海上撮影家が見た上海2

上海で撮影活動をしている海原修平のBlog。「海上」とは上海の逆で、新しい上海という意味。更新は不定期。

フォーマット違いの標準レンズ

2023-05-30 | GFX+オールドレンズ

GFX50SII+GF35-70mm  70mm f5.6

 

近所の呑み屋のカウンター席で初めて会ったカメラ好きニーチャンに話しかけられ、さりげなく彼の呑み友達を一枚。この日のGFX50SIIに付けていたのはGF35-70mmで、この撮影は70mm固定。私のZoomレンズの使い方は、撮る前に焦点距離を決めているのでファインダーを見ながらズームリングを回転する事はほとんどない。このレンズはややf値が暗いが、各焦点距離の開放f値は常用絞りなのでいつも開放で使っている。

東京で仕事をしていた頃にタレントなど人の撮影ではハッセルがメインで、80mmは使わず100mmと120mmがメインレンズだった。35mmフィルム換算で100mmは60mmで120mmは72mmなので、人を撮る時のベストレンズだと言える。

標準レンズの焦点距離基準は、フォーマットの対角線の長さを基準にしている。例えば、24x36mmのライカサイズの対角線の長さは43mmだが、ライカは標準レンズの焦点距離を7mm長い50mmに決めた。つまり、ライカ基準に換算するには50÷43=1.16になる。

ペンタックスには43mmという焦点距離のレンズがあるのは、この対角線の長さそのままのレンズといえる。また、ペンタックスの中判カメラの標準レンズが55mmなのは、44x33mmの対角線の長さをそのまま標準レンズとして採用しているからだろうね。

GFXの標準レンズは63mmで、これは55x1.16=63.8なのでライカ基準の焦点距離といえる。デジカメ中判カメラ比較として、55mmと63mmはまったく性格が違うレンズで私は63mm支持派だ。

この対角線x1.16換算で、私のGFX常用フォーマット1:1と24:65の標準レンズを計算すると、1:1も24:65も約54mmになるので、35mmフォーマットの焦点距離感覚をそのまま使えるという事になる。

☆人を撮る時、今の私は瞳AFに頼らないとすでに無理。そんな理由もあり、FringerのFR-EFTG1に頼りEFレンズのお世話になっている。Fringerの過去ブログ→コレ

☆こんな時、アイレベルのファインダーよりLCDファインダー+ブロニカのウエストレベルファインダーが役に立つんだよね。

 

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パノラマフォーマットのサイズ

2023-05-28 | GFX+オールドレンズ

24x65は第二黄金比   GFXの35mm画角

 

私が29歳の頃に映画の仕事で最初に関わったパノラマサイズは、アメリカビスタサイズ(1:1.85)だった。35mmフィルムを使い上下をカットしなければならないので、ニコンのファインダースクリーにNDのゼラチンフィルターを貼り付けてフレームしていた。また、24x120mmという横長過ぎるパノラマ撮影もフィルムホルダーを改造しこの仕事で使った事がある。その後、しばらくパノラマサイズを使う事は無かった。

再びパノラマサイズを使い始めたのは1995年からで、Horizontに始まりWideluxからNoblex135Uをメインに上海の古い街並を撮り始めたのが1996年。この画面サイズは24x65(1:2.7)で、第二黄金比と言われている1:2.6と同じサイズ。この24x65サイズは、フジのTX-1にも採用され上海の撮影で私も使っていたが、今ではデジカメのGFXなどでも選べるフォーマットだ。

ワイドレンズを使って風景を撮る時に難しいのが、画面の上下が写り過ぎる事。そんな時に最適なフォーマットは24x65などのパノラマサイズだ。人間の目は瞼で上下カットされるので横長で、通常はパノラマサイズで見えている事になる。私が初代GFXから今も使っている理由は、24x65フォーマットが使えるからだ。遠距離はパノラマサイズで撮影し、中距離と近距離を撮る時は1x1の正方形と決めている。こんな風に、1台のカメラでフォーマットを簡単に変えられるのが今のデジカメの良さだ。しかもGFXの1x1サイズは一辺33mmで、35mmフォーマットの長辺36mmの正方形に近いので、古いレンズのちょっと曖昧な描写をそのまま継承出来るからね。ただ、24x65のフォーマットで古いレンズを使う場合は、画面の左右の描写に無理があるが、そんな事はどうでも良いのだ。

☆白銀比(数種類ある)の比率は1:2.414で、これはロシア製や日本のパノンのWideluxに採用されたフォーマットで、120フィルムの横幅56mmを基準にしているので24x56mm。もう一方のNoblex 135UやTX-1などは、24x65mmなので6x7の長辺65mmと同じ。

☆黄金比などの理屈はわかるが、写真の構図などはあまりこだわらない方が良い。

 

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遮断機を見ると

2023-05-25 | 写真日記

下高井戸で

 

踏切の遮断機を見ると、ついカメラを向けてしまう。日本では見慣れた光景だろうが、上海市内では見る事はない。住宅地のすぐ横を走る電車って、今の上海ではありえない風景。

この日、自宅に戻る時に20年ぶりに三軒茶屋まで乗ったのが世田谷線だ。短い区間をゆっくり走る電車から見る風景も、今の私には新鮮。降りた三軒茶屋も様変わりしていているが昭和が残っていて、住んでみたいなと思う街になっていた。

新興住宅地と言われる街へ行くと、居心地が悪いのは文化が無いから。それは、私が今住んでいる上海の自宅付近。しかも、なんちゃってイタリア風だもんね。今までで一番良かったのは、やっぱり一番長く住んでいた新華路かな。

☆上海の新華路は、租界時代に各国の名士や大使館員など多くの外国人が住んでいた場所で、ラズロ・ヒューディックの建築が多く残っていて、J・G・バラードが生まれた場所。路にはさりげなくヘンリームーアの作品が2点。

 

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形見分けとしてオリジナルプリントをいただく

2023-05-23 | 写真日記

「さようなら、人類」 撮影 小林正昭

 

青山の300日画廊での個展会場で(葬儀の礼状)

 

先週末に、2023年2月14日に旅立った師匠の自宅へ。この日、亡くなった自室の地下秘密基地の壁に掛けられていた、あの有名になった新聞広告のオリジナルプリントを形見分けとしていただいた。

昨年の暮れ、何となく気になり奥さんにLINEを送ったが、その時すでに闘病していた事は知らなかった。昨年の夏の帰国時に会っておけばと後悔したが、昨年はコロナ蔓延期間で私も日本でコロナに感染したので、あえて連絡しなかったのだ。

長年会ってない人の事を突然思い出す事があるが、そんな時は即行動に移した方が良いね、という話を師匠の奥さんと話しながら、私が知らない師匠の若い時代の話を聞いた。

 

☆ゴリラの写真は、1971年毎日新聞創刊100年記念の公共福祉広告の新聞広告用に撮影した写真。1971年は私がまだ15歳の時で、日本の広告写真黄金期だ。この新聞広告のコピーは朝倉勇さんで、今でも通用し今こそもう一度読むべき素晴らしい内容で二度読みしてしまった。このコピーの全文が、タワーレコードオンラインに掲載されていたので是非読んでほしい。→コレ

新聞広告用の写真は、白バックではなく周辺が少し焼き込まれていて長方形にトリミングされている。今回いただいたプリントは原稿用ではなく、ストレートプリントのようだ。マガジンフレームを見るとHASSELBLAD 500Cで撮影しているとわかるが、ゴリラとの撮影距離から考えるとレンズはおそらくSonnar 250mm f5.6 Cだろうな。

☆2枚目の画像は葬儀のお礼状で「ヨーゼフ・ボイス」300日画廊での個展の時。ボイスの撮影は、ドイツのデュセルドルフで撮影し2階建8x10を使い、私はピントとフィルム交換をやったが、いままでで一番緊張した撮影だった。

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溝の口駅でセンベロ

2023-05-21 | 写真日記

溝口駅西口

 

190円は約10元

 

歯の治療で先週久しぶりに東京都港区へ。その日は、5月にかかわらず夏のような天気。治療を終え地下鉄で溝の口駅に向かい、周辺を歩いていた時に安すぎる立呑み屋を発見。あまりにも安すぎるので入るのを躊躇したが、この日はゲロ暑だったのでダメ元で店に突入。

あらためてメニューを見ると、単品料理の安さに驚き過ぎてしまった。単品料理は190円が基本で、アジフライなんて130円(揚げたて)と激安。上海のDAISOは10元ショップなので、この店は日本の"10元呑み屋"と命名。飲物はスタッフに直接オーダー出来るが、料理は自分でオーダー表に書いてスタッフに渡すスタイル。

生ビール一杯とツマミを2品ほどオーダーしたが、全く問題なく一人飲みには最適な量だ。来ている客層を見ると、ほとんどが常連のようで女性の一人客もちらほら。こんな呑み屋で一人で人間観察をするのが好きで、料理以外に来ている人をさりげなく見ながら呑むのも私の呑み方なのだ。これは、人を撮る時にすごく役に立つので、人を撮る事が多い人は是非実践する事をお勧めする。

☆溝の口の西口付近は、昭和の雰囲気が残っている呑み屋街があるが、落ち着いて呑める店ではない。以前住んでいた家の近くに1件のみ落ち着いて呑め美味い店があったんだけどね。

 

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