遅ればせながら、昨日、一般質問終了しました。
まずは、めでたい。
で、打上げ(?)で行った牡蠣のお店、むちゃくちゃ、うまかった~。
こんな時期に、あんなうまい生牡蠣が食えるとは、さすが、北新地。
と、それはさておき、本題へ。
なので、いつもであれば、自分の質問の報告を始めるところなのですが、
今回は別の重要な話がありますので、そちらのご報告と、
それに関する私の考えをば。
ちょっと長いうえ、ややこしめの話ですが、
お付き合いくださいませ。
昨日、同じ会派の今村議員が「震災がれきの受入に関して」というテーマで
一般質問を行いました。
で、その質疑の中で、
「科学的な知見に基づいて市民生活の安全面が十分に確認できない
震災がれきの受け入れはできない」
という答弁が市側からなされました。
これ、とても重要な答弁です。
が、一方で、「科学的な知見」というのが何を指しているのかは、
受け取り方によって、異なるかもしれません。
国が示した1kgあたり8000ベクレル以下とか、
関西広域連合が示している1kgあたり2000ベクレル以下とかも、
立場や考え方が違えば、
「科学的な知見に基づいて市民生活の安全面が十分に確認できる」
と言えないこともないわけで。
だから、
「科学的な知見に基づいて市民生活の安全面が十分に確認できるか?
できないか?」
という部分について、もっと定義を、はっきりさせる必要が
あるんではないかいな???と思っています。
というわけで、まずは、以下の内容をご覧ください。
これ、搬出・搬入時における、瓦礫の放射能汚染状況の確認方法です。
なお以下の内容は、平成23年8月11日に環境省が発行した
「災害廃棄物の広域処理の推進について
(東日本大震災により生じた災害廃棄物の
広域処理の推進に係るガイドライン)」
を基に、「 」内が引用、( )内は、私の補足という形で作っています。
「広域処理対象となる災害廃棄物の放射能濃度は低いので、
搬出側での確認が適切に行われれば、
受入側での災害廃棄物の処理・再生利用に当たり
問題が生じることはないと考えられる」
「広域処理を希望する自治体の一次仮置場において
災害廃棄物の放射能濃度の確認を行うことを基本とする」
(⇒この段階では抽出・サンプル調査で調査されます)
「加えて、港湾エリアの二次仮置場から災害廃棄物を県外に搬出する際に
線量計で当該災害廃棄物全体を対象に周辺の空間線量率を測定し、
バックグラウンドの空間線量率より有意に高くなるものがないことを
確認する」(⇒つまり、空間線量の測定のみ行うということです)
「災害廃棄物の放射能濃度は、搬出側で測定しており、
また、搬出時に災害廃棄物全体の空間線量率の確認も行っているので、
受入時に改めてこれらを測定する必要はなく」
(↑つまり、受入側には放射能による汚染状況を確認する義務は
ないということです)
となっています。
ところが、これ、それこそ「科学的知見」を踏まえて見ると、
どうやら、かなり問題がある確認方法のようなのです。
例えば、一時仮置場での調査がサンプル調査だけでOK!と言う部分。
悉皆調査ではないため、
○同じ瓦礫の山の中でも、放射性濃度は大きく異なる
○そのため、放射性濃度が低い部分で調査した場合、
放射性濃度が著しく高い部分も混入した形で搬出される
という事態が発生する可能性が存在します。
実際、環境省が災害廃棄物仮置場の放射能調査を
業者委託して作成し、環境省での議論でも正規資料として使用している
「災害廃棄物仮置場放射能等調査業務委託報告書」において、
同じ瓦礫の山の中で放射性濃度に数十倍以上の開きがあることが
示されています。
またサンプル調査を終えた瓦礫を搬出する際の確認が
空間線量の確認だけというのも問題です。
(独)国立環境研究所、(財)日本環境衛生センター等による
「廃棄物等の放射能調査・測定法暫定マニュアル」に
5,000Bq/kgの瓦礫の放射線量(実効線量)を1m離れて測定した場合、
セシウム137で0.0004uSV/h、
50cm離れて測定した場合でも0.002uSV/hしか
空間線量が上昇しないことが示されています。(↓以下の表参照↓)。
「kukannsennryou20120627.doc」をダウンロード
ちなみに宮城県がHP上で公表している
「都市公園内の空間線量率測定結果について」によると、
各都市公園の空間線量率は0.07~0.12uSV/h。
これに比べると、既述の0.0004uSV/h、0.002uSV/hという数値は、
かなり低い数値です。
つまり、空間線量の測定という方法だけで判断する限り、
かなり高い放射線量の物質が近くに存在したとしても、
その存在を感知することはできないのです。
私は、上に記した内容が、環境省、(独)国立環境研究所、
(財)日本環境衛生センターといった公的機関が出した資料に
示されていることが、きわめて重要だと考えています。それは、
「どこかの誰かがブログで言ってた!!!」
というのとは、明らかにレベルが異なるものだからです。
こういったことを踏まえると、空間線量率であれ、
巨大な瓦礫の山の濃度を測るのであれ、全量・悉皆調査しない限り、
正確な放射性濃度を測定することは不可能ということになります。
実際、昨年9月27日付の山形新聞では、
「災害廃棄物:搬入物は不検出、灰からは2040ベクレル/kg」
という内容が大きく報道されています。
また瓦礫受入を決定した静岡県島田市において、
受入協定に含まれていないコンクリート・石材が混入していたため
焼却が中止されるなど、現在の調査手法では、十分な検査ができない!
ことを示す材料は多数存在しています。
これらの事例からいえることを私なりにまとめると、
以下の内容になります。すなわち、
○科学的知見に基づくと、全量・悉皆調査しない限り、
正確な放射能濃度・汚染状況の測定は不可能。
○搬出側に、そうした検査は義務付けられていない。
○従って、
「科学的な知見に基づいて、市民生活の安全面が十分に確認」
できるかどうかを判断するためには、搬出側もしくは受入側が
全量・悉皆調査を行うことが必要。
ということです。
繰り返しになりますが、「科学的知見に基づいて」と言うなら、
「何ベクレルまでならOK?」
とかいう話をする前に、
「そもそも、何ベクレルかを正確に把握できないなら、安全かどうかなんか、
判断できるはずがないよね???」
という話を整理するべきだと思うのです。
この話、もう少し続けます。