@子供には大人にはない想像力があるが、経験不足から荒唐無稽となる。子供は向日葵のように一夜にして大きく成長(経験)することもあり大人はそれをしっかり受け止め理解し、見守ってあげなければならない。特に現代、利己主義的な社会の所為でそんな子供心を理解しない大人が増えたことが悲しい。
『ふじこさん』大島寿美
「ふじこさん」
ー離婚の協議が遅れたのは自分の所為だと思っていた一人娘小学生のリサ。父の元に遊びに行くたびに同僚というふじこさんに会うと気持ちが落ち着いてきた。ふじこさんは父の恋人だと言っていたが父はその素振りも見せず、ふじこさんは転々と寝泊まり先を変えていたちょっと変わった女性だったのだ。
ーある日ふじこさんは突然イタリヤに勉強に行くと言い出し驚かせ、悲しませた。だが、ふじこさんは自分の決断は「宝物」を探しに行くようなものだと言った。「宝物」は自分で発見しなくちゃならないもの。それは誰にも共通した宝物じゃない。大切な物とは、人生で生きる為の自分の生き甲斐、それが宝物、と言いたかったのか
ー「子供には大人にない想像力があるかも知れないけれど、その想像力を支える経験が圧倒的に不足しており、それゆえ、想像は、支えのいらない荒唐無稽な方面を得意とする。現実の広がりの先を想像するのは苦手なのだ。」
「夕暮れカメラ」
ーあるおばあさんが写真をとってほしいと背がまれ、写真を取ることにした。だがいくら撮ってもいい返事がもらえず、聞くと「自分の遺影写真」が欲しいとのことだった。くる日もくる日も撮り続けるが良い返事がないまま、隠し撮りに挑戦する。
ー家ではおばあさんは「ボケている」と言われ寂しい存在だったが、ある日家の前で焚き火をし騒動を起こすと、その息子が火事になりそうだった家族がその時はみんな生き生きしていたと喜んだ。
ー生きているうちから心配していた写真は忘れ去られ、家族がまとまり始めた。家族一人ひとりの存在を認識し、日々の生活を楽しくすることに目覚めたのかも知れない。
「春の手品師」
ー川辺で一人の手品師が子供たちに手品を見せていた。ふとその手品師の後を追いかけると限りなく一緒に居たく話をするようになった。家族の話が主で自分の存在に不安を抱き、学校も不登校、自殺しようと思ったが、その前に祖母が徘徊で事故に遭い亡くなったことが自分の自殺を止めていた。その後手品師と話をすると幻想の世界に誘われ橋から飛び込む。手品師はひまわりの種を撒くことを生き甲斐にしていた。手品師が「植物はぐんと伸びることがあってね」と言う。 人は成長があり経験を通じて大きく成長するものだと、一夜にして大きく育つ向日葵のように、と言いたかったのか。
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