海上撮影家が見た上海2

上海で撮影活動をしている海原修平のBlog。「海上」とは上海の逆で、新しい上海という意味。更新は不定期。

未来を語れない人

2013-03-06 | 遠い記憶-上海 オールドレンズ

 

日本に帰って色々な人に会うが、「今後」とか「この先」とか「10年後」など、未来形単語が出て来ないし未来を話せる人があまりいない。現状の今の話と過去の話しかしない人が多いので会話が止まる。景気が悪いだの物が売れないなど負の話で終始してしまう。いつから日本人の多くがそうなったのか分からないが、こちらで会う白人や中国人の若い経営者(30歳代)は、未来の話が普通にできるので、会っていて楽しいし面白い。

 先週は、深センと広州と上海近郊の撮影機材製造会社に交渉とアドバイスに行ったのだが、筋道を立て分かりやすく話をすると若い経営者(30歳代)のほとんどは理解して即行動に移してくれる。このスピード感はアドバイスをしていてとても気持ちよい。日本のように、決まりもしない重箱の隅をつつくような長い会議を延々と重ねるのとは大違い。

しかし、中国で長年写真用撮影機材を製造している50歳代の社長は、昔のやり方や過去の成功体験が染み付いていてまったく話にならない。つまり、今のデジタル機材に対してまったく無頓着で、学ぼうともせず時代についていってない。今、中国の写真用撮影機材製造会社で有名になり会社が大きくなった会社のほとんどは、異業種からの途中参入の会社なのだ。つまり、過去の機材に対するしがらみが無いので、新しい未来の事に対しての吸収力が貪欲なのだ。そういう会社の社長は30歳代がほとんどで、そのような会社はほとんど深センにある。古くからある会社は、衰退方向へまっしぐら。(シーガルが良い例)

カメラ以外の撮影機材の話に限定すると、欧米は未来を想定して物を作り一歩先を行く、中国はそれの製造を請け負うかコピーして稼ぎ、日本は石橋を叩き長い会議と検討を重ね過ぎるので結局乗り遅れる。そして、made in japanの品質はとても良いのだが、コストがかかり過ぎて販売価格が高額になりあまり売れない。過去日本発で、先進的かつこれはというような撮影機材アクセサリーが発売されたなんて、あっただろうか。そういう意味では、日本はいまでも欧米の後追いだと思ってよい。

 カメラの周辺機材を作る人も売る人も、日本に居ては未来の撮影現場が見えて来ない気がする。また、他の製造業の分野も同じようなものだと思うのだが…。現在、世の中は恐ろしいスピードで変わっている。今後は、大きな会社より小回りの利く小さな会社で、即断即決即実行できるような会社でないと、今後は生き残れない時代が目の前に来ているような気がする。そういう意味でも、日本の若いこれからの人は積極的に海外に出て物事すべてを比較する事をお勧めする。そして、自分はどっちを選択するのか考える事だ。

写真は、先週訪問した深センの会社に住み着いた子猫。この会社が製造しているLEDライトと後ろの窓から入る外光でテスト撮影。現在、撮影用LEDの進化は色や光量も含めとてもはやい。

Canon FD50mm f1.4  

コメント
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