ロシアへの裏金は「必要経費」「日本の弱腰原因」 漁業会社元役員が証言
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/110110/crm1101100124000-n1.htm
ロシアの排他的経済水域(EEZ)内でスケトウダラ漁をする漁業会社4社がロシア国境警備局側に計約5億円を提供したとされる問題で、札幌、仙台国税局から追徴課税を受けた漁業会社の関係者が産経新聞の取材に「(資金提供は)入漁料のようなものだった。必要経費だ」と述べた。
漁業関係者は「日本政府が北方領土返還交渉を優位に進めたいあまり、ロシア政府に譲歩し過ぎていることが、資金を払わざるを得ない原因」と、違法の可能性があるとはいえ、問題が複雑な背景を持っていると訴えている。この関係者は、資金をキプロスなど外国口座を経由して送金した事実も認めた。
取材に応じたのは、国税当局に追徴課税を受けた北海道と東北地方の4社のうち、北海道の企業の元役員の男性。男性によると、「裏金というつもりはなく、ロシア国境警備局側に5億円を、4社の会社幹部同士で話し合って送金した。ロシア当局の嫌がらせをかわすにはほかに方法がない」という。
水産庁によると、ベーリング海や北方領土周辺のロシアEEZ内で、タラ漁の主力となる「北洋転換底引き船」の許可を得ているのは、追徴課税を受けた稚内海洋(北海道稚内市)、金井漁業(釧路市)、開洋漁業(青森県八戸市)、佐藤漁業(宮城県塩釜市)の4社だけ。
EEZ内でのスケトウダラなどの漁は、日露両国の政府が「日ソ地先沖合漁業協定」に基づく交渉で条件を決めている。4社は国税局の税務調査に「定められた漁獲量を超えて取ることを黙認してもらうために支払った」と説明しているという。交渉で決まった漁獲量だけでは十分な利益が出ないという。
男性は「ロシアという国はお金がないと何も進まない。正論が通じる国ではない」と、資金提供をせざるを得ない事情を説明する。
また、ほかの漁業関係者は根室市や釧路市などでロシア国境警備局の係官(オブザーバー)が乗り込む際、海が荒れて出漁できないときは、飲食で接待したり、家具や車を渡すこともあったと証言する。
ただ国税当局は5億円の資金提供はこうした係官の接待とは別の大掛かりなものとみている。
資金提供の契機になった可能性があるのが、平成18年に4社が、所有する船をロシア国境警備局に拿(だ)捕(ほ)された事件だ。一部の船の船長は刑事告訴されるなど、4社は膨大な労を費やした経験を持つ。送金はこの前後から始まっている。
取材に応じた元役員の男性は、この事件が契機かどうかは明らかにしなかった。しかし、道内の漁業関係者からは「今回ほど多額ではないが、資金提供はソ連時代のころからやっていた。係官が『漁獲量を超過している』などと難癖をつけて拿捕されたら命まで危険にさらされる」という同情の声も聞かれる。
男性は「公海で漁をしていたのに、『ロシアを刺激しないでくれ』という外務省と水産庁の意向で自主的に操業をやめたことがあった」と指摘。「日本の漁船が退去した後、韓国は巧みにロシアに取り入って漁獲量を急増させている。日本政府が北方領土を人質に取られ、ロシアに言うべきことを言えないから、資金提供せざるを得ない状況が生まれてしまう」と問題の深刻さを訴えている。
2011.1.10 01:23
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/110110/crm1101100124000-n1.htm
ロシアの排他的経済水域(EEZ)内でスケトウダラ漁をする漁業会社4社がロシア国境警備局側に計約5億円を提供したとされる問題で、札幌、仙台国税局から追徴課税を受けた漁業会社の関係者が産経新聞の取材に「(資金提供は)入漁料のようなものだった。必要経費だ」と述べた。
漁業関係者は「日本政府が北方領土返還交渉を優位に進めたいあまり、ロシア政府に譲歩し過ぎていることが、資金を払わざるを得ない原因」と、違法の可能性があるとはいえ、問題が複雑な背景を持っていると訴えている。この関係者は、資金をキプロスなど外国口座を経由して送金した事実も認めた。
取材に応じたのは、国税当局に追徴課税を受けた北海道と東北地方の4社のうち、北海道の企業の元役員の男性。男性によると、「裏金というつもりはなく、ロシア国境警備局側に5億円を、4社の会社幹部同士で話し合って送金した。ロシア当局の嫌がらせをかわすにはほかに方法がない」という。
水産庁によると、ベーリング海や北方領土周辺のロシアEEZ内で、タラ漁の主力となる「北洋転換底引き船」の許可を得ているのは、追徴課税を受けた稚内海洋(北海道稚内市)、金井漁業(釧路市)、開洋漁業(青森県八戸市)、佐藤漁業(宮城県塩釜市)の4社だけ。
EEZ内でのスケトウダラなどの漁は、日露両国の政府が「日ソ地先沖合漁業協定」に基づく交渉で条件を決めている。4社は国税局の税務調査に「定められた漁獲量を超えて取ることを黙認してもらうために支払った」と説明しているという。交渉で決まった漁獲量だけでは十分な利益が出ないという。
男性は「ロシアという国はお金がないと何も進まない。正論が通じる国ではない」と、資金提供をせざるを得ない事情を説明する。
また、ほかの漁業関係者は根室市や釧路市などでロシア国境警備局の係官(オブザーバー)が乗り込む際、海が荒れて出漁できないときは、飲食で接待したり、家具や車を渡すこともあったと証言する。
ただ国税当局は5億円の資金提供はこうした係官の接待とは別の大掛かりなものとみている。
資金提供の契機になった可能性があるのが、平成18年に4社が、所有する船をロシア国境警備局に拿(だ)捕(ほ)された事件だ。一部の船の船長は刑事告訴されるなど、4社は膨大な労を費やした経験を持つ。送金はこの前後から始まっている。
取材に応じた元役員の男性は、この事件が契機かどうかは明らかにしなかった。しかし、道内の漁業関係者からは「今回ほど多額ではないが、資金提供はソ連時代のころからやっていた。係官が『漁獲量を超過している』などと難癖をつけて拿捕されたら命まで危険にさらされる」という同情の声も聞かれる。
男性は「公海で漁をしていたのに、『ロシアを刺激しないでくれ』という外務省と水産庁の意向で自主的に操業をやめたことがあった」と指摘。「日本の漁船が退去した後、韓国は巧みにロシアに取り入って漁獲量を急増させている。日本政府が北方領土を人質に取られ、ロシアに言うべきことを言えないから、資金提供せざるを得ない状況が生まれてしまう」と問題の深刻さを訴えている。
2011.1.10 01:23