できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

学校の休校・再開のどちらについても、時間を急ぎながらも、必要な「手順と手間」をかけること。

2020-04-07 19:31:57 | 受験・学校

以下の青い太字部分で書いたことは、4月5日(日)にツイッターで連続してつぶやいたことです。また、その日のうちに文章を整理して、フェイスブックにも転載しました。それを今日(4月7日)に、あらためて自分のブログにも掲載しておきます。

今日は政府から「緊急事態宣言」がでて、私の暮らす兵庫県も、この「緊急事態宣言」の対象地域になってしまいました。また、昨日も書いたように、うちの娘の入学予定の県立高校を含めて、この兵庫県内の公立学校も、あす始業式・入学式というところが多いかと思います。でも、この始業式・入学式以降は、この「緊急事態宣言」が出たあと、授業が開始できるかどうかわからない状況になりました。たぶん、5月6日(水)まで、つまりゴールデンウィークの連休明けまで再び休校という学校も、同じ兵庫県内ではいくつかでてくると思います。

ただ、兵庫県内は地域によって、新型コロナウイルス感染者の確認状況が大きく異なります。北部の但馬地域のようにまだひとりもいないエリアもあれば、阪神間・神戸や播磨のように感染者が増え、さらには亡くなった方もでている地域もあります。同じ兵庫県といっても、「ヒョーゴスラビア」なんてことばもあるくらい、5つか6つくらいの異なる特色をもった地域に分かれているのが実情です。

そう考えると、たとえば学校の休校・再開についても「兵庫県で一律に」と考えるのが本当に妥当なのかどうか。昨日の時点でも県立学校について、兵庫県知事は「但馬を除く」かたちで、「入学式・始業式後4月19日までの休校(ただし登校日あり)」という方針を示していたところです。私はこの対応方針「妥当だな」と思ったりもします。

また、3月の休校と4月の休校は、学校側にとっても子ども・家庭側にとっても、持っている意味がちがいます。もうほとんどその年度の教育活動が終わっていて、子どもと家庭、学校の関係も一定できあがっている3月ならできたことが、4月の新年度開始当初だと難しいことも多々あります。それこそ人事異動で来たばかりの管理職や教職員もいれば、この4月に入学予定の子どもと家庭もあるわけです。学校側も混乱しているさなかに、休校→再開準備→また休校という対応を求められると、教職員側も疲弊しますし、子ども・家庭も混乱します。

これに加えて、小学生のお子さんや障害のあるお子さんの場合は、学童保育や放課後デイサービスでの受け入れ体制をどう考えるのか。昼間、子どもだけが家に残る家庭の場合、昼食等はどうするのか、何かあったときの子どもの見守りはどうするのか。こういった課題はすべて、3月の全国一斉の休校時にも起きた課題です。また、それをなんとかこの約1か月間、学童保育や放課後デイサービスの関係者、各家庭や子ども自身のがんばりで乗り切りました。それをもう1か月続けろといわれても、「もう無理」と思う子どもや家庭、学童保育等の関係者もいると思います。そこへの支援、ケアが十分に行われなければ、感染拡大から子どもを守るための休校(継続)によって、かえって別の問題を生じさせ、子どもを守れないなんてことにもなるでしょう。

そして、子どもたちにはさまざまな願い、ニーズがあります。たとえば「学び」のニーズについても、子どもたちには、いわゆる「遠隔授業」でネット配信された教材に取り組むことで満足できることもあるでしょう。でも、それだけでは充たされた感じがしない。「仲間と直接出会って話がしたい」「仲間といっしょに歌いたい、スポーツしたい」「教室で勉強したい」等々、そういう思いを持つ子どもも居ます。特に入学式を前にした子どもたちのなかには、新しい学校での勉強や仲間とのかかわりに期待を持っていた子どもも多々いると思います。そういう子どもたちに、さらにあと1か月辛抱させることをどう考えて、どのような支援・ケアを行っていくのかも大事な課題です。

昨日も書いたように、私としては、感染拡大防止策として休校(継続)をする必要性があることは、一定「やむをえない」とは思います。しかし、休校(継続)に伴ってさまざまな矛盾や別の問題が生じる恐れもある以上、そちらへの備えもきちんと社会的に整備していかなければ、子どもたちにさまざまな不利益も生じると思っています。休校(継続)をするならするで、きちんと行政や関係諸団体には「やるべきことがある」と思います。現場任せ、あるいは子どもや家庭のがんばりに期待で、首長や行政当局は休校(継続)だけ決めてあとは「丸投げ」というのでは、ダメだと思います。

そこであらためて、私なりの学校の休校・再開についての考え方を示したいと思って、下記の文章をブログにも転載しておきたいと思います。

○以下、ツイッターやフェイスブックからの転載部分

一般の方は感染拡大の恐れ大、早く休校をと思うかもしれませんが…。学校や教委は休校なら休校で、再開なら再開で、それ相応に子ども・家庭への連絡等々のさまざまな業務が発生します。場合によればその業務量や質次第では「今日決めて、あしたからすぐやれ」なんて形では動けないこともあるでしょう。

たとえば再開時の子どもの学びと生活のケア、休校時の家庭での子どもの過ごし方等々にきめ細やかな対応をしたい学校のなかには、休校・再開どちらにしても「準備に手間かかるから、急には方向転換できない」というケースも出てくるでしょうね。念入りに準備するがゆえの悩みですけど…。

そういう念入りに準備するがゆえに手間かかっているところが「遅い!」と非難されて、逆に「どうとでもなれ」と安直に家庭に(あるいは学校に)その後の対応を丸投げしているところが拍手喝采されるようなことがないように。3月の対応を反省して、このたびの4月の休校措置については特に思います。

いま、気をつけないといけないのは、感染拡大の恐れや不安の強い人ほど、休校措置について、この「どうとでもなれ」と安直にその後の対応を丸投げしているところに拍手喝采してしまう危険性があることです。それはそれで、休校後の子どもと家庭の生活にいろんな不都合を生むリスクを高めます。

なので休校にしても再開にしても、たとえ短期間であっても、首長と教委・校長会等の関係者がていねいに協議し、学校現場で具体的な対応を詰めて考える手続きを踏んでいるかどうか。そこをよく一般の人も見極めてください。それなしにいきなりマスコミやSNSで休校・再開を発表する自治体は危ないです。

また、学校の休校・再開のどちらにしても、たとえば行政サイドで学童保育や放課後デイサービス、児童館等の他の子ども施策との関係をきちんと調整できているかどうかについても、注意を払ってください。休校中の子どもの見守りを担う機関等の負担と、それへの備えにも目を向ける必要がありますので。

そして休校時の子どもと家庭の状態にも、さまざまな目配りが必要になります。経済的困難に限らず、子どもと家庭にもいろんな事情がありますから。また、ある家庭にとっては当たり前のように休校中にできることが、他の家庭ではそうではないってことも多々ありますので。


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