手すりは一本の木から削り出し
牛乳箱と郵便受け
都市再開発で解体される前に撮影した里弄住宅の内部で、一番立派だったのは階段の手すりと白玉蘭の彫物。この手すりは一本の木から削り出した物で、解体前にすでに買い付けされていた。
十数年前の事だが、先の大戦中に虹口区の山陰路の一角に住んでいた日本人が、子供の頃によく遊んでいた場所をもう一度見たいという事で、一緒に探し当てた事があった。そこは、日本海軍の将校用のプチホテルだった建物で、里弄住宅の一番奥にあり、そこだけ高い塀で囲まれていた。発見当時は、地元民の住宅になっていたが、門を叩き中に入れてもらった事があった。中庭と入口の形状を思い出し、階段の手すりには菊花紋章が彫刻されていたので間違いないと確信。虹口区は、今も探せが昔の日本の痕跡が残っているかも知れない。