海上撮影家が見た上海2

上海で撮影活動をしている海原修平のBlog。「海上」とは上海の逆で、新しい上海という意味。更新は不定期。

上海に来た部長の首が飛んだ

2013-03-24 | 写真日記

 

先月私と一緒に上海入りした部長の首が飛んだ。ある日、この部長を取り出したら胴体だけがあり首が無かった。バックの中を探すと底に部長の首が。部長に携帯のモニターを掃除してもらったのは、まだ5回ほどだったので、私の激務に耐えられなかった訳では無い。もしかしたらこの土下座ストラップは、土下座ばかりしている人は首が飛びやすいという、深~い意味が込められて作られているかも知れないとも思ったりしたが、まぁそれは無いだろう。

よく見ると、首の芯(金属製)を胴体に空けられた穴に差し込み接着剤で止めてあるのだが、胴体の部分の穴の径が大き過ぎるようだ。それを接着剤のみで止めてあるので、これでは首が落ちて当然。おそらく製造会社が組み立てやすくする為に、初期は穴が小さかったが組み立て効率を上げる為に胴体の穴を大きくしたのだろうと推測。また、接着剤の質も落としたのかも知れない。

こちらの製品によくある事なのだが、初期ロットとしばらくしてからのロットに大きな差がある事がとても多い。つまり、しばらくすると手抜きが始まるのだ。私もこの手の苦い経験は何度もしているので、買ったらその場で商品をチェックするのが習慣になっている。

こちらのカメラ業界の人に聞いたのだが、昔の上海製の銀塩カメラもまったく同じで、シリアルナンバーの初期頃の出来はとても良い(一生懸命作る)のだが、後半になると見えない部分の手抜きが必ずあるそうだ。なので、中古でも初期ロットの方が値段が高かったりする事もあるのだ。

こちらの製造会社の社長の自慢は、ドイツや日本の機械を入れているので工作精度が高い事を自慢するが、それはCNCの機械の精度であり、良いマシンを入れればそこそこ誰でもある程度の精度は保てるのだ。問題は、その後の人による組み立て精度と品質管理に問題がある。

例えば、カメラのマウントアダプターなんかがよい例で、組み上げ後の最終チェックをやってない会社がとても多く、無限大が出てなかったりマウントが外れなくなったりする事が結構多いのと、しばらく使うと部品がヘタってしまいトラブルが起きる。つまりハズレに当たる確率がドイツ製や日本製と比べてとてもとてもかなり多いという事だ。今こちらでもっとも信頼出来るマウント関係のアクセサリーを作っているのは、私が知る限り一社しかない。その人は、昔カメラマンだった人でカメラも設計製造していた人。今は機材アクセサリーの企画製造販売をやっているオッサンだ。早い話、普段カメラを常時使っていた人と普段カメラでなくスマホくらいしか使わない人が作る製品とは、完成度がまったく違うのだ。また、物事のツボを押さえられるかどうかで、製品が天と地の差になるという事だ。

今こちらでは、動画用ミニクレーンアームや三脚が値崩れを起こして在庫が山のようにあるので、買ってくれないかと持ちかけられているが、その在庫の山の製品はどれも中途半端で長く使えそうにない製品ばかり。ある製品が売れるという噂が広まると、みんな一斉にそれをコピーして大量に作るのだが、ツボを押さえてないのでほとんどが売れない製品に。そして、そういう会社は物事の先を見るという習慣がないので、すべて後手にまわるというのが、今のこちらの機材製造会社のスタンダード。

RICOH GXR A12MOUNT Nokton classic 40mm f1.4 Leica M用接写リング使用

このノクトンクラシック40mm f1.4の開放の描写は、日本の美意識である「わび」まで写しとってくれる名玉。最新のデジタル用レンズでは、こうはならない。

さて、この部長をリストラするか手術して使うかだが、手術してもまた首が飛びそう。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする