には、学校教育に関する議論だけでなく、学校外の教育や保育・児童福祉の領域での議論もあると思ってください。
あえて露骨な言い方をすれば、今の社会情勢を前にして、きちんと「子どもや若者の最善の利益」を追求していけるように、子どもの人権論や人権教育、解放教育、同和教育などの既存の議論を「練り直す」ということ。その作業を抜きにしては、もはや今の社会情勢に、私たちは太刀打ちできないのではないか・・・・という、そんな危機感が私にはあるのです。
そういう危機感を抱き始めたきっかけにあるのは、当然ですが、2006年夏から2007年春に至る間の、大阪市の青少年会館条例廃止をめぐる諸問題。また、それから3年間の、もと青少年会館を使って活動中の大阪市内各地区の人たちとの交流の経験。そして、大阪府内の青少年会館関係者との交流の経験です。
はっきり言いますが、まだ雑誌『解放』のほうは、「解放子ども会の挑戦」(2008年8月号)なる特集を組んだこともあるように、各地区での子ども会活動などの地道な取り組みに目を向けてくれているような印象があります。しかし、雑誌『解放教育』がこの3年間、別に大阪に限定はしませんが、たとえば全国各地の子ども会活動などに、どれだけ目を向けてくれたのでしょうか? どうも私の目には、この3年くらいの雑誌『解放教育』の内容から、学校外の諸活動が「消えた」印象がぬぐえません。
あるいは、子どもの人権論の立場であれこれ研究をすすめたり、情報発信をしている人々のなかで、大阪市内や府内で青少年会館事業が廃止あるいは縮小されようとするときに、「子どもの最善の利益」の実現という観点から、「それって、おかしいのではないか?」と、どれだけの人が声をあげてくれたのでしょうか?
これは私の知る限りでしかありませんが、あのとき、何か声をあげたり、何か動いていたのは、子どもの人権論関係では、私の身近にいるような、ごくわずかな人たちだけだったように思います。そこにはもちろん、私らの情報発信の仕方のまずさがあって、ほんとうであれば仲間になってくれそうな人たちに情報が伝えられなかったという、そんな反省もあります。と同時に、子どもの人権論の関係者の側にも、「あのとき、あなたたちのアンテナの感度はどうだったのか?」という思いも抱くのです。
そして、大阪市内でも府内でも、次々に行財政改革がすすめられ、子どもや若者が利用できる施設が廃止・縮小されたり、子どもや若者の生活を支えるための諸施策もどんどん整理・縮小されていくような状況のなかで、理論・施策・実践のいろんな面で、私たちが何をその状況への「対抗軸」として打ち出し、具体的な「抵抗」の形を創り出していくのか。
また、その「抵抗」の形を創出したり、「対抗軸」を示していくのにあたって、既存の子どもの人権論や人権教育、解放教育、同和教育などに関する議論や研究の何が役にたって、何が役に立たないのか。私たちには何が「使える」材料として手元にあって、何が「足りない」のか、等々。そういったことを、もうそろそろ、きちんと整理して、具体的に論じていく必要があると思うのです。
シニカルにこれまでの解放教育や同和教育、あるいは子どもの人権などに関する議論をとらえ、突き放した見方をするのでもなく、さりとて、「大阪の人権教育ってすごいんや」と仲間内でほめあうような見方でもない。あくまでも、「私たちが今のこの社会情勢のなかで、きちんと対抗軸や抵抗の動きを創出するために、子どもの人権論や人権教育、解放教育、同和教育に関するこれまでの議論のなかには、何が十分にあって、何が足りないのか?」を見極めていく。そんな作業をしたいのです。
「この社会情勢のなかにすきまを見つけたり、何かくさびをうちこんで、子どもや若者が暮らしやすい環境を整えていく方向で、何かを少しずつでも変えていく。そんなことに取り組んでいくためには、自分たちにできることを、できる人が、できるかたちで、少しずつはじめていくしかない。」
そのことを、あらためて痛感するがゆえに、「今までどおりの研究のあり方で、ほんとうにいいのだろうか?」と思って、こんなことをはじめてみたいと考えた次第です。
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