2121冊目はこの本。
橿日康之『織姫たちの学校1966-2006』(不知火書房、2012年)
大阪府内の泉州地域にかつて数校存在した「公立の隔週定時制高校」の取り組み、地元紡績・繊維産業の発展・衰退とともに綴った本。著者はこの隔週定時制高校に長年勤務した元・教員で、当時の生徒たちと教員としてのご自身とのかかわりを、主に「失敗」談とともに綴っている。ただ、著者はどうも当時の隔週定時制高校の教職員組合の動きに批判的であったようで、そのことで他の教員との関係にもいろいろ苦労された様子。そのことが本書の随所に現れている。それでもなお、このテーマを扱った類書が他にないだけに、やはり貴重。ある産業の求める人材育成に学校教育が積極的にかかわると、その産業の衰退とともにその学校教育も衰退せざるをえない・・・ということがよくわかる一冊でもある。