おなじみ関内寄席。
桂歌丸師匠はこの5月も体調を崩されて、心配しておりましたが
高座を拝聴することができて、本当にうれしい。
幕が開くともうそこに座っていらっしゃるという演出は,
演出でもなんでもなく、
実は今車椅子での移動を余儀なくされていて、高座に自力であがることも難しいからとのこと。
心なしかちょっとおやせになってました。
しかし、話が始まるとぐぐっと姿勢がのび、声に張りがでるのはやはりプロフェッショナル。
あっという間にホールは歌丸ワールド。
堪能した2時間でした。
演目は、こちら。
つる、というのは古典落語で横町のご隠居とはっつぁん熊さんが織りなすとぼけた問答なのですが、
これをここまで見事に語れるのは、真打ち以上の噺家さんでもなかなかすくないのでは、と思います。
だって、話と仕草で3人をきっちりと演じ分けないと
それはそれはなんといことないありきたりの世界でこれだけ会場が大笑いするのはすごいことです。
鏡味 味千代(かがみ みちよ)姐さんの太神楽を見るのは2度目、
相変わらずあでやかで、かっこいいです。
そして、トリはもちろん真景累ヶ淵の第五段。物語の一つのクライマックス、お累の自害のシーン。
人の心の荒んだ様子が、もうすぐそばまで迫ってまいります。
それが、ジワジワとおそろしい。
歌丸師匠は、この累が淵以外にも牡丹灯籠は24層といった江戸の古典落語を全段演じきりたいという
力強い希望を語っていらっしゃいます。
そのためにはあと80年ほど生きなくては、と会場を笑いに包んでいらっしゃいました。
本当に80年でも100年でも長生きしていただきたいと願う、ファンのひとりです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます