海上撮影家が見た上海2

上海で撮影活動をしている海原修平のBlog。「海上」とは上海の逆で、新しい上海という意味。更新は不定期。

カメラレンズの評価の基準

2017-02-07 | 写真日記

カメラ雑誌やネット上にレンズ評価やレンズテストなるものがあるが、まともな記事もあれば、逆の場合もけっこう多い。基準が曖昧なままレンズの評価をしても迷路に迷い込むようなもので、レンズ評価記事を鵜呑みにしているアマチュアカメラマンやカメラ屋も多いし、プロカメラマンの中にもけっこういる。レンズ設計者は日夜レンズの各収差を打ち消す努力をしているが、仮に収差がまったくないレンズが出来たとしても、それをプリントして人間の目で見て良いと言われるかどうかだが、きっと人間には良いとは言われないと私は思う。ただ、今後出て来るであろうロボットだったら喜ぶかも知れない。

レンズ評価はフィルムの時代であれば、デジタルカメラのように画像エンジンやセンサー性能や各メーカーのクセなど一切関係ないので、ある程度平等性が保たれているが、デジカメの場合はすでにメーカーの絵作りに染まっているからタチが悪い。

ライカなどを扱う中古カメラ屋に行くと、このレンズはシャープだとか解像度が高いとか色乗りが良いとか軟らかいとかボケが良いなんて言葉が四方八方に飛び交うのだが、一人ひとりのレンズ評価の基準が曖昧なので、私からするとまったく噛み合わない場合がほとんど。しかも、プリントした写真を前に話すのであれば判断材料があるのでまだマシだが、ほとんどの場合そんな事はない。なので、個々の妄想の中でレンズの味とやらが頭の中で渦を巻いているのだ。

前世紀の話だが、いつも通っていた中古カメラ屋でライカ絶対主義の大学教授にゼロ戦の写真を見せられて、やっぱりライカのレンズは軟らかくてトーンの出方がすらばしい(上海風日本語)と褒めちぎっていたが、その写真を見ると焼が浅く黒が締まってない露光アンダーのネガからプリントしたヘタレモノクロ写真だった。こんな場合、本当の事を言ってあげようかなとも思ったが、古稀を迎える前の人には今まで信仰して来た事が一気に崩れ落ちるので虐待に近いと思い唇を噛みしめた事があった。それ以降は、そのカメラ屋の駐車場に教授のベンツが停車していると一人時間差テクニックで回避してきた。辛いんだよ、こんな事って。

 

 

Summarit 5cm f1.5 開放+X-T2

 

Summarit 5cm f1.5 開放+X-T2 カラーからモノクロ変換

 

自宅の窓からやわらかい美しい光が差し込んで来たので、呑み終えたワインのボトルを古民家具の椅子越しに置いてみた。ズマリット5cm f1.5は元々軟らかい描写をするレンズだが、カメラの設定を皆が好む方向のすべて逆に設定しているので、さらに独特のトーンに仕上がった。

古いレンズはバルサム剥がれやクモリが発生しているレンズも多く、当然の事だがちゃんと整備しないと本来の性能は出ないのと、個体差もけっこうあるので同じ銘柄のレンズでも製造時期によって少し違う描写をする場合もある。また、ネットで買う場合注意しなければならないのは、素人が勝手にバラし組み上げた物や他のレンズを入れ替えたりレンズを抜かれている物も出回っているので注意が必要。大陸では騙すより騙された方が悪いのがスタンダードなんだよ。

日本のヤフオクで販売されている商品の売り主が中国人だった場合、大陸の中国人は絶対に買わないという人が結構多い。同じ民族なのに信用してないって事になるんだけど、これって笑える話なんだよね。

コメント
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