吉村知事が夏の賞与返上へ 学テで大阪市の小学・国語最下位 (産経WEST 2019年7月31日)
この産経の配信記事を読んで、いろいろと思うところがありました。それをここで書いておきます。
先ほどこの記事読んで、ひとつびっくりしたこと(「そこか」と言われそうですが…)。
返上する吉村知事の賞与は、いったん大阪維新の会に寄付して、そこから自然災害の被災地支援に使われるのだと。
「だったら直接、どこかの被災地にお金、送ったらええやん。なんで大阪維新の会に寄付するねん?」
と、まずはそこで「この知事、なに勘違いしてるねん?」と思いました。
それから、知事の夏の賞与さえ返上すれば、これからも従来どおりの教職員に無理難題ふっかける施策も続けられるし、子どもを「学力向上」で追い立てることも可能になる。安いもんですねえ、賞与返上って。
さらに、大阪市の場合、大森特別顧問は教育委員長だった時期も含めて、もう何年、大阪市の教育施策をリードしてきたんですかね? いろいろやっても状況が好転しないとしたら、そもそも教育改革のために首長が引っ張ってきた「特別顧問」なる人のアドバイスが、どこか根本的にずれているんじゃないですかね? 「身を切る改革」というなら、まずは賞与返上だけでなく、身内でもある「特別顧問」も切りましょうよ、この際。
ちなみに・・・。
昨日、実は大阪市内の小中学校教職員を対象に、「子どもの権利条約」の学習会をしました。その学習会でも、子どもの権利条約のどこにも「全国一斉学力テストの各都道府県・政令市の順位をあげろ、学校別の平均点あげろ」なんてこと、一切書いていないという話をしました。
条約29条の「教育の目的」に書いているのは、人権や基本的自由の尊重や多文化共生・異文化理解、ジェンダー平等や平和、多様な人々の間での寛容、自然環境の保護等々に関する理解をふかめることとともに、子どもたちひとりひとりの人格や心身の成長可能性を最大限に高めることです。
また、たとえ全国一斉学力テストの順位や平均点が高くても、ヘイトスピーチをまきちらし、誰かを蔑視したり迫害したり、諸外国に戦争をふっかけるような人が育ってくるような学校、教育のあり方は、子どもの権利条約の趣旨には反しています。
そんなことも、昨日の学習会で、子どもの権利条約の話にひっかけて、参加されたみなさんに伝えておきました。
なんか、やらなくてもいいような教育施策ばかりやって、パフォーマンス的に賞与返上とかしてますけど、「そんな見当違いの教育施策を大阪でいくら続けてもなぁ…」というところでしょうか。
むしろ、子どもの権利条約の趣旨に即した教育施策を大阪で、全国一斉学力テストの順位など気にせず、地道にひたすらやり続けてほしいと思うのですが。その方が「グローバル化する社会」に対応する教育になると思うんですけどね…。